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【漫画】おっぱいでっか!日本の「容姿イジり文化」が招いた深刻な悩み

  • 2021年5月29日
  • Walkerplus

小学校からの胸の悩みを描いたエッセイ漫画「おっぱいの悩み」が、Instagramで注目を集めている。人よりも発達が早かったために、周りから胸いじりをされてきた経験を描いたもので、容姿をイジることをおもしろいとする風潮がある日本だからこその悩みに、「私もそういう経験あった…」と共感の声が集まっている。今回は作者の「のなか海さん(@_uminonaka_)」に、漫画を描き始めたきっかけや、自分の身体に対する考え方について聞いてみた。

■「お前、胸でかいって言われてるよ」。ウワサの発端はまさかの女の子だった
小学4年生のころ、担任の先生から「人より成長が早いから」と言われ、スポブラを買ってもらったのなか海さん。自分だけ女性の体になっていくのが恥ずかしく、プールの着替えなどは隠れて行っていたそう。そんな彼女をさらに苦しめたのが、小学6年生で転校した学校の体育の時間。なんとそこでは男女混合で着替えをしなくてはならなかったのだ。

さらには、クラスメイトの女子がおもしろがって「あの子、胸デカいんだよ」と男子に話したことをきっかけに、着替えをジロジロと見られるように。母親伝いで担任の先生に相談した結果、男女別にはなったものの、先生から嫌われる始末…。結局イジりはなくならないまま、小学校を卒業した。

漫画を描き始めたきっかけについて「SNSのおかげで自分の悩みが明確になったから」と話す、のなか海さん。「小さいころから『生きづらさ』を感じていたのですが、その正体が一体何なのかよく分からず、ただただ自分の中で曖昧にしていました。最近になって、SNSなどで同じように考えている人がたくさんいることに気づき、悩んでいた“何か”が明確になったんです。コンプレックス、人からの他愛のない悪口など、たくさんの人が悩みを発信していて、とても共感して励みになって。自分もSNSで発信して共有したいと思ったんです」と語る。「私の悩みも、共感してくれる人がどこかにいるかもしれない」。そんな思いから投稿を始めた。

■イジりはおもしろいもの。「そんなことで怒るなんて」という風潮があった
中学生になってから、イジりはより激しくなっていった。先輩からいびられたり、相談した女の子に「正直自慢だよね」と言われてしまったり、みんなの前で「何カップですかー?(笑)」とおもしろがって聞く男子がいたり…。今となってはそういうお年頃だったから、とは感じるものの、当時は背筋が凍る思いだったそう。耐えきれず先生に相談しても、イジりの張本人を呼んで謝らせるという、場合によってはイジりが酷くなりかねないような対処だった。

この事件から、大人だからといって理解がある訳ではないことを悟った彼女。「みんなそれぞれ、(性教育など)その辺りの教育を小さいころからされていないので、そのまま大人になってしまうのかなと。赤ちゃんが大きくなってしまったようなものですね。そしてそれを私はずっと我慢してヘラヘラしていたので、そういう自分も悪いかもしれません。『あくまでイジりであって、怒ってはいけない』という世界で生きてきたので、みんな自己主張できないんです。負のループですね」と、のなか海さん。

最近では、東京2020オリンピック・パラリンピックの開閉会式での演出でタレントの渡辺直美さんの容姿をイジるメッセージが問題となったように、やっと「容姿イジりはもう笑えない」という風潮ができてきた。「いつましになるのかわからないですが、未来に期待する前に行動するしかないですよね」と話す。

■共感の声はもちろん、人の容姿に口を出すことの間違いに気づいてくれた人も
同じような悩みを持つ女性からたくさんの反響があった彼女の漫画。一番印象に残っている声は?と聞くと、「DMやコメントはほとんど女性からいただくのですが、1人の男性から『自分は今まで人を嫌な気持ちにさせていた、それが間違いだったと気付くことができた。ありがとう』とメッセージをいただいた時は、泣きそうになりました...」と話す。「自分の過ちを受け入れるのってすごく勇気がいるのに、素敵だなあと心から思えましたし、こういう人が増えれば世界は幸せになるな〜と感じましたね」とも。

また、「おっぱいの悩み」のほかにカップルエッセイ漫画も投稿しているのなか海さん。「このような過去があったことは彼も知っています。相談はしませんが、私の胸が大きいから好きなのではなく、私の胸だから好き!ということが伝わってくるので、それだけで救われます」と語る。

■自分自身のことを好きでいるのが一番。「私の身体は私しかジャッジできない」
最後に、のなか海さんが自分の容姿で悩んでいる人にメッセージをくれた。

「胸が小さい、大きい、離れている、垂れている...。ほかにも、太っている、痩せている、背が高すぎる、低すぎる。悩みはつきません。そういう悩みは“周りの影響”によって作られてしまうことが多いです。でも、他人の身体についてあれこれ言う方がおかしいんです。心が人から何を言われても『私は自分の身体が好き』と思えるように、私は身体の手入れをして準備しています。ナイトブラや筋トレをして自分の好きな形の胸でいたり、髪のケア、肌の管理。結局、自分が自分自身のことを好きでいないと、乏しい心の人には対抗できない。『私の身体は私しかジャッジできない』というルールが、この世の中にもっともっと広がれば平和になるんじゃないかと思っています」

同じような悩みを持つ人を勇気づけるほか、いろんな気付きを与えてくれるのなか海さんの漫画。Instagramではこれからも最新話が更新されていくので、ぜひチェックしてみて。

取材・文=江口琴音(glass)

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