企画展「岸田吟香と岸田劉生−近代、それは東洋にあり−」が現在、豊田市博物館(豊田市小小坂本町5)で開かれている。(豊田経済新聞)
豊田市博物館で企画展 拳母藩ゆかりの儒官・岸田吟香と息子・劉生を題材に
岸田吟香は、拳母藩の儒官で明治期に事業家・ジャーナリストとして西洋の文化や技術を普及させる一方、中国に渡って最先端の書を日本にもたらし、吟香の息子で、日本を代表する洋画家の劉生は、実の娘を写実的に描いた「麗子像」などで知られている。
豊田市博物館の開館1周年と、郷土ゆかりの人物である岸田吟香の没後120年を記念した同展。岸田吟香と息子の劉生が中国に影響を受けた書や絵画など約100点を展示し、日本の近代化が「西洋化」のみでなく、東洋からの影響によるものであることを、岸田父子の芸術活動から紹介している。
第1部では幕末の三筆に代表される近世後期の書から、明治中期から大正期の日本の書の移り変わりを、多様な人物とその作品から紹介。吟香が影響を受けた隷書体や行書体などで書かれた書や吟香自身の書などを、部屋の入り口から奥に向かって時代が進むように展示している。
第2部では、劉生の代表作である「童女図(麗子立像)」など、西洋の写実的表現を追求する一方、中国の宋・元の時代の画に影響を受けた劉生の作品を紹介するとともに、1920年代に描かれた劉生の日本画なども展示。劉生の画風の展開における東洋的なものの影響や、その影響による画風の移り変わりが伝わる展示となっている。
開館時間は10時~17時30分。月曜休館(祝日は除く)。入館料は、一般=1,000円、高校生・大学生=800円、中学生以下無料。6月15日まで。