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コロナ禍の「イベント」、2020年から2021年にかけてどう変わった?中止率の推移から見えたもの

  • 2021年12月13日
  • Walkerplus

2020年から2021年にかけて、コロナ禍により多くのイベントの開催が左右されてきた。陽性者数の推移、数度の緊急事態宣言やワクチン接種の普及など事態がめまぐるしく移り変わった中で、イベント開催にはどのように影響してきたのか。ウォーカープラスでは2020年6月から2021年11月にかけて、各調査日ごとに1カ月後から2カ月後までの期間に開催予定だったイベントのうち、中止となったイベントの件数の割合を算出。その推移を追った。

■イベントの中止率は最初の緊急事態宣言以降減少傾向
今回の調査は第1回目の緊急事態宣言解除から約1カ月が経過した2020年6月24日時点からスタート。この時の1~2カ月後(2020年7月24日~8月23日)のイベント中止率は36.8%。この時点の日別新規陽性者数は100人未満で推移していたものの、今回の調査期間内ではもっとも高い中止率となった。

2020年8月1日には全国の新規陽性者数が1537人を数えるなどいわゆる「第2波」感染拡大の山を迎える一方、8月6日時点の1~2カ月後(2020年9月6日~10月5日)のイベント中止率は21.4%と減少傾向。8月7日をピークに新規陽性者数が一旦減少に転じるのと同様にイベント中止率自体は減少を続け、10月29日時点の1~2カ月後イベント中止率は5.8%となった。同時期には収容人数50%で実施していたプロ野球で観客を満席近くまで入れる実証実験を行うなど、感染者数の動向が比較的安定し、大規模イベントの入場制限の緩和に向けた模索が行われた時期でもあった。

なお、同時期(2020年11月1日~11月30日)のイベント総数は中止も含め1298件で、前年同時期(2019年11月1日~11月30日)のイベント件数3565件と比べ、母数自体が約3分の1ほどに減少。コロナ禍が長引く中、告知前に開催を見合わせる催しが増加したと考えられる。

■3度目・4度目の緊急事態宣言の合間に再び中止率10%超え、東京2020の開催影響も?
だが、10月後半から「第3波」とされる感染拡大の時期が到来。11月18日に新規陽性者数が初の2000人を超えると、第二波のピークを更新し続け、1月8日には8045人の陽性を確認。1都3県で2度目の緊急事態宣言が発令され、1月13日には11都道府県に拡大した。

一方で同時期の2021年1月14日時点の1~2カ月後開催イベント(2021年2月14日~3月13日)の中止率は0.2%と今回の調査中最低。イベントの開催件数も432件ともっとも少なく、新規のイベント開催が見込まれないという時期となった。

その後、イベント件数は2月25日時点で1393件と復調しながら、中止件数は3.9%と少ない割合に。1月14日から5月27日時点までの中止率は5%未満で推移した。これは席の間引きや収容制限、換気をはじめとした感染症予防対策の徹底など、イベント主催側での基準や対策が普及したことで急遽中止を判断するケースが減少したことも影響したとみられる。

大きな動きがあったのは6月。6月10日時点の調査ではイベント中止率が11.2%と2020年10月以来の10%超えを記録した。同時期は3度目の緊急事態宣言の範囲が拡大していたが、沖縄県を除き、宣言が解除された日以降の6月24日時点の調査(対象:2021年7月24日~8月23日)でも中止率は14.4%と高く推移した。一方、東京都で4度目の緊急事態宣言が発令されていた7月29日時点(対象:2021年8月29日~9月28日)の調査では中止率5.9%と一気に減少したことから、同時期の中止率はコロナの動向もさることながら、東京オリンピック・パラリンピックの開催の判断や、開催に伴い政府が掲げた人流対策が与えた影響も大きかったと考えられる。

■6月からワクチン接種率が伸長も夏場は感染拡大、一方でイベント中止率は減少
また、コロナ禍における2021年のトピックであるワクチン接種。2月に医療従事者を対象とした優先接種がスタートし、4月からは65歳以上の高齢者向けの優先接種もはじまった一方、全人口の接種率が伸び始めたのは6月以降。8月から9月にかけ第5波とされる感染拡大を迎える中で接種が進められた。

他方、8月5日から9月30日時点での調査ではイベント中止率は3~7%と低く推移。イベントの開催母数も前年同時期と大きく変わらず、中止件数もイベント母数が前年と大差ない中で7月以降は減少に転じた。

この期間にはいわゆる「夏フェス」シーズンとして、FUJI ROCK FESTIVALが2年ぶりに開催されるなど、昨年は多くが開催中止となったフェス系イベントも感染症対策を徹底して行われるケースが少なくなかった。このことから、2021年は感染拡大がイベント開催に与える影響が昨年に比べ鈍く、ワクチン接種の普及を待たずとも現状の中でできる範囲のイベントを開催する新様式が浸透していたと見ることもできる。

実際に2020年と2021年のイベント中止率を比較すると、2020年のイベント中止率は25%(イベント総数2万1596件、うち中止5324件)だったのに対し、2021年は11月25日調査時点で11%(イベント件数2万862件、うち中止2385件)と、イベント総数は大きく変わらない中で中止率は半減。コロナ禍が続くことを念頭に置いた上でイベントが企画されるようになった結果と考えられる。

■コロナ禍でもっとも中止を余儀なくされたのは「祭り」。ライブ・音楽イベントは復調
くわえて、イベントのカテゴリーごとの中止率も比較した。中止率がもっとも高かったカテゴリーは「祭り」で、2020年は68%(中止件数1360件)、2021年は57%(中止件数671件)が中止となった。

定員制のイベントと比べて不特定多数の人の流れが生まれ、人流のコントロールが難しいことから、コロナ禍の煽りで中止となるケースが多かったと考えられる。また、イベント件数そのものも2003件(2020年)から1173件(2021年)と半分近く減少しており、2021年にそもそも開催を望めないと判断したイベントも多かったようだ。

一方、「ライブ・音楽イベント」は、2020年は中止率30%(イベント件数2083件、うち中止件数624件)は、2021年は中止率9%(イベント件数1939件、うち中止件数168件)と中止率が大きく減少。定員制イベントは収容人数の削減や感染症対策が比較的行いやすいことから、感染状況が大きく変わらなければ予定通りにイベントを実施しやすかったと言えそうだ。

【調査概要】
(1)各調査日ごとのイベント件数・中止件数は、調査日から「一カ月後~二カ月後」の開催予定で登録されていたイベントバンク提供のイベント全データより抽出
(2)年別のイベント中止率、イベントのカテゴリーごとの中止率は「2020年1月~12月」「2021年1月~12月」「2020年1月~2021年12月」の開催予定で登録されていたイベントバンク提供のイベント全データより抽出

出典:イベントバンク
出典:「新規陽性者数の推移(日別)」(厚生労働省)

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