積水化学工業株式会社 住宅カンパニーの調査研究機関である株式会社住環境研究所が2019年に実施した「睡眠状況に関する実態調査」によると、睡眠に対する不満を抱えている40代は、全体の4割を超える結果となりました。同調査結果によると、睡眠不満を抱えている人の多くが「日中の眠気」「睡眠時間が足りない」「起きた時にスッキリしない」と感じていることも明らかになっています。
アンチエイジングアドバイザーの筆者が、調査結果をふまえて睡眠にまつわる疑問について、「睡眠」「疲労回復」の専門家である福田英宏さんにお話を伺いました。
なかなか寝つけない時は無理に寝ようとせず、一度ベッドから出て気持ちをリセットさせましょう。リビングで雑誌を読んだり音楽を聴いたりしてリラックスし、眠気がくるまで待ちましょう。その際に、テレビを観たりスマホを使用することはNGです。逆に覚醒してしまう場合があるからです。
また、ベッドは眠る場所と脳に認識させることが大事です。普段からベッドでテレビを観たりスマホを使用したりしていると、ベッドは眠る場所ではなくくつろぐ場所であると脳が認識してしまい眠れない場所になってしまう場合があります。
読書も先が気になったり感情の興奮が伴うものだと、テレビやスマホと同様になってしまうため注意しましょう。15〜20分ベッドに入っても眠れなかったら、一度ベッドから出るなど目安を決めておくと良いです。
アプローチすることは可能です。ただし、健康食品やサプリが「その人に合っているか」「吸収できているか」が大事です。実際のところ、全く吸収できていない場合もあるようです。
そういう方には、「分子整合栄養」をすすめています。これは、血液検査や尿検査のデータを元に自分に合った栄養状態や生活習慣病などを把握することで、アプローチすることが可能というものです。導入しているクリニックなどで検査することができます。
ベストな睡眠時間は、年代や個人差があります。年齢を重ねるにつれ、睡眠時間は短くなっていきます。
厚生労働省の発表では25歳は約7時間、45歳では約6時間半、65歳では約6時間とされています。とはいえ、睡眠は時間より質の方が大事です。
交感神経優位(活動する神経)で寝ていることが主な原因と考えられます。対処法は、副交感神経(休息する神経)を優位にすることが大事です。
そのためには、生活全般を見直す必要があります。習慣としていただきたい例は、下記の通りです。
・寝る90分前に40°Cのお湯で10〜15分程度、うっすらと汗が出る程度入浴する。
・就寝1時間前には部屋の明かりを少し落とし、眠くなってから布団に入る。
・就寝1時間前には交感神経が優位にならないように、スマホやパソコンなどを使用しない。
・眠る前に脳を興奮させて睡眠ホルモンのメラトニンが減少しないよう、500ルクス以上の光、特に青白い光を浴びない(500ルクスの目安ですが、オフィスでいうと食堂や応接室といった場所の照明に相当します。会議室や事務室などは700ルクス程度がひとつの目安です)。
・室内の温度を夏で26度〜28度、冬で16度〜19度にし、湿度は60%前後に設定する。
今回は睡眠にまつわる疑問について、「睡眠」「疲労回復」の専門家である福田英宏さんにお話を伺いました。ぜひ参考にしていただき、快適な睡眠のためのアプローチを行いましょう。
【福田英宏(ふくだ・ひでひろ)さん プロフィール】
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士):研究テーマ『疲労回復ウェアに関する研究』/睡眠改善インストラクター/温泉入浴指導員/分子整合スポーツ栄養アドバイザー/Wasedaウエルネスネットワーク講師/日本スポーツ産業学会 正会員
株式会社RecoveryAdviser(リカバリーアドバイザー) 代表取締役。プロアスリートをはじめとするスポーツ選手に「リカバリー理論」を指導するほか、休養や健康関連を展開する企業のコンサルティングを手掛ける「疲労回復の専門家」として活動中。これまで指導したスポーツ選手は、プロ野球球団やプロサッカーチームをはじめ、ラグビーやバスケット、バレー、卓球、テニス、ゴルフ、トライアスロンなど多岐にわたる。リカバリーウェアをはじめ、各種サプリ・グッズ等の最適な使用方法をアドバイスしてきた。自身も小学生5年から大学まで本格的に水泳競技に打ち込み、大学卒業後にはトライアスロン日本選手権に出場。また日本山岳耐久レースにも出場している。
(アンチエイジングアドバイザー 遠藤 幸子)
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【参考】
※「アスリート休養の専門家」 – Recovery Adviser
※「睡眠状況に関する実態調査」について(PDF) – 生涯健康脳住宅研究所
※健康づくりのための睡眠指針 2014(PDF) – 厚生労働省