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東京2020オリンピック・パラリンピックの電力を見守った「革新的システム」とは?GE担当者が明かした「パリ大会につながるレガシー」

  • 2021年10月21日
  • Walkerplus

東京2020オリンピック・パラリンピックを支えたパートナー企業の“知られざる裏側”を紹介するWEB動画『THE BACKGROUND』に、発明王トーマス・エジソンを創業者とする企業、GE(ゼネラル・エレクトリック)が登場。同社デジタルサービス アーキテクトの久冨修平氏が出演し、電力を見守った革新的システムについて語った。

■競技場の電力を見守るシステムを提供したGE

同社は、発電用ガスタービンや風力タービン、ジェットエンジンからMRIのような医療機器まで手掛ける企業。東京2020の期間中は、競技会場の既存の電源に加えて仮設電源を追加し、その電源の監視システムも提供して大会をサポート。久冨氏は「具体的に言うと、家庭のブレーカーを特別に大きくしたようなものが、各会場に約3000台設置されていたのですが、その電力メーターをネットワークにつなぎ、使用量を一括監視していました」と説明する。

オリンピック・パラリンピックは、多くの電力が使用されるビッグイベントとなっているが、競技中に“ブレーカーが落ちて電気が消えてしまう”可能性はあったのだろうか?

「実は、意外とギリギリの線で運用しているんですよ。もちろん、競技中に会場が真っ暗になってしまっては大変ですので、そこはプロの設計士がそうならないように、バックアップ電源や、十分な容量を設計してはいるのですが、反面、コストプレッシャーもありますし、潤沢に準備し過ぎてもいけないので。そのギリギリの線を考えながら設計しているんです」と、久冨氏は内情を明かしてくれた。

言わずもがな、電力は大会運営に欠かせないもの。使用電源のモニタリングも大事な役割を果たしているというが、実際にモニター画面ではどのように見えているのだろうか?「各会場の追加電源の使用量がグラフで表示されているんです。例えば、ここに用意した2日間分のグラフを見てみますと、昼間は上がり、夜は下がるといった折れ線が表示されています。電力使用量がひと目で分かるような仕組みになっているんです」

グラフを見ていて、ある会場で「そろそろブレーカーが落ちそうだ」と分かれば、落ちることを未然に防ぐために「ちょっとそこの空調を弱めてください」と、中央管理室から連絡を取るという使い方ができるのだという。また、中央管理室と現場で障害発生情報をリアルタイムで確認できるため、スムーズにコミュニケーションを取ることも可能に。久冨氏は「デジタル化の利点」を感じたそうだ。

しかし、電力メーターを1台1台ネットワークにつなぐのは時間との戦いだったのだとか。「オリンピックの準備期間は長いようで実はすごく短くて。会場はオリンピック直前まで他のことで使われているので、開幕1カ月半前くらいから集中して行い、1週間前、数日前にようやく設置が終わったというような…。電力メーターの設置もギリギリに設定されていたんです」

■パリ大会につながる「レガシーの石垣の1つを作れた」

今大会における使用電力のビッグデータは蓄積・解析され、パリ大会で役立てられるそうだ。「ビッグデータがあれば、競技の種類や気温などの相関関係を元に、使用電力の予測ができるようになります。IOC(国際オリンピック委員会)からは『早くデータがほしい』と言われているんですよ」と久冨氏。「前回の大会より良いシステムを提供するという、暗黙の使命があったのですが、我々としてはビッグデータを残すことができましたし、これを元に次回の大会では、より高度な運用・対策ができる。レガシーの石垣の1つを作れたと自負しています」と、久冨氏は胸を張った。

映像提供:NewsPicks Studios 
素材提供:GE

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