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海に漂うプラスチックボトルは「死のゆりかご」

  • 2024年5月21日
  • NACS-J
yurikago
▲体がボトルの口より大きく成長したガザミの仲間。中で死んで甲羅だけになっていた。(2023年7月19日)

ゴミと一緒に流れ着く生きもの


 慶良間諸島国立公園(沖縄)の座間味島にアトリエを構え、自然写真家として活動しながら 、近くの阿真ビーチで毎朝ビーチクリーンをしています。遠浅で波静かなビーチには、ウミガメが海草を食べに訪れます。自然環境を保全し、人も野生生物も互いに気持ちよく過ごせるビーチであり続けたいとの想いで14年前からゴミを拾っています。

 阿真ビーチでは、強い南西の風が吹く時に、外洋の潮目を漂っていたゴミが寄せられ、いろんな生きものも一緒に流れ着きます。漁網やロープに付いた海藻や魚卵、ボトルのキャップのネジの隙間に入り込んで暮らすイソギンチャク、パイプを巣穴にするゴカイやカニ……。ゴミを拾ったらまず観察して生きものはゴミにせず、生きていても死んでいても、海へ還します。また、砂などの自然物もよく払って、人工物だけを回収するようにしています。

ボトルの中を確認してから


 中でも、キャップの外れた不透明なプラスチックボトルは、沖の流れ藻で暮らすカニや稚魚たちにとって魅力的な隠れ家に見えるようです。入口が狭く、回遊魚などの捕食者が入れないため安全で、プカプカと水面で揺られる度に新鮮な海水とプランクトンが入ってきて、食べ物にも困りません。でもそこが落とし穴。やがて入口より成長すると外へ出られなくなってしまうのです。あとは死を待つのみ……。そんな漂流プラスチックボトルのことを、僕らは「死のゆりかご」と呼んでいます。

 助け出せれば、ガザミ類の子どもはビーチの浅瀬にも普通にすんでいるので生き延びられる可能性は高く、「元気でな!」と明るい気持ちで見送ることができます。遭遇するのは年に数回ですが、 人知れず命を落としている生きものは多いでしょう。プラスチックボトルを見つけたら、中を確認し、もし生きものが入っていればハサミで切り開いて、 そっと海へ還しましょう。
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▲ホンダワラ類などの流れ藻に付くハナオコゼが入っていたが、既に息絶えていた。(2023年7月5日)
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▲ジャノメガザミの子どもが入っていた。元気なまま海に還すことができた。(2023年8月16日)

文・写真:高松飛鳥
自然写真家ユニットうみまーる/座間味島を拠点に、世界の海を旅しながら取材を続け、数々の共同作品を生み出す。


※本記事の文、写真等の無断転載を禁じます。

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