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スターバックスと“高崎だるま”がつなぐ縁!地元の特産品で家族や友人とリコネクト

  • 2022年7月6日
  • Walkerplus

2021年12月、群馬県高崎市内にあるスターバックス コーヒー5店舗に、スターバックスカラーの小さなだるまが並んだ。“群馬県ふるさと伝統工芸品”にも指定されている、地元の特産“高崎だるま”だ。アメリカ発のスターバックスと日本古来のだるま――。その意外な組み合わせに、記念撮影をする若者の姿も少なくなかったという。スターバックスに、なぜ“高崎だるま”が置かれているのだろうか。

■「高崎=だるま」でパートナーが一致
高崎だるまが飾られているのは、「高崎駅ビル モントレー店」「イーサイト高崎店」「高崎オーパ店」「高崎上中居店」「高崎貝沢店」の5店舗。各店のパートナー(従業員)が絵付けをしただるまは、書かれたメッセージやその表情に各店の特徴が出ており、見ると思わず微笑んでしまう。

「高崎では年末年始に、家内安全と商売繁盛を祈願して、家族みんなでだるまに目を入れるという素敵な文化があるそうです。コロナ禍でなかなか会えない家族や友人、地域の方と“リコネクト(=再びつながる)”していただきたいという願いと、高崎に帰省された方に地元のよさを改めて知ってもらいたいという思いから、店舗でもこの素敵な文化をご紹介したいと考えました」と語るのは、高崎駅ビル モントレー店ストアマネージャー(店長)の酒井範子さん。

1年ほど前に県外の店舗から同店へと着任した酒井さんは、「自分が新たに暮らす街はどんな場所なのだろう」と調べているなかで、高崎だるまに行き着いたのだという。高崎駅をはじめとしたさまざまな場所でだるまを見かけたが、「私の持っている“商売繁盛”のイメージは熊手や招き猫だったので、不思議だな」と最初は驚いたそう。「店のパートナーに聞いても、みんな口を揃えて『高崎はだるまです』って言うんです。なので、やっぱりそれが高崎の魅力なんだなと思いました」。

そこで、店の常連客でもあった高崎市観光協会の方に紹介してもらったのが、高崎だるまを製造・販売している「吉田だるま店」だ。酒井さんの呼び掛けで市内5店舗のストアマネージャーやパートナーが吉田だるま店を訪ね、だるまの歴史を学び、絵付け体験をしたのだという。

だるまには、各店舗が自由に絵を描き、店ごとのビジョンを文字で記した。高崎駅ビル モントレー店のだるまに描かれているのは、駅ビルにある店舗らしく「列車のレール」と「上毛三山(赤城山、榛名山、妙義山)」。「想いを伝える」という言葉には、「地域のことを発信する場として、そしてお客様にとって居心地のいい場所として永遠に続くよう、私たちがお客様を思う気持ちを伝えていこう」という意味が込められている。

高崎貝沢店のだるまには、“LOVE”の文字やハートマークが描かれた。そして「HEARTFUL AT STARBUCKS」は、「何事にも愛を持って接し、成長していきましょう」という店舗ビジョンが表現されている。「“明るい気持ちでいよう、ハッピーでいよう”という高崎貝沢店らしい明るいだるまができました」と、同店ストアマネージャーの君島大地さんは笑う。

だるまの展示は、毎年1月1日・2日に高崎駅前で開催される「高崎だるま市」に合わせて昨年12月末からスタート。各店が思いを込めて絵付けしただるまは、「かわいい」「地域の特徴が出ている」と反響も大きく、各店に置いた吉田だるま店のパンフレットはあっという間になくなってしまったという。

だるま市開催中の高崎駅ビル モントレー店には、だるまを手にした“市帰り”の客も多く訪れた。酒井さんは「だるま市にも行きましたが、来場者がみなさん笑顔で。お祝いの雰囲気が街にあふれていたのがすごく印象的でした」と、初めての祭りを通して、地域のだるま愛を改めて感じたようだ。


■縁起だるまから広がる、新たな活動とその思い
高崎だるまは、群馬県の旧・豊岡村が発祥といわれる縁起だるまで、約200年の歴史を持つ。県内には約45もの製造業者があり、70人ほどの職人が伝統を継承。だるまは生地に着色したあと、昔ながらの手作業で顔が描かれる。鶴をかたどった眉と亀をかたどった口ひげが特徴で、選挙だるまとしても有名だ。

吉田だるま店の吉田昌弘さんが理事長を務める群馬県達磨製造協同組合では、「生活様式が変わっていくなかでも、だるまは残していきたい。ぜひ親しんでほしい」と、小学校で絵付け体験講座を開催しているほか、国の“伝統的工芸品”指定を目指して精力的な活動をしているという。「そんななかでスターバックスさんに声を掛けていただいたことは、高崎だるまを多くの人に伝えるきっかけにもなり得るので、大変うれしく思っています。こちらが驚くくらい、絵付けにもとても真剣に向き合っていただいて。みなさんいいだるまが出来上がっていましたよ(笑)」と、吉田さん。

スターバックスのだるまの色は、吉田さんが事前に着色したもの。絵具のように色を混ぜることでさまざまなカラーのものが作れるそうで、近年はオリジナルカラーに社印やユニフォームの絵付けを施すといったオーダーもあり、それらもすべて手作業で描いていくのだという。

「吉田さんが絵付けをする姿を見て、率直にかっこいいと思いました」とは、高崎貝沢店の君島さん。「魂を込めて絵付けをされて、歴史をつないでいる人が本当にいるんだと、訪ねたからこそ実感できました。お店に戻ってすぐ、パートナーにだるまを見せながら語りましたよ(笑)」

吉田さん自身もスターバックスでのだるまの展示を見たそうで、「ディスプレイがとても都会的で。だるまの展示方法も、こうして時代に合わせて進化していくといいなと思いました。スターバックスとだるまってあまりイメージできない組み合わせだと思うんですけど、『あそこに置いてあったよ!』と周囲の方にもすごく声を掛けていただきました」と言う。活動を通じて、スターバックスのパートナーたちと吉田さん、双方の思いがお互いに響いたようだ。

「今年の年末には店のみんなで目入れをして、お焚き上げに持っていく予定です。また新しいだるまを作りたいですね」と酒井さんと君島さん。

高崎駅ビル モントレー店が入るビル「高崎モントレー」では、ほかのテナントでもオリジナルだるまを作ろうという動きがあるという。各店舗からの発信を誰かが確実に受け取り、そうしてつながりが広がっている。高崎だるまとの取り組みに触発された君島さんは、「地域に根差して、“孤独の解消”へ取り組みたい。まずは小さなお子さんがいる女性の居場所となるママカフェから」と街づくりへの思いを口にする。

人々の日常の願いや目標に寄り添う高崎だるまのように、これからも地域に寄り添い、文化や魅力を発信し続けていく。


※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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