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宇野昌磨、山本草太の活躍が記憶に残る、2015年の世界ジュニア選手権をプレーバック

  • 2020年8月12日
  • Walkerplus

フィギュアスケートの過去の大会をプレーバックする本企画、今回は2015年3月、エストニアのタリンで開催された世界ジュニア選手権を紹介したい。大会の白眉は何といっても宇野昌磨、山本草太の両名が表彰台に上った男子シングルであったが、女子でも樋口新葉が3位入賞を果たすなど多くの日本人選手が活躍した大会だった。

■群雄割拠の男子シングルで期待に応え、見事に優勝を果たした宇野昌磨
男子シングルは、大会前から宇野昌磨が優勝候補と目されていた。しかし、2010年大会の羽生結弦ほど、断然の一番人気というわけではなかったのだ。山本草太はもちろんのこと、ボーヤン・ジン、ネイサン・チェン、更にロシアのアレクサンドル・ペトロフ、アディアン・ピトキエフなど、多士済々のメンバーが揃っていたためだ。ネイサン・チェンは、ジュニア時代は怪我が多く、試合で実力を発揮できないケースが多かったが、その潜在能力は当時から認められていて、「フィジカルがしっかりすれば世界チャンピオンを狙える選手」との評価を得ていた。そしてボーヤン・ジンは、このころには既に複数の4回転ジャンプを習得。この大会でもフリーでは素晴らしい演技を披露し、あとに滑る宇野昌磨にプレッシャーをかけることとなった。しかし宇野昌磨は、ショートで圧巻の演技を披露、当時のジュニア男子としては最高得点となる84.87をマークした。このまま順当に優勝するかと思われたのだが、フリーではミスが多く、演技終了後には「もしかしたら優勝を逃したのでは?」と危惧したことを覚えている。実際、フリーのTESではボーヤン・ジンに19.48という大差を付けられたのだが、やはり当時から高い評価を得ていたPCSでの優位とショートの貯金がものを言い、優勝を果たしたのであった。

■初出場の世界ジュニア選手権で3位入賞を果たした山本草太
山本草太は、2014年12月のジュニアグランプリファイナルで宇野昌磨とワンツーを決める活躍を見せていた。当然この大会でも期待を集めたのだが、ボーヤン・ジンには届かず3位となる。しかし世界ジュニア選手権において、日本男子のダブル表彰台は史上初の快挙。表彰式後にはカメラマンに求められ、2人で日の丸を持つポーズを披露してくれたことを昨日のことのように思い出す。このシーズンでジュニア卒業が既定路線だった宇野昌磨に代わり、翌シーズンは山本草太がジュニアのエース格としての活躍が待っていると、誰もが信じて疑わなかった。しかし、優勝を目指した2016世界ジュニア選手権への出発の日、悪夢が彼を襲う。出発前、最後の練習で右足首を骨折。それから長い休養に入ったエピソードはフィギュアファンならばよくご存知だろう。彼は今シーズンから拠点を大阪に移し、心機一転して臨むこととなる。更なる活躍を期待したい。

■高い演技力が持ち味だった佐藤洸彬も出場していた
昨シーズンを最後に引退した佐藤洸彬も、2015年の世界ジュニアに出場していた。恩師の佐々木正徳コーチにとっては教え子が連れてきてくれた、初めての世界ジュニアだったそうだ。当時、佐藤選手にこのことを取材したところ、佐々木コーチには過去に世界ジュニアへの出場を決めた教え子がいたそうだが、負傷で棄権してしまい、出場が実現しなかったのだという。師匠孝行な教え子に恵まれて、嬉しそうにしていたコーチの姿が印象的だった。

■女子では樋口新葉が表彰台乗りを果たす
女子では樋口新葉、坂本花織、永井優香という強力なメンバーで臨んだ大会だった。しかしこのころには既にロシアが圧倒的な力を見せており、この大会もメドベージェワ、サハノヴィッチのロシア勢に金銀独占を許すこととなる。そんな中、この年が世界ジュニア選手権初出場だった樋口新葉はフリーで会心の演技を披露し、見事に3位入賞を果たした。樋口選手は翌年も世界ジュニア選手権で3位入賞。その後のシニアでの活躍を大いに予感させるものだった。

写真・文=中村康一(Image Works)

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