道の駅富士川(富士川町青柳町)で5月2日、「鰍沢塩(かじかざわしお)」を使ったドライトマトとバターポテトの2商品の販売が始まった。(甲府経済新聞)
江戸時代に始まる富士川舟運の歴史を背景に、かつて甲州や信州から幕府へ年貢米を下げ、駿河からは塩や海産物を上げる「下げ米、上げ塩」と呼ばれる物流が盛んだった。鰍沢は舟運の要地としてにぎわい、陸揚げされた塩は「鰍沢塩」として甲州や信州一帯に流通したという。
今回商品化した鰍沢塩は、舟運当時と変わらない天日干しの製法で作ったもの。天日干し塩は、「ミネラル分を多く含み、海水をじっくりと蒸発させることで素材本来の味わいを引き出す」という。
富士川舟運は1607年、徳川家康の命で京都の角倉了以らによって開削され、鰍沢から駿河の岩淵までの水路が開通し、物資と人の流れが活発になった。鰍沢は甲斐国と信州、駿河を結ぶ交通の要衝で、塩の流通拠点として経済的にも発展した。信州高遠では塩のことを「鰍沢」と呼ぶほど、鰍沢塩は地域の生活や文化に根付いていた。昭和初期に鉄道が開通するまで、舟運は地域経済を支え、鰍沢のにぎわいを生み出してきた。同商品は、こうした歴史や文化を伝え、天日干し塩の価値を現代に伝えることを目的に企画された。
道の駅富士川の藤巻睦久社長は「塩手間かけたシリーズを通じて、富士川の歴史や文化、天日干しで作られた塩への思いを知るきっかけになれば」と話す。
価格は、ドライトマト、バターポテト共に648円。