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シルバニアファミリーが超リアルな和の世界に!手作りミニチュアにくぎ付け

  • 2021年3月3日
  • Walkerplus

シルバニアファミリーに手作りのミニチュアフードや着物を組み合わせ、家庭での一場面や小料理屋でのやり取りを切り取った物語が「かわいすぎる!」「この状況、あるある!」とInstagramで話題を呼んでいる。

指先サイズの繊細なフードや服を手作りし、写真に収めているのは山田小波さん(@prayerofgirl)。山田さんの作品は、メルヘンな雰囲気のシルバニアに、餃子やお刺身といった居酒屋メニューや家庭料理を組み合わせ、ほのぼのとした世界観を作り上げているのが魅力。今回は制作のきっかけや、お気に入りの作品について話を聞いた。

■実家への帰省がすべての始まり!精巧な帯締めまで手作り
2015年からアクセサリーやしおりをハンドメイドしていたそうだが、「シルバニアファミリーは子供の頃に初期のシリーズで遊んだことしかありませんでした」という山田さん。もう一度触れるきっかけとなったのは、実家への帰省だったという。

「2019年のお正月に帰省した際にシルバニアファミリーで遊んだ思い出が蘇り、もう一度買い直そうと決めました。時代劇小説が好きだったので、シルバニア用の着物や花魁の衣装を作れたらいいなと。それから人形のサイズにぴったりなミニチュアフードも作ろうと思いました。多くの人が作るファンシーなものではなく、自分好みの和食や家庭料理も合うのではと思い、練習しました」と、和の要素を取り入れたきっかけを話してくれた。

驚くほどの小ささながら、細やかな作りの小物や洋服を次々と作り上げている山田さんだが、裁縫やミニチュア作りを習ったことはないという。「祖母のお裁縫を見ていたぐらいです。小学生の頃から手芸など細かい作業は好きでしたが、minneで販売している規模でしか仕事としての経験はありません」

一番最初に作ったのは洋服だそうで、「服は編み物以外は手作り。どれぐらい小さいのかなどを体で覚えたくて、最初は本を見てたくさん洋服を作り、そのあとに着物を作りました。自分の幼少期の記憶や、ちょっと懐かしさのある感じを意識して作っています。柄物と柄物を合わせてもかわいくて許されるのは、シルバニアファミリーだからかなと思っています」と話す。

■和洋折衷なんでもありのミニチュアフードは料理好きゆえの発想
ミニチュアフード作りも、今では和食から洋食、中華、飲み物まで幅広い。「ミニチュアフードは、最初は基本の作業で作ることができる目玉焼きやハンバーグ、パンなどを作りました。中学生のときに少し作ったことがありましたが、当時は樹脂粘土などもすぐに買えないため、続きませんでした。私自身も料理が好きなので、『こんな小料理屋があったらいいな』と思いながら作っています。フードは自分が好きな家庭料理や和食が多いですね。一つひとつかわいく作って、それを詰め込んでひとつの作品にしてしまいます」と山田さん。

特に得意なものは、山田さん自身が大好きな居酒屋メニューのミニチュアだそう。「牡蠣や香箱ガニは、今のお気に入りです。いろいろなカニの写真を見て盛り付けを考えました。カニ味噌や内子、外子のバランスが大変でしたが、私が食べたいくらいうまくできました(笑)。居酒屋メニューは江戸切子のミニチュアと並べるのが好きです」と渋いこだわりをのぞかせる。

■最初は不気味だと思っていたミーアキャットが大活躍!
作品の中心となるのが、シルバニアファミリーの動物たち。「Instagramではミーアキャットの家族が中心で、食べ物がよく出てきます。三つ子の赤ちゃんがいたずらばかりして、お母さんが困っているのが日常です。また、私が作っている村にはさまざまなお店があるんですが、小料理屋さんはネコさんが経営していて、旬の食材でいろんな料理を提供しているんです。モグラさんの仕立て屋さんやクマさんが経営するスーパーなどもあります」と、動物たちのキャラクター設定やシナリオまで山田さんが考えている。

登場する動物の種類については、「私が子供の頃に遊んでいたのは初期のシルバニアファミリーなので、ブラウンのクマさんでした。現在のクマさんは小柄で、とりあえずいろいろ買ってみたのですが、自分が遊んでいたときとは様変わりしすぎていて戸惑いました。撮影に使っているものは60体ほどですが、開封しているもので300体以上、開封していないものも含めると1000体以上あります」

なかでも活躍しているのは、ミーアキャットとネコ。「ミーアキャットとの出会いは、シルバニアファミリー集めを再開した直後。ネットで見たときは『え?怖い』と思いましたが、フリマやオークションで買ってみたら、くりくりの目や耳がちょこんとついている真ん丸頭がすごく好きになってしまい、メインキャラになりました。今では『買ったときに“ブッキー”(不気味の意味)なんて言ってごめん』と思っています。小料理屋はかわいいキャラより美形がいいと思い、和服も似合うので板さんとおかみをネコさんにしました」

衣装のなかで一番こだわったという花魁は、「特に好きな世界観です。シルバニアでは妖艶さが出せないですが、小物や衣装、禿(かむろ)のウサギさんで雰囲気を出そうと思い、何日か考えました」

■作品への愛とフォロワーの笑顔が創作力の源に
作業は、自宅の作業部屋であるシルバニアグッズが置かれた部屋で、7時~16時まで通して行う。「寝ようとしているときにアイデアが浮かぶので、起きたらすぐ作りたい日もあります。製作と撮影はひとりでやっていて、むしろひとりでないと作業ができないタイプです。大変な点は、集中しすぎて食事を忘れること(笑)。あとは時間が足りなくて困りますね」と、丁寧な作業だからこその悩みも。

「作業部屋にはすでにシルバニアファミリーの家や店が飾ってあるので、メインで撮影したい小物や物語に合わせて場所を選んで数枚撮り、文字入れしてInstagramに投稿します。着物やダッフルコートなどは3時間くらいで作り上げるのですが、ミニチュアフードは乾燥させる時間などもあるので24時間は必要です」

作品を作る際は、ほこりが入らないように特に気を使っているそう。「誰かに届けるものはより一層きれいに作り、開けたときに『うわ~すごい!』と笑顔があふれるように作ります。シルバニアの服は他人の手に渡るときは布のにおいが気になるといけないので、家では柔軟剤や衣類洗剤、食器洗剤などすべて無香料です。アルコールで手を消毒して作業しています」と、贈る相手への思いやりも忘れない。

お節をワンプレートで作るなど、作品のなかには個食が推奨されるコロナ禍での食事事情まで取り入れたものも。「黒いトレイをヒートプレスで作るのが大変でした」と山田さん。

「コスメ話で盛り上がる女子」という作品は、ピンクの色使いがかわいいコスメとバラにときめく。「5ミリくらいのバラや石けん風のものもピンセットでつかみにくくて大変でしたが、かわいく仕上がって達成感が得られました。リップグロスの細い管に、グロスに見えるようにピンクの樹脂を入れるのに苦労しました」

最後に、「作品を生み出すうちに、自分の作品やほかの大切なものに接するように『顔が見えない相手でも大切にできる人になりたい』と思えるようになりました。自分の作品を通して笑顔になってくれている人がいると考えると、そう思わずにはいられません」と話してくれた山田さん。作品に対する愛はもちろん、発信する相手に寄り添う気持ちが手作りの着物や料理にも表れて、心温まる作品を生み出す秘訣なのだろう。

和服やエプロンなど、さまざまな衣装を身にまとったキュートな動物たち。それを彩る季節の料理や行事の小物など、今後も山田さんのこだわりが詰まった世界から目が離せない!

取材・文=上田芽依(エフィール)

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