波瑠、理想の恋人は「自分の話を聞いてくれる人」恋愛経験ゼロの30歳を演じた最新作が配信

  • 2022年3月18日
  • Walkerplus

「恋に落ちたおひとりさま~スタンダールの恋愛論~」(全10話)が、3月18日よりAmazon Prime Videoで独占配信。本作は200万部超えの小説「夢をかなえるゾウ」(文響社)の水野敬也による「運命の恋をかなえるスタンダール」(文響社)が原作で、フランスの作家・スタンダール(演・小日向文世)の指南を受けて初恋を成就させるべく奮闘する主人公の姿を描く。

主人公の聡子は、とあるトラウマを抱え、自己肯定感が低く恋愛経験ゼロの30歳という役どころ。演じる波瑠に、自己肯定感を上げるための方法や恋愛観、30代を迎えて考えていることについて語ってもらった。

■聡子との違いは「私は中からおじさんが出てくるんじゃないか、みたいなタイプ」
――台本を読んで、まずどんな印象をもちましたか?

【波瑠】ある日突然、聡子にだけ見えるスタンダールが現れるという、ファンタジーとリアルが混ざった世界観がとてもおもしろいと思いました。それに、聡子が理想の自分になるために、苦しさや痛みと向き合って幸せになっていこうとする姿にとても感動したんです。彼女に寄り添いたくなるというか、応援したくなるような作品だなと感じました。

恋愛要素が強い印象のタイトルですけど、変わりたいと思っている今の自分を脱ぎ捨てて、人生のステージをひとつ進めるために聡子に必要なのが恋愛だった、という切り取り方をしている作品だと思います。

――聡子に共感できる部分や、自分と重ねた部分があれば教えてください。

【波瑠】聡子が感じているような、その人にしかわからないコンプレックスってきっと誰にでもありますよね。私も子供の頃の自分のことを思い返すと、対人関係につまづきやすいとか、そういうところは理解できます。

――では、自分とは違うと思った部分はありますか?

【波瑠】聡子は私と違って乙女ですね。私は、チャックを開けたらおじさんが出てくるんじゃないか、みたいなタイプなので(笑)。面倒をみてあげたくなるような彼女の人間性は、とてもかわいらしいと思いました。

――そんな聡子を演じるうえで、どのように理解していったんでしょう?

【波瑠】聡子は自分と人を比べた時に、「なんで自分はこんなにダメなんだろう」と真に受けてしまう真面目すぎるところがあると思います。それで「できないのは私がダメだからだ」と、すぐそういう答えを出してしまう。そんな彼女の気持ちの根本にあるのは、“みんなが普通にできていることができていない”という自分への不満や苛立ち、葛藤だと思うんです。つまり、恋愛がしたいというより、“みんなと同じになりたい”というのが強い願いだったんじゃないかなって。

恋をするまで聡子は、誰かと比較して落ち込むという感情に直面することがなかったんだと思うんです。彼女にとってはそれが幸せなことだったけれど、恋愛をするとか人と関わるということは、比較対象になる誰かが目の前にずっといるってことじゃないですか。ですので、彼女は恋愛に向き合うことで成長できたんだと思います。

■この世界でやって行くうえで大切なものを積み上げての“今”
――聡子は少しずつ、自分自身の魅力に気付いて変わっていきますね。

【波瑠】例えば、自分の姿を鏡で見て「いいじゃん」って思える人は芯がすごく強い。自分に自信がない人とは、持っているものが違うんです。そうなれない人は、自分が信頼している人に認めてもらうことが一番だと思います。自分に自信が持てない人は「自分はここがいいところだと思う」というジャッジにすら自信が持てないんです。でも、“この人なら”と思う人に肯定してもらえたら、一気に自分の価値が高まったような感じがすると思います。人間って自分の力だけじゃ動かせないものがあると思うので、周りの声というのも大事ですよね。

――ご自身にもそういった経験があるんでしょうか?

【波瑠】私は褒められて伸びたいのに、あまり褒められないっていう感じなので…(笑)。でも共演した先輩などから、良かったと言ってもらえるのはすごくパワーになります。「やったー!」っていう心の跳ね方が全然違うんです。私が大好きな先輩はたくさんいらっしゃいますが、あえてお名前をあげるとすれば中井貴一さんからの言葉に大きな力をいただきました。
――聡子はスタンダールの助けもあって、自分には無理…と思うことにぶつかっていきますが、波瑠さんにも無理めだけど頑張ろうと挑戦した経験はありますか?

【波瑠】無理めばっかりですよ(笑)。だって、私がこの世界に入ったのも、逃げ出したいが故の思い付きだったんです。中学1年生くらいの時、学校に馴染めなくて、どうにか行かなくてもいい方法を…と考えて、オーディション情報誌を買って、すぐに応募しました。現実逃避から始まったので、最初からうまくいくわけもなく、無理めなことばかりでした。

――波瑠さんはそれをどのように乗り越えてきたんですか?

【波瑠】根性です(笑)。でも、自分ひとりでどうにかなったということは絶対になくて、周りに恵まれていたというのが大きいです。厳しく指導してくれる人がいたり、マネージャーが間違った方向にいかないように正してくれたりした中で、この世界でやっていくうえで大切なものを本当に少しずつ積み上げていって…という感じです。

■理想の恋人は「自分の話を聞いてくれてるなって思う人」
――ちなみに、聡子は瀬戸康史さん演じる涼介に一目惚れしますが、波瑠さんは一目惚れはありえるタイプですか?また、好みをあげるとするとどんな人ですか?

【波瑠】一目惚れはあまりないですね。見た目より、自分の話を聞いてくれてるなって思う人がいいなって思います。恋人って、親や友達とも違う、ものすごく特別な親密さを作る関係だから、自分のことをわかってくれていると感じられないと辛くなると思うんです。なので、コミュニケーションとして、会話が苦じゃないことはすごく重要だと思います。

■スタンダールの言葉から思ったのは「女性はみんな角をもっている」
――スタンダールの恋愛論が本作のテーマではありますが、人間関係における理論も出てきました。参考になったものや印象的だったものはありますか?

【波瑠】スタンダールからの助言に「角をもて」という言葉があるんです。これは「草食動物には獲物を襲うための牙はないけれど、自分を守るための角をもっている」という、頭を使って自分なりに勝て、ということなんですね。「何もできないと思わずに、自分の角で戦ってみなさい」というメッセージは、親から子への言葉のようであり、一方で私は女性はみんな角をもっていると思ったんです。「これだ」と思う自分にとっての角を持っていれば安心できるし、強く生きるための支えになる、いい言葉だなと思いました。

――スタンダールを演じた小日向文世さんとは初共演ということですが、ご一緒してみていかがでしたか?

【波瑠】角の話をする時に、草食動物のジェスチャーをされていたのがとてもかわいらしくて印象に残っています(笑)。演説のように話す難しいセリフが多いだけでも、とても大変だったと思うのに、前田哲監督と作品をおもしろくするためのディスカッションをよくされていました。本当に楽しんでやられているからこそ、チャーミングで生き生きとしたスタンダールになったんだろうなと。もし小日向さんじゃなかったら、まったく違うスタンダール像になっていたんじゃないかと思います。聡子の家で、デートのための服をああでもない、こうでもないってスタンダールと一緒に選んでるシーンなんかは、気持ちがとっても柔らかくなって、楽しかったです。

――昨年30歳を迎えられましたが、仕事に対してのご自身の変化はありますか?

【波瑠】役を演じるうえで、自分の人生経験を反映したバリエーションが想像できたり、監督やスタッフさんとディスカッションして作品を作っていくことができるようになったりしたのは、大人になったからこそだと思います。

ただ、30歳くらいになったら、もっと余裕を持っていろいろなことができると思っていたのに、いつまでも緊張するし、そこはあんまり変わらないんだなって思います(笑)。緊張するっていうのは悪いことだけではないと思うけれど、欲を言うならばもっと気持ちに余裕ができたらいいなって。そのバランスがとれた時に、小日向さんのようなキャパシティの大きな俳優に近づけるのかもしれないですけど、でも、まだまだずっと先のような気がしますね。

――たくさんの役を演じてきていらっしゃるとは思うんですが、今後やってみたい役や作品はありますか?

【波瑠】久しぶりにすごく性格が悪い役ができたらおもしろいですね。あと、子供のいる役とかもできるようになったらいいなと思います。

撮影=八木英里奈
取材・文=大谷和美

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