サイト内
ウェブ

挑戦者に求める「あざとさ」と「根拠のない自信」 DRAGON CHEF総監督・須賀洋介シェフが説く“スターへの条件”

  • 2021年7月1日
  • Walkerplus

ABCテレビと吉本興業がタッグを組み、次世代のスター料理人No.1を決める“料理人の「M-1グランプリ」”として開催中の『ザ・プレミアム・モルツ presents DRAGON CHEF 2021』。優勝賞金1000万円と初代DRAGON CHEFの座をかけ、若き料理人たちが臨む最後の戦いが、7月4日(日) 夜7時より、ABCテレビ・テレビ朝日系列にていよいよ全国放送される。

全国から才能あふれる761人の料理人がエントリーし、しのぎを削る「DRAGON CHEF」。その総監督を務めるのが、フレンチシェフの須賀洋介氏だ。巨匠・ジョエル・ロブション氏の愛弟子として、26歳で「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」六本木ヒルズ店エグゼクティブシェフに抜擢。その後もラスベガス、ニューヨーク、台湾、パリなどで新店舗立ち上げから総料理長として陣頭指揮を振るってきた。2015年4月には自身のラボラトリー「SUGALABO Inc.」を東京・神谷町に設立。2020年には、世界のレストランを格付けるランキング「ラ・リスト」でSUGALABOが世界1位に輝いた。

そんな華々しい活躍と実績を誇る須賀シェフに、「DRAGON CHEF決勝ラウンド」直前にインタビュー。総監督として「DRAGON CHEF」にかける想いと、料理界の新たなスター候補に期待するもの、勝つために求められる部分を聞いた。

■ただのエンタメではなく、飲食業界のプラットフォームとして。須賀シェフが「DRAGON CHEF」に感じた可能性

――「DRAGON CHEF」の総監督を務められている須賀シェフですが、オファーされた時の印象はどんなものでしたか。

「スターシェフ誕生という主旨の料理の対決番組と聞いて面白いなと思ったのと同時に、非常にリスキーだなとも思いました。職人としてのブランディングとして、テレビに出ることでどういう風に見られるのかなと。ただ、今はコロナ禍で飲食業界は食材の生産者や流通業者も含めて大きな影響を受けています。その中で、『DRAGON CHEF』が面白い番組となって、料理人が本当にチャレンジしたいと思うものになれば、何か可能性のあるプラットフォームになるかもしれないと考えました」

「『M-1グランプリ』がお笑い業界の中では大きなプラットフォームになっているように、DRAGON CHEFもただのエンタメではなくて、本当に飲食業界や生産者のためのためになる、番組を見た人がお店に行きたい、地方に旅したいと思っていただけるようになるなら、それは僕にとって大きな役割の一つかなと思い、引き受けました。もちろん今回の番組だけでできることではないので、第2回以降も年を重ねたいですし、番組も、戦う人間も、成長していくものになればいいなと思っています」

――最初は参加者が集まるのかな?という懸念をされていたとうかがいましたが、ファイナリストを見ても好メンバーが集まったと思います。

「参加している料理人の皆さんは、それぞれシェフとして修業を積んで活躍されている人たちです。(ミシュランの)星を持っている人もいれば、SNSなどいろいろなツールで評価されている方もいるわけですから、興味深い戦いの形になりましたよね」

■料理界の新星に求める、大舞台を楽しむ“あざとさ”と“人間力”

――とは言え、須賀シェフは参加する料理人に対して、はがゆさを感じるコメントも多く言われていますよね。

「日本の食というのは、コロナに打ち勝てるような経済を生む可能性がすごくあると思うんですよ。そういう意味で、スターが出てこないことにはそもそもつまらないじゃないですか。戦っているシェフの皆さんは、やっぱりまだ料理を上手に作っている。おいしい料理は最低条件として、この番組をすごくたくさんの人が見ているということを自覚して、料理を楽しむ、そしてスターになる自分を楽しむ、そういう野心というか今の言葉で言う“あざとさ”を出してほしいなと。僕自身にそういうものがあるかどうかは分からないですけど、そういう大舞台を楽しむことはしていたと思いますから」

「『M-1』は優勝すれば仕事が増えていくわけじゃないですか。だからDRAGON CHEFも、優勝して得た賞金をうまく使って新しい自分になって、予約が取れないようなスターになってくれたら、次に続く料理人たちが現れるかもしれない。今回参加しなかった人たちに『あんな風になりたい』『俺もやっておけばよかった』と思わせてほしいんです。そこは僕の力ではなく、決勝に残ったシェフたちに非常に大きな責任が懸かっているぞということを伝えたいですね」

――シェフ個人としても料理界としても大きなターニングポイントになりうるだけに、その審査は責任重大なお仕事だと思います。審査の上で須賀シェフのポリシーはどんなところにありますか。

「今までの審査は『次に戦わせたいかどうか』の説得力を求めた結果です。料理はおいしかったけどネクストチャンスはいらないかな、という人は抜けていく。もちろんさまざまな条件を加味したり、他の試食人の方々と大きくかけ離れてもいけない。でも、最終的には「DRAGON CHEF」がちゃんと楽しくなるための責任を僕が持っていると思うので、わがままを言わせてもらったこともありました。その上で、最終的には『この人に優勝して1000万円を持って行ってほしい』と思わせてくれる人間力で選んでいます」

「レストランって、たとえば5万円のコースだったら『5万円出してもまたこのシェフに会いたい』って思わせられなきゃいけないし、商売敵がたくさんいる中でもう一度来てもらえるかどうかが勝負なんですよ。そういう意味で言うと、やはり『おいしい』だけではないんじゃないかなと思います」

■「努力ができない人間だった」須賀シェフが説く、戦うための“根拠のない自信”

――サバイバルラウンドを勝ち抜いたシェフに、決勝ラウンドで期待するところを教えてください。

「決勝ラウンドに残ったシェフの皆さんは今、拮抗していて、誰かが絶対王者というイメージはありません。やっぱりスターシェフを誕生させるからには、突き抜けて『俺だ!』という気概を持って戦ってほしいですね。決勝ラウンドは審査する人たちも増えていきますから、その人たちと僕との間で審査のブレがないぐらいの戦い方をしてほしいなというところです」

――そうした期待がある中で、ご自身の経験から伝えたいことはありますか。

「やっぱり、根拠のない自信じゃないですか。僕が世界で仕事をしてきて、いろいろな国の人たちに納得させるには、説得力がまず必要だということですよね。それは発言だったり身なりだったり、立ち振る舞いなどから作るものだと思うので、今日明日で急に演出したところでそれは違うわけです。しかし、戦いに際しての気合というのは高められるものだと思うので、どこかで必死さみたいなものが自然に出てくればいいかなと思います」

――いよいよ「DRAGON CHEF」全国放送がはじまります。須賀シェフが番組を通して伝えたい思いを教えてください。

「日本人って一所懸命になるのがへたくそで、どこか澄ましてきれいにまとめてしまうんですよ。『DRAGON CHEF』でも、番組の存在を知っていても挑戦しなかった人っていっぱいいると思いますし、僕らの店で働きたいと言ってくる若い人も本当に少ない。『痛い思いをするだけ』『通用しないかもしれない』って自分の中で限界を作っている人が多いのかなと。でもやっぱり挑戦しなければ、そもそもステージに上がれないので勝てないんですよ。僕も飽きっぽい性格で努力ができない人間だったので、そうせざるを得ない状況を作るためにロブションの下で働きましたし。やっぱり、傷つくことを恐れずに挑戦してほしいし、他人の力をあてにして生きてほしくないな、とは思います」

「DRAGON CHEF」と若き料理人にかける期待と可能性を語ってくれた須賀シェフ。「DRAGON CHEF」の頂点に立ち、須賀シェフをも唸らせるスターシェフとなるのは誰になるのか。7月4日(日)夜7時からの全国放送で、料理界の新星が誕生する瞬間を見届けよう。

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2024 KADOKAWA. All Rights Reserved.