利根大堰でアユ遡上 今年も魚道で観測

  • 2025年5月22日
  • みんなの経済新聞ネットワーク

 利根大堰(とねおおぜき)の魚道で現在、稚アユ(ちあゆ)の遡上(そじょう)が見られる。(熊谷経済新聞)

 タイミングが合えば遡上が見られるかもしれない「大堰自然の観察室」の入り口

 利根川と荒川をつなぐ重要水資源施設の利根大堰は、毎年春になると海から川へと戻ってくる稚アユの姿が見られることで知られる。水資源機構利根導水総合管理所(行田市須加)は毎年この時期に魚道に設置した「ヤナ(梁)」と「ウケ(網かご)」で、遡上するアユを実測し公式サイトで公開している。今年は4月21日から数え始め、5月13日には一日で1万9031匹の稚アユを確認。5月20日までに延べ5万5025匹の稚アユが遡上している。

 利根大堰は、利根川の水を東京や埼玉、群馬に届ける利根導水路施設の一つ。首都圏約1670万人の暮らしを支える水道用水や工業用水、農業用水、浄化用水を安定供給している。普段はゲートを下げて川の水位を高く保っていて魚が川を行き来できないため、3基の「魚道」を設けている。

 「1号魚道」には現在、観察窓が設けられており、天候などのタイミングが合えば「大堰自然の観察室」で、ガラス越しにアユが流れに逆らい懸命に遡上する姿を見る事ができる。観察室では、魚の遡上情報だけでなく、利根大堰の役割や建設工事の様子などを説明するパネル展示も行っており、地域の自然や環境保全を学ぶ場としても活用されている。

 水資源機構利根導水総合管理所総務課長の沢上正俊さんは「アユの観察には毎年ばらつきがあり、今年は昨年に比べ数が増えている。魚道は、魚の習性を利用した形になっており、流れに沿って自然と入ってくるアユやカジカなど流れに逆らって泳ぐ力が強い魚だけが遡上でき、底で生活する魚はあまり遡上しない」と話す。

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