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書店員に聞く「鬼滅の刃」ブーム。「ほかのコミックスにも好影響」

  • 2020年7月17日
  • Walkerplus

あらゆる企業とのコラボが連日のように発表されるなど、社会現象となっているマンガ「鬼滅の刃」。7月3日には最新コミックスとなる21巻が発売され、ますます盛り上がりをみせている。今回は大型書店や話題書に強い書店に話を聞き、書店における「鬼滅の刃」ブームのリアルを調査した。

■累計発行部数は8000万部を突破!勢いが止まらない

週刊少年ジャンプ2016年11号(2月15日発売)から連載がスタートした「鬼滅の刃」。物語の舞台となるのは大正時代の日本。人と鬼との切ない物語や鬼気迫る戦い、時折コミカルに描かれるキャラクターたちの魅力が人気を呼んでいる。

同年6月には単行本の1巻が発売され、2019年4月にはTVアニメ化を果たした。作画の美しさや声優陣の豪華さが話題となってブームに火が付き、原作の人気も上昇。単行本が入荷してもすぐに売り切れるほどに。

1〜21巻のコミックス累計発行部数は8000万部(電子版含む)を突破し、短期間で驚異的な伸び率を見せている。そんな同作は、週刊少年ジャンプ2020年24号(5月18日発売)をもって人気絶頂のなか連載終了。これにはファンの間でも衝撃が走り、「鬼滅ロス」という言葉が生まれたほどだ。

■書店での反響は?冊数制限や特設コーナーがあった店も

「ジュンク堂書店 難波店」では、すべての人に平等に行き渡るようコミックスの1〜21巻すべてをレジで書店員に申告して購入するスタイルを導入。21巻の発売日前には予約問い合わせが100件を超えたとか。「普段は40〜50代のお客さんが多いのですが、鬼滅の刃の新巻が出るとお子さんが増えてうれしいです」と、コミック担当の川崎さん。

「大阪の学校ではコロナ支援として図書カードが配布されたので、それを握りしめて来店する子もいました。この前はお年寄りの方が『全部読んだで〜』と来店され、子供からお年寄りまで幅広い世代の方に人気というのは珍しいなと。改めてすごい作品だなと感心しています」

「紀伊國屋書店 梅田本店」では、21巻の発売日から2日間、既刊のほかTシャツやキーホルダーなどのグッズを集めて特設会場を設置。最新巻や既刊約2万冊がずらりと敷き詰められ、本棚が一面「鬼滅の刃」で埋め尽くされた異例の光景に。「21巻発売日である7月3日以降、21巻通常版がコミック売上1位を維持し続けています(※7/14時点)」と語るのは、コミック担当の矢幡さん。

「今回は初の試みで、特装版のみホームページで1日限定先着予約を受付しました。ここまで長期に渡って爆発的ヒットした作品は見たことがないです。今年の初めまでは追加が入ってはすぐに売り切れ、その勢いは目を見張るものがありましたね。味方だけでなく敵にも感情移入できるキャラクター設定が人気の理由の一つかなと。大人から幼稚園児まで年齢層を問わずに人気がありますよ」

「大垣書店 京都ヨドバシ店」では発売から4日間、レジで渡すと新巻を購入できる引換券を売り場に設置。各巻1人1冊ずつの制限を設け、多くの人の手に渡るように努めたとのこと。店長の辻中さんは「店内には缶バッジやラバーストラップなどグッズ展開はもちろん、作中のセリフに込められた教えを紐解くビジネス書の紹介もあります。普段ビジネス書をあまり手に取ることがない若年層が購入していくなど、おもしろい動きがありました」と語る。

「アニメ化の反響がここまで大きかった作品は過去にあまりないので驚いています。感情の乗ったセリフを聞くことで、心を動かされる人が多かったのでしょうか?鬼滅の刃が人気になったことで、書店で別の作品にもチャレンジしてみるといった感じで、ほかのコミックにも少なからずいい影響があったように思います。“ポスト鬼滅”とも呼ばれる呪術廻戦など、話題のコミックスを購入される方も増えました」

初版部数の増加に加え、コロナ禍の影響もあり、どの書店でも以前ほどの行列はできなかったという。しかし、幅広い世代に人気の作品なので、普段の客層とは違う年齢層の来店が増えるといった、書店にとってプラスな反響がある印象だ。

連載終了後も人気が衰えることのない「鬼滅の刃」。今年10月には劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」の公開も決定。まだ原作を読んでいない人は、今ならコミックス全巻買いもできるので書店へ足を運んでみては?

取材・文=江口琴音(glass)

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