サイト内
ウェブ

真夜中でも食べてOK?湖池屋が生み出した「罪なきからあげ」はなぜ“罪じゃない”のか

  • 2022年2月16日
  • Walkerplus

夜中に小腹が空いた時やダイエット中の時こそ、揚げ物やお菓子を食べたくなってしまうもの。そんな時に手軽に罪悪感なく食べられるのが、「カラムーチョ」などのヒット商品を作る株式会社湖池屋が2019年に発売した「罪なきからあげ」。

「罪なきからあげ」は今流行中の“大豆たんぱく質”を使用し、カラッと揚げて特製のタレをかけた、まるで鶏のからあげのようなおやつ。「からあげを罪悪感なく食べられる」と、若い世代を中心に支持を広げている。

だがキャッチーな「罪なき」という名前やヘルシーさとは裏腹に、長い年月苦労を重ね、やっとの思いで開発に成功したという。今回は「罪なきからあげ」を開発した湖池屋 マーケティング担当の新井美彩さんに、罪なきシリーズが生まれたきっかけや、この商品が“なぜ罪じゃないのか”を聞いた。

■「耳たぶ2つ分の柔らかさ」って!?大豆に苦戦の開発秘話
「罪なきからあげ」は、材料に“代替肉”と呼ばれる大豆たんぱく質を使用した商品。1袋117キロカロリーと低めで、現代人に不足しがちなたんぱく質を手軽に食べられるようにと作られた。現在はからあげのほかに「罪なきとんかつ」「罪なきおつまみ ひとくち唐揚げ がっつりにんにく醤油」とシリーズ展開がされている。

「流行中の大豆たんぱく質を使っておいしいものを作りたい」という思いから始まったこの商品だが、湖池屋はポテトチップスを主力としたスナックメーカー。多く扱っている主原料の1つがジャガイモで、今回の原料は大豆。これまで開発陣が扱ったことがなかった材料のため、全てが手探り状態のまま開発がスタートした。さらに大豆の生地といえば、通常はハンバーグなどのかさ増しに活用される食材。これ単体でおいしい味や肉の食感を再現するのが難しく、納得のいくものができるのに約3年もの年月を費やした。

「スナック菓子がメインの当社が開発する意味として、『おいしく手軽に食べられるもの』を提供することが使命だと思っていたので、味や食感に徹底的にこだわりました。そのため実際のからあげ同様、衣をつけて油で揚げて最後に味付けをするのですが、ポテトチップスで培ってきた『揚げの技術』を駆使して仕上げたことが、開発に成功した大きな理由の1つでした」

開発陣はスナック感覚で食べられる商品として、湖池屋ならではの独自性を表現しながらも、次から次へと食べたくなるおいしさと食感と納得感を長い間探し求めた。

「食感にこだわりすぎたため『耳たぶ2つ分の柔らかさで!』など、社内で不思議な表現が生まれたりもしました(笑)。実は全体を鶏皮のようなカリカリの食感にするアイデアもありました。ですが最も食べやすい食感と、よりおいしく楽しんでもらうことを追求していくうちに、鶏もものからあげのように外はパリパリ、中はしっとりな食感になりました」

苦労を重ねた末に発売された「罪なきからあげ」は、「本物のからあげみたいでおいしい!」と好評に。その後より本格的なからあげ感を求めてリニューアルを行い、全国販売に至った。

そして2021年6月に発売されたのが、シリーズ第2弾の「罪なきとんかつ」。こちらも大豆たんぱく質でできており、サクッと揚げた生地に人気店「とんかつ和幸」監修のこだわりソースをかけたひと品。噛めば噛むほど口の中に濃厚なソースの味わいが広がり、まるでロースカツを食べているような感覚だ。

「罪なきとんかつ」もからあげと同じように、味や食感に徹底的にこだわっている。表面にはきめ細やかな衣がついており、サックリとした食感もまさにトンカツそのもの。深夜に揚げ物が食べたくなった人にはうってつけだ。

ちなみに開発中、ありとあらゆる食感や味の試作品を毎日食べ続けた新井さんたちは、たんぱく質不足が解消されて体調が良好に。特に髪質が改善されたんだとか。「見事にツヤツヤになりました!苦労の結果、健康が手に入りました」と新井さんは笑いながら話してくれた。

■「1日6食時代」に増えるおうち時間…時代に寄り添うお菓子に
罪なきシリーズを開発するうえで、もう1つ大きなきっかけがあった。それはスナック菓子を食事がわりに食べる人が増加し、それにより食事の回数が増え「1日6食時代」になっているという現状だった。

「今の若い人は朝食を食べず、仕事の合間やスマホをいじる時などに少しずつ食事をする人が増えています。そんな時代に当社から食事の選択肢になるような、スナック菓子ではない『軽食に近い商品』を提供できたらという思いもありました」

最初に発売された「罪なきからあげ」は、男性では20〜30代、女性では30〜40代に多く購入されている。小腹が空いた時や忙しくて食事を取れない時などに、サッとつまめる低カロリーの食事としても食べられているという。

時代にフィットした戦略で支持を広げる罪なきシリーズ。さらに2021年10月には、コロナ禍で増加したおうち時間やリモート飲みなどの需要に応えるために「罪なきおつまみ」が誕生。

「コロナ禍で、人とスナック菓子の距離感が縮まった印象があります。その証拠に、コロナ禍で1番買う頻度が増えた食べ物のジャンルを調べると『お菓子』なんです。そのなかでもスナック菓子が1番売れています。また、コンビニなどでは以前よりおつまみコーナーが拡大されているように感じます。このようなご時世だからこそ、おうちで気軽に楽しめる弊社の商品を選択肢の1つとして選んでいただければと思います」

■ユニークに健康においしく!ロングセラーを目指して
罪なきシリーズには、「現代人の健康に寄り添いたい」という湖池屋の熱い思いが込められていた。大豆たんぱく質をカジュアルに食べられるおやつに仕上げることができたのは、ユニークかつ確実においしい商品を手掛けてきた湖池屋だからこそではないだろうか。最後に、新井さんに罪なきシリーズの今後の展望を聞いた。

「まずは全国の人に知ってもらいたいです。現状、当社のロングセラーブラントと比べるとまだ認知度が低いので、まずは商品を手に取って召し上がっていただいて、『おいしい』と言ってくれるファンを増やしていきたいです。ぜひ一度お試しください!」

安心安定の人気を誇るスナック菓子を生み出し続けた湖池屋が作る「罪なきシリーズ」。知っていた人もこの記事を読んで知った人も、自分の食生活を見直しつつ、手軽においしく大豆たんぱく質を食事に取り入れてみよう。

取材・文=福井求

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2024 KADOKAWA. All Rights Reserved.