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べっ甲飴細工の実演販売に驚愕!鬼滅やセーラームーンもお手の物

  • 2020年12月24日
  • Walkerplus

グラニュー糖と水と水飴を煮詰めたべっ甲飴を使い、立体的な龍やアニメのキャラクターの似顔絵などを作る「美術べっ甲飴 八尾商店」二代目龍昇の笹本晋平さん。装飾品としても使える芸術的な飴細工に常連も多く、Instagramなどでも話題になるほどだ。美術べっ甲飴の歴史やその技などについて迫ってみた。

■約100秒で作る似顔絵べっ甲飴

まずは技術を体感するために、人気キャラクターの似顔絵べっ甲飴を6点(各500円・税込)作ってもらった。

1つ目は人気アニメ『鬼滅の刃』のキャラクター、煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)。個性的なヘアスタイルも忠実に再現してくれた。

2つ目は同じく『鬼滅の刃』の我妻善逸(あがつまぜんいつ)。キャラクターの髪が金色なので、べっ甲飴との相性もよく雰囲気がよく出ている。

3つ目も『鬼滅の刃』で、ヒロインの竈門禰豆子(かまどねずこ)。超人気のキャラクターなので、笹本さんは見本なしで描いた。キャラクターが口にくわえた竹もしっかりと表現されている。

4つ目は人気ゲーム『あつまれ どうぶつの森』のヒツジ、ちゃちゃまる。とても楽しそうな表情とチャーミングな目がキャラクターとそっくりだ。

5つ目は星がポイントのキキとララ。修業を始めた頃から描いているとのことで、こちらも見本なしで。キャラクターの髪が驚くほど繊細に描かれている。

そして6つ目は、女の子のあこがれセーラームーン。手のポーズまで決まっていて、あの名セリフが聞こえてきそうなでき栄え。

笹本さんにキャラクターの似顔絵について聞いてみた。

「見本があればほぼ何でも作りますので、リクエストがあればスマホを見せてもらったり、こちらでスマホを使って画像検索することもあります。約1~2分で作りますが、温かい飴でいっきに描くのがコツです。飴はすぐに硬くなるので、最後まで描き切れる柔らかさかどうかは経験のみでわかります」

今回のキャラクターはどれも約100秒で作られ、笹本さんが描くのを見て感動しているうちにでき上がっていくのが印象的だった。

べっ甲飴細工はビニール袋で包んでから、割れ防止としてフードパックに入れてくれるので、持ち運びも安心。キャラクターものはどれも500円(税込)とお手頃なので、おみやげやプレゼントにもちょうどいいかも。

■自分の似顔絵をオーダー

次は、この記事の担当編集者が、自分の似顔絵を注文。笹本さんは担当編集者の顔を見るなり、迷いなくすぐに飴を流して描きはじめた。

約2分で完成。担当編集者は自分の顔と見比べて「キャラクターも似顔絵も、もったいなくて食べられないので、保存状態を守りつつ飾りたいと思います。お客さんからの要望を短時間で忠実に、べっ甲飴で表現する笹本さんの技術やセンスに感動しました」と話す。

■立体作品も作ってもらった

2021年の干支「丑(うし)」にちなんで牛の立体作品を作ってもらうことに。最初は牛の胴体から、順に顔、耳、ツノ、しっぽと作り上げていく。

笹本さんは「飴細工の技術はヤケドをして覚えていきます」とのこと。飴に空気を入れて膨らませたり造形したり、思わず「すごい、お見事!」と声が出てしまうような技術ばかりだ。

■出店先での「また来てください」が喜びに

初代龍昇である故・笹本昇さんが考案した「美術べっ甲飴」は、とても飴とは思えない繊細な作りで、装飾品としても楽しめると全国にファンがいるほど。その初代の意志と技を受け継ぐ息子の二代目龍昇の笹本晋平さんに、美術べっ甲飴や実演販売のみの理由などについて聞いてみた。

―「美術べっ甲飴 八尾商店」の歴史を教えてください。
「昭和40年代に父、昇(初代龍昇)がなめる目的のべっ甲飴を作り販売を始めました。最初は型に流し込んでいましたが、次第に直接分厚い鉄板に鍋から流して文字を描くように。そこから絵の勉強をし、動物やアニメなどの形のべっ甲飴を作るようになりました。その後平面だけでなく、創意工夫をこらし立体的なものを考案。

そして、長男の僕が大学卒業後、父に弟子入りし、3年後に次男の哲生が弟子入り。全盛期は全国3か所で展開しましたが、父と弟を病気で亡くし、現在は僕だけになりました」

―こだわりの作品や印象に残っている作品を教えてください。
「うちの屋号『龍昇(りゅうしょう)』は、父の本名が昇(のぼる)で、昭和15年辰年生まれなので付けられました。ですので、立体的なものも、平面的なものも、龍をメインに作りこだわりを持っています。ですが基本、お客さまのご注文に応じて作ります。今までで印象に残る作品は、デコトラ、だんじり、ガンダム、火の鳥。あと目玉抜きべっ甲飴も看板商品で、味も良く、うまくなめると真ん中がくり抜けて目玉のように見えると好評です」

―べっ甲飴の魅力はどういうところですか?
「父も言っていましたが、いろんな着色で作る飴は、確かに華やかでキレイですが、やはり、長く飾っておいても飽きがこない、自然の飴色で表現することにこだわっています。また原料が砂糖なので、腐ることやカビが生えることはありません。賞味期限や消費期限はあってないようなものですが、一応、乾燥剤の効き目がある期間としています。乾燥剤を交換すれば、ずっと溶けないです」

―実店舗を持たずに実演販売のみの理由は?
「今ではあまり見かけなくなったべっ甲飴の実演を、いろんな地域の方にライブで見て欲しい、というのが一番です。また、出店した先で『また来てください』などと声を掛けていただけることが、喜びに繋がっています」

乾燥剤を2~3ヵ月に1回交換すると数年は日持ちするので、メッセージを入れてのプレゼント用やお祝い用の注文も多いとか。また最近では愛犬のリクエストも増えているとのこと。

「父の頃から百貨店を中心に催事出店をしていますが、観光地など幅広く、たくさんのお客さんが集まるところで出店したいと思っています。ぜひその場に来ていただいて、生の実演を見ていただきたいです」と笹本さん。

美しくてどこか懐かしい、黄金色に輝くべっ甲飴。笹本さんが作り上げる多彩な作品を見て、食べて楽しみながら、べっ甲飴の魅力に触れてみては。

取材・文・写真=下八重順子
取材協力=近鉄百貨店 東大阪店

※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正式表記。
※価格はすべて税込です。
※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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