
職場では「仕事ができる」と評価されているが、家事育児は妻に任せっきりの夫・薬師寺シュウ。対して、パチンコ好きの無職ヤンキーだが、家事育児に積極的に関わってくる夫・毒山(ぶすやま)ゴン。両極端な家族のどちらかが崩壊する過程を描いた横山了一(@yokoyama_bancho)さんの「どちらかの家庭が崩壊する漫画」。シュウを溺愛し、人の話を聞かない義母の登場もあって、薬師寺家が崩壊の道を辿るのかと思いきや、そう簡単に話が終わるわけではなさそうだ。
主夫として働くゴンの元に、「電話をかけるだけで月100万円稼げる」という仕事の話が舞い込む。読者からすれば「それ、絶対受けたらダメなやつ!」とツッコミしかない話だが、ゴンはすっかりやる気になってしまっている。一方、義母の存在に悩まされていた薬師寺ユイは、シュウに「義母と距離を置きたい」と“初めて”自分の気持ちをはっきり言うことができた。ところが、シュウには田尻モナという女性の影がちらつき始めた…。
本作は、2022年にX(旧Twitter)で投稿された「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」がベースになっている。毎日更新されたSNS発漫画とあり、スピーディーな展開が魅力だ。横山さんに日々の更新で意識していたことを聞いた。
■読者の反応は「普段はあまり気にせずに」
――本作は投稿されるたび、リポスト(RT)やいいねが多かったですね。読者の反応はよくチェックされているんですか?
読者からの反応はいつもありがたく思っていて、反響が大きければその要素を引っ張ることもあります。ただ、いつも反応がいいというわけでもないので、普段はあまり気にせずに好きなように描いています。この作品は2022年12月から描き始めたんですが、“大晦日で崩壊する”というゴールが決まっていたので、序盤はいつも以上にスピーディーな展開を意識していました。大晦日に崩壊させるために必要な要素を次々と物語に入れていって、崩壊してからは丁寧に描写するようにしましたね。
――ゴンが小遣い5000円と言われて「1円パチンコでも」と言っていますが、主夫としてしっかり子どもの面倒も見ているようですし、初登場時のトーンと比べると、ギャンブル熱もぐっと下がった感じがありますね。
本当のギャンブル狂だと熱が冷めるということはないんでしょうけども、こういうヤンキーパパがいたらいいなと思って描いていたら、いつの間にかトーンダウンしていきました。
――ユイが「自分の気持ちを初めてはっきり言うことができたよ…!」と涙ぐむシーンが印象的でした。ユイのキャラクター設定はどのように考えていたのでしょうか?
シュウのような夫の対になるような妻として考えました。一歩下がって言うことを聞かざるをえないような人物ですね。この話では、自分の意思を伝えられなかったユイが変わっていく姿をテーマにしています。
――ユイの成長ぶりは想定以上でしたか?
そうですね、降りかかる災難が多かったので、話の中で育っていきました。
シュウとの関係を匂わせる女性の存在に対して、ユイはどうしていくのか?そしてゴンは本当に「電話をかけるだけで月100万円稼げる」仕事に手を出してしまうのか?2つの家庭に降りかかる災難から目が離せない。