サイト内
ウェブ

【私の夫はアル中?】「休日は昼からビール!」「飲まないと寝れない」飲む理由を見つけるのは得意だけど、やめる理由は見つからない?【作者に聞く】

  • 2023年12月21日
  • Walkerplus

「これが一日の楽しみなんだよ」仕事終わりに、プシュッと開ける缶ビール。今日の終わりに自分ををねぎらう至福の時間だ。その「ただの晩酌」が気付いたらやめられなくなっていた、三森みささんの「だらしない夫じゃなくて依存症でした」(時事通信社)よりアルコール依存についての話を紹介する。「いつでもやめられる」そう思いつつ、アルコールで酩酊する気分を味わいたくて、なんだかんだと飲む理由を探している。


■就職してから飲酒の量が増えた。その頻度が高くなり、飲まないと寝付けなくなる
本書は、アルコール依存をメインに「ギャンブル依存」「薬物依存」など、日常的に誰もが陥りやすい依存症について描かれている。取材を通して描かれたあるカップル。学生時代は、定期的に飲み会で酔っ払って楽しく騒いで、二日酔いになる日もあった。

アルコール依存症とは縁遠い性格だったが、就職してから落ち込むことが増えた。嫌なことがあった日に飲むことから始まり、少しずつ上司や取引先との飲み会も増えていく。酔っ払っうことで内向的な性格を誤魔化して、仕事の人たちに気に入られようとしていた。

飲酒量が増すと1人で二軒目にいくようになり、休日でも昼間から飲むようになった。飲まないとリラックスできず、夜も寝付けなくなる。始まりはストレス発散のための飲酒だった。それが常習的になってくると、自分の意志ではどうにもならなくなっていく姿を描く。

■心の弱さや自制心の問題ではない。理性ではダメだとわかっていても、本能的に飲んでしまう
三森みささんは、本作のほかにも「母のお酒をやめさせたい」やカフェイン依存、ゲーム依存症などの啓発漫画を描く。今回は制作秘話について話を聞いた。

――「依存症」というテーマで描かれた本作。どのような依存症について描かれていますか?

メインはアルコール依存症ですが、企画の趣旨として当時、国で病状と治療法が正式に認可されている薬物依存症とギャンブル依存症についても触れています。ただ、「依存症」というのは、根幹はみんな同じ症状が出ているので、身近なアルコール依存症を軸にして描かせていただきました。


――日頃からアルコールを嗜んでいると、依存に気が付かないこともあると思います。本人が「依存」に気付くことは難しいでしょうか。

依存症は、脳の本能的な部分の奥から出てくる「欲求」が狂ってしまう病気なので、理性的な思考と本能的な思考がごっちゃになって、見分けるのが難しいんです。経験上「自分は依存症かも…」と、しっかり認識できてる場合は、まだ初期だな〜と思います。

病気が進行していくと「自分は依存症かも(理性)」「このままじゃヤバいかも(理性)」と考えてても、同時に「でもやめたくない(本能)」「◯◯の理由があるからやめなくていい(本能)」が出てきて、すべての思考が1つの脳みその中でごちゃごちゃになっていきます。どれが理性でどれが本能的な部分なのか、自分の頭の中だけで見分けるのは困難です。ですので、本当は気付いてはいるんだけど、やめることができないという病気だと思います。

――制作するうえで、大変だったことがあれば教えてください。

たくさんあるんですが、この漫画は制作から納期が非常に短かったので、実はキャラクターの造形もネームもその話その話で作り上げていました。準備をする時間がなかったので、合間を見て取材をして…って感じです。制作に関わった皆さんも、どうなるんだろうとハラハラされたと思います(笑)。

――読者の皆さんにメッセージをお願いします。

依存症というのは誰もがかかる病気であり、心の弱さや自制心の問題ではありません。そして、多くの場合は、依存しなくてはならない苦しい環境に生き延びるための手段です。もしも現在進行系で依存しているなら、そんな自分を罰さないでほしいなと思います。

――三森さんは、そのほかにどんな漫画を描いていますか?

私自身が依存の問題を抱え、その問題を解消したあとに「トラウマ」の問題に取り組むことになりました。新たにトラウマ治療の漫画を描いてますので、ぜひそちらもご覧いただければと思います。


取材協力:三森みさ(@mimorimisa)

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2024 KADOKAWA. All Rights Reserved.