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最後の1日に密着!東海サウナの名店「ウェルビー名駅店」が、惜しまれつつ3月末で閉店

  • 2023年4月5日
  • Walkerplus

「東海地方のサウナの雄」として全国にその名を馳せる「サウナ&カプセルホテル ウェルビー」。長らく「栄店」「今池店」「名駅店」(いずれも愛知県名古屋市)と、福岡県福岡市にある「福岡店」の計4店舗体制で営業し、数多のサウナーたちを“ととのい”の境地へと誘ってきた。

そんなウェルビーがサウナ界をざわつかせたのは、2022年も暮れようとしていた12月28日のこと。名駅店閉業の一報である。レジャー系複合ビル「名鉄レジャック」が老朽化などの理由で2023年3月31日に閉館することは既定路線であり、入居する名駅店が閉業することもまた既定のこと。別れが近いことを知ってはいた。知ってはいたけれど、多くのサウナーにとって心にぽっかりと穴が開くような寂しい報であった。

しかし、そんな寂しさを吹き飛ばすかのように、同店では「メイエキ ウェルビーサウナ ザ・ファイナル」と題したイベントをパワフルに開催。男性専用サウナ施設ながら、2023年2月13日から19日までは同店史上最長となるレディースデイを開催するなど、最後まで駆け抜けた。

そして迎えた2023年3月31日の最終営業日。名駅店との別れを惜しむサウナファンが大集結し、お祭りのような盛り上がりに。最後の1日を追うととともに、3店舗体制となったウェルビーの新たな展開についても紹介したい。

■紡いできた約半世紀の歴史に幕を下ろす
まずは「ウェルビー名駅」の歴史を紐解いていこう。名古屋駅にほど近い「名鉄レジャック」が開業した1972年には「メイテツレジャックサウナ」という名称のレジャック直営サウナ施設が既に入居していた。写真を見る限りでは、ハワイアンムードあふれるバブリーな内装だったようだ。また、同フロアには日焼けサロンや中国式整体などがあった。

1982年にはウェルビーの前身となる「岐阜大和観光」(のちに中日本ダイワ、大和観光と名称変更)がサウナ施設を受け継ぎ、「ダイワサウナレジャック4」として営業を開始。コアなウェルビーファンであれば察しがつくかもしれないが、“4”は名鉄レジャックの“4階”に位置することを示す。なにより、前身を含めれば半世紀近くの間この場所にサウナ施設が存在していたという事実には驚かされるばかりだ。

そして、1992年には「サウナレジャック4」「ナゴヤサウナ」「ヘルスプラザ今池」「岐阜サウナプラザ」と、バラバラのネーミングだった大和観光系サウナ施設を「ウェルビー」ブランドに統一。それぞれ、「ウェルビー名駅店」「ウェルビー栄店」「ウェルビー今池店」「ウェルビー柳ヶ瀬店(現在は閉業)」に改名された。ちなみに、この年の5月には「ウェルビー東新町店(現在は閉業)」もオープンしている。

2023年3月までウェルビー名駅店支配人を務めていた松本邦仁さんは、入社1年目に東新町店の閉業に立ち会った経験があるという。「東新町店がクローズするときも惜しむ声を頂いたのですが、『淡々』という印象が強かったですね。現在のようにサウナブームではありませんでしたし、当時のサウナ施設は『時間を潰す場所』『終電を逃したら来る場所』というイメージが強かったですから」と松本さん。

一方、サウナブーム真っただ中の現在においては、「最後と聞いて駆けつけました」とウェルビー名駅店を目掛けて訪れたファンも多く、北は北海道、南は沖縄まで、全国各地から来店したお客さんがいたそう。松本さんは「お客様の“施設愛”は現在の方が格段に強いと思います。『サウナの在り方』が時代の移り変わりに伴って、大きく変わったことを実感しました」と続けた。

■最終日はサウナファンが集結!名駅店との別れを惜しむ
いよいよ迎えた2023年3月31日の最終営業日には、慣れ親しんだウェルビー名駅店の最後を見届けようと多くのサウナファンが集結。営業時間中はサウナ室前に順番待ちができるなど、大いににぎわいを見せた。普段の名駅店では実施していなかったアウフグースイベントを1時間ごとに実施するなど、スタッフも最後まで全力でおもてなし。アウフグースとは、サウナ室内で蒸気を発生させ、タオルなどで熱を撹拌。体感温度がグッと上がってきたところで、一人ひとりにタオルで熱波を送るプログラムのことだ。この日は参加希望者が多かったため1回ではサウナ室に収まりきらず、複数回に分けて入れ替わりで熱波を送っていた。

17時にはサウナ施設としての営業を終了し、男女問わず施設内を見学できるイベントを開催。松本さんの「誰も来なかったら寂しいよね」という不安はどこ吹く風で、フロント前には長蛇の列ができた。

不要になった備品などを譲渡する、「蚤の市」を目当てに訪れた人も多数。想定の10倍以上の人数が集まったこともあり、人気の高い館内着などは数秒でなくなる事態に。また、ウェルビーのなかでも名駅店オリジナルの備品である「ととのいバスローブ」もかなり人気が高かった。

混乱を避けるために一部の品は早いもの勝ちではなく、じゃんけんでの争奪戦に。「せっかく来ていただいたので、何かは持って帰っていただきたい」という松本さんの思いからか、レストランの食材や調味料、瓶ビール、果てには装飾品の白樺などまで譲渡品として急遽出品され、会場はカオスな状態に陥っていた。そんな蚤の市がひと段落したあとも、浴室やサウナ室内、カプセルルームで記念写真を撮るなど、参加者は思い思いに名駅店での最後のひと時を楽しんでいた。

多いときは名駅店に週5日通っていたという30代の男性に話を聞くと「名駅店の『森のサウナ』はサイズ感やコンディションが最高でした。ロウリュ(サウナストーンに水をかけること)した瞬間、一気に気持ちよさが押し寄せるんです」とその愛を語ってくれた。セルフロウリュができる本格フィンランドサウナ「森のサウナ」は今やウェルビー全店でスタンダードになっているが、実は名駅店がその発祥である。

そして、サウナーに名駅店の魅力について尋ねると必ず返ってくるのが「動線のよさ」。ロッカー、浴室、休憩スペース、レストラン、カプセルルームなどがすべてワンフロアにまとまっており、短い滞在時間でも満足度が高かった。

ショウガとレモン果汁などが入った「サウナ水」も名駅店の名物であった。松本さんは「『名駅店に行ったら飲んでみて。おいしくないから』なんていう会話が、お客様や従業員の間ではお決まりでしたね(笑)。ショウガには発汗作用があるので、サウナとの相性はいいのですが」と振り返る。思い返せば名駅店ならではのサービスが多かったことに気付かされ、しみじみとしてしまう。

室温マイナス25度ほどの「アイスサウナ」を有する栄店と福岡店、茶室風の1人用サウナや外気浴スペースがサウナ好きの心を鷲づかみにしている今池店。“クセ強”の他店と比較するとニュートラルな印象があった名駅店だが、実はエッジが効いた施設だったのだ。

名鉄レジャックが完全閉館を迎える21時が近づくと、松本さんから最後まで残ってくれた参加者へのあいさつが始まる。「最後までありがとうございます。ウェルビーは永遠に不滅です!」と、激動の最終営業日を無事に終えて感極まった様子。最後には「名駅店が愛されてきたことを改めて実感しました。築き上げてくれた諸先輩方に感謝したいです。最後に立ち会わせていただいて本当に光栄です」と語ってくれた。

■重大告知も!名駅店の物語を引き継ぐウェルビー3店舗
続いて「サウナ界のゴッドファーザー」こと米田行孝社長があいさつ。「今回、ウェルビー名駅を閉めるにあたって、最後までみなさんが盛り上げてくださいました。お店が無くなることを惜しまれることって、なかなかないことだと思います。僕にとってもそうでしたが、ウェルビー名駅って『ため息を落としに来る場所』だったかなと思います。ウェルビー名駅は残念ながら閉まってしまいますけれど、ウェルビーはこの物語を、皆さんの想いを引き継いでいきます」と高らかに宣言し、拍手が巻き起こった。そしてこのあと、米田社長から重大な告知がなされる。

「ウェルビー栄の新しい女性専用エリア、男女共用のエリアがまもなくオープンします。またお会いできるのを楽しみにしています」と栄店のリニューアルを社長自らが告知。この日の名駅店には女性サウナーも多く訪れていたこともあり、大きな歓喜の声が上がった。名駅店の物語は、これから「栄店」「今池店」「福岡店」に引き継がれることになる。

■サウナ&カプセルホテル ウェルビー今池店
今池店は、3店舗のなかで唯一の露天スペースが魅力。露天エリアには温泉もあり、からふろ(茶室風の1人用サウナ)をはじめとする4つのサウナで蒸されたあとの外気浴が人気だ。

■サウナ&カプセルホテル ウェルビー福岡店
唯一の名古屋市外店舗である福岡店は、ドライサウナ、森のサウナ、からふろの3つのサウナが楽しめる。また、栄店と同じくアイスサウナを完備しているのに加え、水温5度の強冷水風呂もサウナーからの支持が高い。

■サウナ&カプセルホテル ウェルビー栄店
リニューアルの発表があった栄店は、ドラマ「サ道」に登場するなど、名古屋の聖地として全国的に人気の施設。ここに、女性専用エリア「Forest House」と、男女一緒にサウナを楽しめるエリア「Sauna Theater NAGOYA」の2つが新設されるという。オープン日などの詳細は、2023年4月6日現在未発表。続報が待たれる。

■Sauna Lab(サウナラボ)
そのほか、「サウナ&カプセルホテル ウェルビー」は、本場フィンランドのサウナ体験ができる施設「SaunaLab」3店舗を系列店として展開。「SaunaLab Nagoya」と「SaunaLab Kanda」(東京都千代田区)は女性・男性ともに利用できるほか、「SaunaLab Fukuoka」は女性専用施設となっている。


取材・文=安田 淳/撮影=古川寛二

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