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片岡愛之助「映画とは違った恐怖を感じてほしい」貞子とコラボした“日本怪談歌舞伎”公演まであと2週間

  • 2022年9月19日
  • Walkerplus

日本の伝統芸能である“歌舞伎”と、日本のホラークイーンの地位を不動のものにしている“貞子”が史上初めてコラボレーションした日本怪談歌舞伎「貞子×皿屋敷」。本公演では、歌舞伎作品に登場する“皿屋敷伝説”と、「リング」シリーズに登場する怨霊のキャラクター・貞子がコラボレートした新作歌舞伎『時超輪廻古井処(ときをこえりんねのふるいど)』が上演される。主演を務める片岡愛之助に、本公演への思いや日本を代表する最恐キャラ貞子の印象などを語ってもらった。

■舞台ならではの“生の恐さ”で「映画とは違った恐怖を感じてほしい」
――本公演はホラー映画の金字塔である『リング』の貞子と、歌舞伎の『播州皿屋敷』の世界観が融合された作品になるとのことですが、このコラボレーションを最初に聞いた時はどう思いましたか?

【片岡愛之助】『播州皿屋敷』にはお菊さんが投げ込まれた井戸が出てきますから、井戸から出てくる貞子とうまくハマるのではないかなと思いました。ただ、『播州皿屋敷』は室町時代後期のお話なので、現代劇に登場する貞子とどういう風に絡んでいくのかというのはまだ想像がつかないです。聞いたところによると“井戸が時空を歪める”そうなので、非常におもしろい展開になるのではないかなと思います。

――貞子は『リング』の中で“見てはいけない恐ろしいもの”という描かれ方をしていましたが、本公演の“貞子の恐さ”はどのように表現されると予想されますか?

【片岡愛之助】舞台ならではの“生の恐さ”みたいなものを表現することで、映画とは違った恐怖を感じていただけたらうれしいですね。例えば、お化け屋敷は人間が演じているとわかっていても“ヒュ〜ドロドロドロ”という音と共にお化けが出てくると驚いてしまうじゃないですか。

そういう恐さを盛り込みつつ、ドロドロとした人間の内面の恐さも表現できたら、より楽しんでいただけるのではないかと。その辺りはこれからいろいろなアイデアを出していきたいですね。

――どのようなアイデアを考えていらっしゃいますか?

【片岡愛之助】おそらく映像は使うと思うので、どう見せたらおもしろいかを考えなければと思っています。ただ、デジタルに頼った演出をしてしまうと、歌舞伎ならではのアナログの良さが薄まってしまうので、そのバランスが重要になってくるのではないかなと。

あと、“歌舞伎の約束事”ということが多々あって、そこを大事にしないとJホラー“歌舞伎”として成立しないので、脚本を担当されるG2さんと相談しながら進めていこうと思っています。

――ちなみに“歌舞伎×フラメンコ”がコラボレーションした『GOEMON 石川五右衛門』の時はどのようなアイデアを出されたのでしょうか?

【片岡愛之助】石川五右衛門が「スペイン人の父親と日本人の母親を持つハーフだったら」という世界観を考え、ならば赤毛がいいのではないでしょうかと提案させていただきました。2011年に『GOEMON』として上演し、その後も再演させていただいているので、「Jホラー歌舞伎」もそういう作品になったらいいなと思います。

■観劇した中学生の感想文は「心を打ちましたし、印象に残っています」
――片岡愛之助さんは、国を二分する有力守護大名のひとりである細川家の国家老・浅山鉄山を演じられます。『播州皿屋敷』では悪人として描かれていますが、本公演ではどういった描かれ方をするのでしょうか?

【片岡愛之助】本公演での鉄山は『播州皿屋敷』と変わらず悪人として登場します。ただ、少し違うのは、彼にとっての初めての経験や予想もつかないようなことが起きたりするので、いろいろと“学びを得ていく”ということ。これまでにない人間味溢れる鉄山をお見せできるんじゃないかなと思います。

――8月には『東海道四谷怪談』で、お岩さんに恨まれる伊右衛門を演じていらっしゃいました。悪役を演じることのおもしろさをどんなところに感じますか?

【片岡愛之助】演じるお役が武家出身なのか侍なのか、はたまた町民なのか、設定によって“悪の表現の仕方”が変わるところがおもしろいです。また、“悪の華”という言葉がありますが、歌舞伎ならではの“悪の美しさ”をどう表現するか考えるのも楽しいですね。

舞台を観劇してくれた友人から「愛之助が演じていた役、とんでもなく悪い奴だったね」と感想をもらうのもうれしくて、いつも最高の褒め言葉だと受け止めています(笑)。

――これまでにお客様からいただいた感想で、特に印象に残っている言葉があれば教えていただけますか?

【片岡愛之助】小学生から大学生までを対象にした「学生のための歌舞伎教室」というものがありまして、学校関係の知り合いの方から「どんな演目がいいかな?」と聞かれたので『GOEMON』を薦めたんです。それで観劇してくださったのですが、ご両親はもちろん、生徒の皆さんも喜んでくださったのはすごくうれしかったですね。

中には感想文をくれる生徒さんもいて、「今日、初めて歌舞伎を観ました。俳優さんの目の動きに迫力があっておもしろかったです」と書いてくれていて、細かいところまで見てくれたんだなと感激しました。その言葉は心を打ちましたし、印象に残っています。

――そういった体験がないと、観劇したい気持ちがあっても敷居が高くて躊躇してしまったりしますよね。

【片岡愛之助】そうなんです。まずどういう服装で行けばいいのかわからなかったりしますよね。でも、普段の格好でまったく問題ないことだけは知っておいてほしいです。例えば、カジュアルなスタイルもそれはそれでカッコいいですし、着物姿でバッチリきめるのも素敵です。

観劇後はおいしいディナーを食べて、スペシャルな1日を過ごすのもおしゃれだと思います。いろいろな観劇のスタイルがあっていいと思うので、もっと気軽に観にきてもらえたらうれしいです。

■映画鑑賞後に本公演を観ると「舞台上の井戸を見ただけで震える」
――過去に、宮藤官九郎さんが手掛けられた歌舞伎×ゾンビの『大江戸りびんぐでっど』を拝見したことがあるのですが、意外にもマッチしてしまうところが歌舞伎の魅力のひとつでもあるなと感じました。愛之助さんは今後どのようなものと歌舞伎を組み合わせてみたいですか?

【片岡愛之助】宮崎駿さんの作品だと「風の谷のナウシカ」が歌舞伎の演目として上演されましたが、ほかにも歌舞伎に合う作品がまだまだあるので、いつか宮崎駿アニメ×歌舞伎に携われたらいいなと思います。誰もが知っている人気作品とのコラボレーションさせていただけることは、歌舞伎に興味を持っていただくきっかけになるので、機会があればどんどん挑戦させていただきたいですね。

――貞子の話に戻りますが、映画『リング』をご覧になっていかがでしたか?

【片岡愛之助】公開当時も拝見しましたし、本公演の話が決まってからまた見直したのですが、なにより貞子のビジュアルが恐いなと改めて思いました。髪の毛で顔がまったく見えないですし、髪の隙間からチラっと覗く片目も強烈で(笑)。この間貞子のYouTubeチャンネル「貞子の井戸暮らし」を拝見したのですが、明るい音楽を使っていてかわいらしいなと微笑ましく見ていたら、突然、貞子が井戸から出てくる映像が一瞬映ったのでゾクっとしました(笑)。海外でも人気のあるホラーキャラクターですし、“さすが貞子、やってくれるな”と思いました。

――海外のホラー作品もご覧になりますか?

【片岡愛之助】最近の作品よりも「13日の金曜日」や「オーメン」といった旧作ホラー作品が好きです。海外のホラーは日本とは違う恐さがあってそれもまたいいですよね。

――映画『リング』をご覧になったことがない方もいると思いますが、本公演の観劇前に観ておいたほうがいいですか?

【片岡愛之助】映画を観てからのほうが“うわ!井戸がある!”と舞台上の井戸を見ただけで震えると思うので、ぜひ映画『リング』を鑑賞してからお越しください(笑)。

10月28日(金)には新作映画『貞子DX』もありますから、いろいろなコンテンツで楽しんでいただけるのではないかなと。これからもユニークなアイデアで歌舞伎や映像作品を作って、芸術文化を盛り上げていきたいと思います。

取材・文=奥村百恵

◆ヘアメイク:山崎潤子

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