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『東京2020オリンピック・パラリンピック』で最新のスポーツ栄養科学により選手たちをサポートしてきた味の素。その開発秘話&舞台裏とは

  • 2021年10月28日
  • Walkerplus

東京2020オリンピック・パラリンピックを支えたパートナー企業の“知られざる裏側”を紹介する特集『THE BACKGROUND TOKYO2020』。今回は東京2020オリンピック・パラリンピックにおいて、最新のスポーツ栄養科学により選手たちをサポートしてきた味の素株式会社(以下:味の素)を紹介。“試合に勝つため”の食事「勝ち飯」のサポートや、選手たちへアミノ酸サプリメントの提供などを行った。アミノサイエンス事業本部スポーツニュートリション部開発企画グループマネージャーの加藤弘之さんと、同マーケティンググループの長田智大さんに話を聞いた。

「味の素の日本代表選手サポートは、2003年にスタートした『ビクトリープロジェクト』から始まっています」と加藤さん。「ビクトリープロジェクト」とは、日本代表選手や候補選手を対象とした国際競技力向上およびメダル獲得数増のための「食とアミノ酸」によるコンディショニングサポート活動のことだ。具体的には、(1)選手に食事やアミノ酸摂取の重要性を理解してもらうための「勝ち飯」についての情報提供、(2)味の素ナショナルトレーニングセンターの「勝ち飯」食堂にて、選手自身が「何のために食べるか」を考えながら、「勝ち飯」プログラムを実際に体験、(3)「勝ち飯」レシピの提供や食事・栄養のアドバイス、(4)大会期間中も帯同して「勝ち飯」を作り、栄養面でサポート、(5)サポートで培ったデータで研究を行い、新しい製品・レシピを活用、といった流れで、継続して選手のサポートを行っている。

「勝ち飯」とは、“試合に勝つため”の栄養プログラム。長田さんは「“何を食べるか”ではなく“何のために食べるか”。『ビクトリープロジェクト』で長期間アスリートをサポートしたことと、最新のスポーツ栄養学と、味の素独自のアミノ酸研究技術の裏付けによって誕生した、栄養環境を改善するために実践する栄養プログラムです」と話す。主食、主菜、副菜、汁物、果物といった食事の基本形の5つの要素に、スポーツで必要とされる栄養素、アミノ酸と糖質を補食として合わせたものが、「勝ち飯」の要素となる。味の素では、運動を頑張りたい人や趣味の運動をもっと楽しみたい人に向けても情報を発信していて、トップアスリートには、食べる食材の内容や組み合わせ、食べるタイミングなども含めてサポートしている。

「勝ち飯」の補食に欠かせないのがアミノ酸だ。味の素では、オリンピック日本代表選手団に向けのアミノ酸サプリメントである「アミノバイタル」を開発している。2012年、国立大学法人筑波大学スポーツResearch & Developmentコアと共同開発した、ロンドンオリンピック日本代表選手団向けのアミノ酸サプリメント「アミノバイタル GOLD LONDON SPECIAL」を無償独占供給した。これは、味の素ナショナルトレーニングセンターを利用するアスリートへのヒアリング結果をもとに開発されたもので、運動後のリカバーをサポートするアミノ酸を配合したサプリメントだ。その後、2016年のリオオリンピックでは、運動前のコンディショニングをサポートするアミノ酸を配合した「アミノバイタル Rio2016 日本代表選手団SPECIAL」を開発、提供した。

そして東京2020オリンピック・パラリンピック。「今回の東京2020では、持てるパワーを引き出すアミノ酸を配合した『アミノバイタル 東京2020日本代表選手団SPECIAL MOMENT(モーメント)』と、理想の動きを支えるコンディショニングアミノ酸を配合した『アミノバイタル 東京2020日本代表選手団SPECIALCONNECT(コネクト)』を開発しました。これらのサプリメントは、これまでの日本代表選手や、スポーツ科学に精通する大学教授らにヒアリングを行い、アスリートが抱えるパワーや動きに対するコンディショニングの課題解決に重要であると判断し、開発に取り組みました」と加藤さん。

2020年の春には製品を完成させていたが、新型コロナウイルスの感染拡大により東京2020は1年先へ延期が決まった。この時、「これらの製品を大会本番までの1年間、選手へ提供し続けることを決めました」と長田さん。本来であれば、製品が完成した春から夏の大会終了までの4カ月間の限定提供の予定だった。加藤さんは「1年の延期が決まりましたが、先行きは不透明。東京2020に照準を合わせて調整してきた選手たちもどうしていいかわからない状況で、不安も大きかった時期でした。私たちは“アスリートと共にある”という思いから、今できることとして、無償提供を開始しました」と話す。2020年7月から東京2020大会終了まで、代表選手団に対し、約60万本を無償提供し、アスリートのコンディショニングをサポートした。厳しい状況下ではあったが、プラスの面もあった。「1年以上アスリートに使っていただいたことで、新たなデータや、アスリートから貴重な意見を得ることもできました」と加藤さん。これまでのオリンピックでは、製品ができてから大会終了までの数カ月しか使用できていなかったが、今回は約1年という長期間利用してもらえたことで、見えてきたことも多かったという。

そして、東京2020オリンピック・パラリンピックが終了。日本代表選手団は過去最高の金メダル27個、メダル獲得では計58個という記録を作った。「アミノバイタル 東京2020日本代表選手団SPECIAL」の2製品はこの結果に貢献したといえるだろう。大会後の代表選手団へのアンケートで、両製品とも90%以上のアスリートが「今後も使用したい」と答えていることからも、この貢献ぶりがうかがえる。また、今回、アスリートだけでなくスポーツをしている人も使えるように、特に好評だった「アミノバイタル 東京2020日本代表選手団SPECIAL CONNECT」が一般販売されることとなったのも大きい。しかし、この結果に浸ってばかりはいられない。次の大会に向けて選手たちの意見を元に新たな開発がスタートするという。
味の素といえば、選手村で提供された“冷凍ギョーザ”が世界の選手たちから大絶賛されたという報道に興味を持った人も多いことだろう。選手村での食事も味の素が提供していたサポートの一つだ。選手村で提供されたのは味の素冷凍食品の業務用の冷凍ギョーザだったが、代表選手たちのために開発されたギョーザもあった。選手村のほど近くに代表選手専用の食堂があり、そこで提供されたアスリートのためのギョーザだ。ギョーザが好きだというアスリートは多い。しかし一方で、脂質が多いことから実際にはあまり食べられないという事実も。そこで“選手のための餃子” が開発された。「For ATHLETEエナジーギョーザ」は、エネルギーとなる炭水化物がしっかりと摂れるよう、脂質をカットした皮を厚めに使い、試合に必要なエネルギーを補給できる。「For ATHLETEコンディショニングギョーザ」は、コンディショニングに必要なビタミン類(A・C・E)が摂れ、良い状態に保つためのたんぱく質がしっかり摂れる設計になっている。ほかにも「東京開催だからこその課題対策として、手軽に必要な栄養素を補充できる、エネルギー摂取、コンディショニングの2つの目的に対応したアスリートケーキも開発し、こちらも好評を得ました」と長田さん。ギョーザもケーキも美味しく、楽しく食事をしながら、必要な栄養素を摂れるようにするという味の素の技術が生み出したもの。食生活を通してトップアスリートを支えているのがわかる。

好評だった「For ATHLETEエナジーギョーザ」と「For ATHLETEコンディショニングギョーザ」は、現在、アスリートや、部活動、普段運動をしている人向けに、「アスリートの生の声から開発した」ギョーザとして公式オンラインストアで販売されている。加藤さんは「アミノバイタルもFor ATHLETEギョーザもアスリート向けに開発したものですが、一般にも活用できるものなので、世に出したいと思っていました」と話す。「コロナ禍で運動不足を気になり、積極的に体を動かそうとする人が増えました。さらに、自宅で食事をする機会が増えたことで食事の大切さを実感し、栄養バランスいい食事をしようとする意識も変わったと思います。その中で、『アミノバイタル』や『勝ち飯』が注目されたのではないか」と長田さん。トップアスリートであっても、一般の人たちであっても、アミノ酸や各種栄養素が必要なのは変わらない。「違うのはその度合い。トップアスリートにはトップアスリート向けの『勝ち飯』がありますが、私たちにもそれぞれに合った『勝ち飯』があります」。For ATHLETEギョーザは運動を頑張る人たちも活用できる“アスリートの生の声から開発したギョーザ”だ。

東京2020オリンピック・パラリンピックは、これまでにない大会だった。不安や負担、困難など負の要素があったが、結果的にはいい大会になったというのが2人の感想。「今回は延期したことで、逆に時間的な余裕が生まれ、選手とのコミュニケーションが密に取れたケースがありました。また、気持ちが落ちている選手をサポートする意味でも直接選手とのコミュニケーションを取ることがあり、それが大きかったですね。この難しい状況での大会を乗り越えて、選手は過去最多のメダルという結果を残し、私たちもこの大会のために開発した新しい『アミノバイタル』という製品を残すことができました。次に続けていかなければという思いも強くなりました」と加藤さん。今後も選手との対話を通じて、味の素にしかできないことに取り組んでいきたいと語る。すでにパリ大会を見据えて、常にアスリートをサポートし続ける味の素の新たな開発はもう始まっている。

素材提供:味の素

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