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「動く実物大ガンダム」は“令和の大仏”?ガンダム立像を11年前から“定点観測”する男性の想い

  • 2020年10月1日
  • Walkerplus

9月29日、人気アニメ「機動戦士ガンダム」の40周年プロジェクトの一環であり、18メートルの“動く実物大ガンダム”を楽しめる「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」が12月19日(土)から期間限定でオープンすることが発表された。当初10月1日オープンとしていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で延期となった経緯もあり、SNS上では「見せてもらおうか、連邦軍のモビルスーツの性能とやらを」「こんなに嬉しいことはない」といった喜びの声が寄せられていた。

こうした反響は日本国内だけではない。先日、“動く実物大ガンダム”の動作試験の様子をよっくんさん(@yoshi115t)がTwitterに投稿したところ、CNNやABCのほか、世界各国のニュースサイトで取り上げられ、ガンダムというIPの持つ影響力を感じさせた。そこで今回、2009年にお台場に設置された初代実物大ガンダム、ユニコーンガンダム、そして横浜の“動く実物大ガンダム”と、11年にわたってガンダム立像を“定点観測”してきたよっくんさんに話を聞いた。

■三代にわたるガンダム立像の“定点観測”を続けたのは「使命感だった」

――よっくんさんは初代ガンダム立像からユニコーンガンダム、そして横浜に設置される“動く実物大ガンダム”という、三代にわたるガンダム立像の定点観測を続けています。具体的にいつから続けているのでしょうか。

「2009年4月4日からです。実物大ガンダムが東京・お台場の潮風公園に設置されると聞き、2009年7月11日の公開日まで待てるわけもなく、予定地とされている公園の周辺環境を確認するつもりで足を運びました」

――お台場の初代ガンダム立像を観測するようになったきっかけは?

「4月に潮風公園へ行った際に工事用の囲いができているのを見て、スタート地点に立っている気分になりました。『今が始まりなら完成するまで観察を続けよう』『こんなことは二度と無いだろうから作業の進捗を見続ける価値がある』と思いました。まさか、その後に東静岡駅前への移設やユニコーンガンダム立像が立つなんて思ってもいなかったので、一生に一度の貴重な機会だと思いました。それに、ほかを見渡しても同じように継続してガンダム立像の観察をされている方を見掛けず、これは誰にも頼れないな…という覚悟みたいなものがありました」

――設置の様子をずっと観察していた初代ガンダム立像が完成した際の感想は?

「恥ずかしながら、手塩にかけて育てた子供を送り出す親のような気持ちで、公開初日の早朝から沢山の方が並んでいる光景を見てウルッと来ました。なので公開初日でしたが、私には終了した気分もありました。もちろん私は外野から見続けていただけの門外漢なので、こんな話は誰かに聞かせるようなものでもなく恥ずかしいですが」

――では、初代ガンダム立像が解体される際のお気持ちは?

「ガンダム的に言うと『まだ終わらんよ』という気分でした。最初から短期展示とわかっていたので覚悟はできていましたが、解体が終わり普通の公園に戻っても終わった気持ちにはなりませんでした。きっと、一般公開されていた期間を充実して過ごせていたので悔いは無かったのだと思います」

■CNNやABC、ロイターにニュースとして取り上げられ「光栄3割、怖さ7割」

――潮風公園のガンダム立像は、日本人だけでなく多くの外国人観光客が押し寄せる観光スポットになりました。その変化はどのようなものでしたか?

「実物大ガンダムとしての熱狂は潮風公園が一番だった気がします。ただ2009年当時、実際に現地に訪れていたのは国内の方か、偶然そのタイミングで来日した外国人の方だったと思います。なにせ開催期間が52日間だったので、実物大ガンダム目的で来日できる方の数は限られていたと思います」

――外国人観光客の増加を感じたのは?

「外国人観光客の存在を強く感じたのは2017年の実物大ユニコーンガンダム施工時で、そのころには“実物大ガンダム”の存在も国内外に知れわたっており、観光の目的として計画されていた方も少なくなかった印象です。私がカメラ片手に進捗を眺めていると、非常に多国籍な方々から質問を受けました。だいたい同じことを聞かれるので、各国の友人に助けてもらい4カ国語の説明文を用意したぐらいです」

――初代ガンダム立像、ユニコーンガンダム、横浜立像と追いかけるなかで、思い出に残っているエピソードを教えてください。

「長期間の展示となると、ガンダム立像の内部に鳥が巣を作ってしまうので、鳥が住み着く様子を見ているのもホノボノとして好きでした。また、2017年に初代ガンダム立像が解体された際、内部のメインフレームに名前が書かれていたのを発見しました。組み立てときには無かったものです。昔に作られた仏像内に職人が書き残した署名が入っているのは有名ですが、それを思い出してまさに“現代の大仏”なんだなと思いました」

――今回、よっくんさんが撮影した動画が外国メディアで取り上げられています。その反響はどのように感じていますか?

「以前からアジアのメディアが私の画像などを取り上げてくれることがあったので、アジアのネットメディア数社くらいのころは『コロナが終息したら見に来てね』程度の気持ちでした。ですが、CNNやABCに取り上げてもらったときは光栄3割、怖さ7割でした。さすがに媒体が大き過ぎますので。こうやって取材して頂いている今の状況にもびびっています。情報を発信した側としてはネットの反応もチェックしているのですが、海外の方のポジティブな反響が非常に多く、ガンダムファンとしてはうれしく思っています」

■山下ふ頭はガンダムファンにとっての「サイド7」になる?

――横浜のガンダム立像は“動く実物大ガンダム”の名に恥じない軽快な動きが話題です。生で見た際の感想は?

「各パーツを取り付けつつ部位ごとに個別の可動テストをしていたころ、ガンダム立像が動く姿を想像はしていましたが、そんな素人の想像力がバカバカしくなるくらい別次元の存在感でした。ここまでスムーズに各部が連携して動くとは思っていなかったんです。デザイン面で今回の斬新なアレンジには賛否あるようですが、“動く”という行為を最大限に引き立てる最適なデザインだと思いました。12月の公開時には更に想像の上を行くのだろうと楽しみにしています」

――動きが魅力的とのことですが、どの動きに一番感動しましたか?

「片膝を立ててしゃがむ動作です。あの動きに“動く実物大ガンダム”の魅力と可能性がすべて詰まっていると思います。自分もですが、多くの方はここまでの動きができると思っていなかったのではないでしょうか。あとは指が…、首が…、腰が…、とても一番を決められません。すべてが夢の光景であり感動しています」

――実物大ガンダムの設置作業を2009年から見てきたなかで、現場で作業している方々への思いは?

「猛暑の日も、極寒の日も、雨の日も、雪の日も危険のともなう高所作業を行い、異例づくしの“実物大ガンダム”を扱ってくださっているのですから、現場の作業員の方々に対しては深い感謝です」

――SNSでは「横浜がサイド7になる」という声もありました。“動く実物大ガンダム”によって横浜市中区の山下ふ頭がどのようなスポットになると思いますか?

「言いにくいのですが、設置場所はアクセスがよい場所とは思えません。何かのついでに寄るにはほかの施設から離れ過ぎています。そこが唯一、気になっている点です。逆に言えば、山下ふ頭でのガンダム展示は近隣の山下公園や大桟橋からも少し離れているので、ガンダムファンのためだけの特別な空間になるのではないかと楽しみにしています。そういう意味では“サイド7”にいる気分にも浸れるんじゃないでしょうか。私は、動くガンダムを足元から見上げながら、ガンダムカフェのジャブローコーヒーが飲みたいです」

取材協力:よっくん(@yoshi115t) 

(C)創通・サンライズ

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