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皮膚がんができる意外な場所、目や性器も、発見のポイントは

  • 2024年5月28日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

皮膚がんができる意外な場所、目や性器も、発見のポイントは

 皮膚科医に皮膚がんのチェックをしてもらったことがある人ならご存じのとおり、チェックをするべき場所には、がんの可能性を考えたことがないような部位も、日光にさらされないところも含まれている。皮膚がんというと、日光浴、日焼けマシン、日焼け止めの塗りムラや塗り忘れを連想する人が多いだろうが、強力な紫外線の力を借りなくても皮膚がんはできる。

「皮膚がんはこっそり現れることがあるのです」と、米国イリノイ州ヒンズデールで開業している認定皮膚科医のアリックス・チャールズ氏は言う。実際、皮膚がんの最悪のケースは、日光が当たらない部位にできるものが多い。それらに気づかずにいると、診断が遅れ、より侵襲的な(体への負担が大きい)治療が必要になり、より重症になる可能性がある。

 以下では皮膚科医が、肌(特に、隠れた場所)との新しい付き合い方について説明する。

皮膚がんの原因は?

 皮膚がんの大半は、太陽からの紫外線に長年さらされることと関連している。紫外線は可視光線より波長が短いため、私たちの目には見えない。有害な紫外線のほとんどは午前10時から午後4時までの最も明るい時間帯にふりそそぐが、曇りの日にも肌にダメージを与えるおそれがある。

 紫外線の浴びすぎは、「基底細胞がん」と「有棘(ゆうきょく)細胞がん(扁平上皮がん)」という、2つの最も一般的な皮膚がんと関連している。どちらにも遺伝が関与している部分があるが、紫外線の影響もある。紫外線は皮膚の細胞のDNAを傷つけ、体がそれを修復しようとするものの、頻繁に傷つけられていると、修復の際に突然変異が生じるリスクが高くなるからだ。

 米国皮膚科学会によると、米国では基底細胞がんと有棘細胞がんが毎年合わせて約540万例診断されているという(編注:国立がん研究センターの「がん情報サービス」によると、日本で2019年に皮膚がんと診断されたのは2万5247例)。

メラノーマは紫外線が原因とはかぎらない

 基底細胞がんも有棘細胞がんも重症化すれば命にかかわるが、「メラノーマ(悪性黒色腫)」に比べれば危険度ははるかに低い。メラノーマは広がったり転移したりしやすい皮膚がんの一種で、さまざまな遺伝子変異によって起こる細胞の制御不能な増殖と関連している。

 メラノーマは、強く紫外線にさらされてできることもあるが、必ずしも紫外線が原因とは限らず、先天的または後天的な遺伝子変異や免疫力の低下も原因となると考えられている。また、基底細胞がんや有棘細胞がんの転移はまれであるのに対し、メラノーマはリンパや血流にのって体内に広がり、ほかの臓器に転移することが多い。

皮膚がんができる意外な部位6例

 皮膚科医によると、日光があまり当たらない、まさかと思うような場所であっても、皮膚の健康状態を常にチェックすることが重要だという。チャールズ氏は、「ほとんどの皮膚がんは、目で見て発見できる可能性があります」と言う。皮膚がんができる意外な部位をいくつか挙げてみた。

手や足の爪:「偉大なるボブ・マーリーの命を奪ったのは、最初に足の爪の下にできたメラノーマでした」とチャールズ氏は言う。爪の下の皮膚にできるメラノーマは、足の親指や、手の親指と人差し指にできることが多く、爪に黒や茶色の縦線がよく現れる。爪下のメラノーマは比較的まれではあるが、黒人、アジア系、ヒスパニック系のメラノーマの中では最も多い。

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耳:耳は日光によく当たる反面、自分では見えにくい部位で、複雑な形をしているため、皮膚がんを見落としやすく、診断が遅れる患者が多い。

目:まれではあるが、目の中にできる皮膚がんもあり、虹彩(こうさい、瞳孔の周りの色がついている部分)や白目に黒い斑点ができることがある。まぶたにできることもある。「メルケル細胞がん」は表皮(皮膚の外層)の基底部にあるメルケル細胞ががん化するまれながんで、あらゆる部位にできるが、まぶたでは小さくて固いしこりとして現れる。最も進行が早いがんの1つで、死亡率は40%と高く、再発率も高い。

性器:皮膚がんは、日光にさらされることがほとんどない陰茎や外陰部の皮膚や、膣や子宮頸部にできることもある。これらの部位の皮膚がんは、通常、日光を多く浴びる部位の皮膚がんと同じ経過をたどり、ほくろのような病変が時間とともに変化することが多い。

足:皮膚がんは足の裏にもできる。米国皮膚科学会によると、アフリカ系とアジア系ではメラノーマができる部位は手と足が最も多いという。足の指の間、足の裏、足の甲と側面をチェックしよう。

頭皮:外出時に顔に日焼け止めを塗ることはあっても、頭部はおろそかにしていないだろうか? 頭皮のメラノーマは脱毛症や薄毛の人に多いが、しっかりした毛髪の下に隠れていることもある。だから皮膚科医は、屋外に出る前に頭部にも日焼け止めスプレーをかけることを勧めている。

 意外な部位にできる皮膚がんの長いリストを見せられると不安になるかもしれないが、チャールズ氏によれば、目ざとい友人やパートナーがいて、しっかりした皮膚科医にかかることができれば、ほとんどの皮膚がんは驚くほど見つけやすいという。

「あなたの大切な人たちの言葉を信じましょう。彼らはあなたには見えないところを見ています」とチャールズ氏は言う。気になる部分に自分で気づいたら、できるだけ早く皮膚科医に相談しよう。「皮膚がんは、早期に発見して治療すればするほど、予後が良く、傷跡が小さく、遠隔転移の可能性も低くなります」

セルフチェックと病院に行くタイミング

 米国皮膚科学会は、皮膚にできた黒いものが心配すべき病変かどうかを見分けるときに役立つルールとして、「Asymmetry(非対称性)」、「Border(境界)」、「Color(色)」、「Diameter(直径)」、「Evolving(変化)」の頭文字をとった「ABCDE基準」を定めている。

 ほくろやしみのようなものの形が、非対称、境界が不明瞭、色むらがある、大きさが6ミリ以上、以前に比べて変化がある、のどれかに当てはまる場合には病院に行こう。皮膚がんにかかった家族がいる人、よく日焼けをする人、色白の人は、皮膚科医による定期的なチェックを受けることをお勧めする。

 チャールズ氏は、誰もが定期的に自分の肌をチェックするべきだと考えている。「よくわからない点があったら、皮膚科に行ってリスクを評価してもらって損はありません」。いちど皮膚科に行って医師の入念なチェックを受けておけば、自分の体の隅々までもっとよく観察するようになるかもしれない。

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