ロックバンド「ヤバイTシャツ屋さん」(以下ヤバT)初主催のロックフェス「ヤバイTシャツ屋さん Tank-top Festival 2025 in 志摩スペイン村」が5月10日、志摩スペイン村パルケエスパーニャ(志摩市磯部町)を貸し切って開催された。(伊勢志摩経済新聞)
「ヤバイTシャツ屋さん Tank-top Festival 2025 in 志摩スペイン村」(タンクフェス)の様子
ギリシア、ローマの神話にも登場する「病を治し、戦争のとき民衆を守る」とされる農業の女神・シベレスの噴水がある「シベレス広場」に特設ステージが組まれ、昨年のヤバT単独ライブ開催時より2000人多い8000人がフェスを楽しんだ。
前日からの雨は昼過ぎまで降っていたが、開演となる13時にはぴたりと止んだ。10FEET、瑛人、キュウソネコカミ、岡崎体育の4組のアーティストに、主催者のヤバTが次々にステージに立った。幕間には1300人収容可能なコロシアムでお笑いライブが行われ、立ち見客も入れると約1400人がライブ会場からコロシアムまで移動した。4回のステージには、2023年にヤバTのありぼぼさんと結婚したお笑いタレントのどんぐりたけしさんに、怪奇!YESどんぐりRPG、かが屋が登場。満席の会場は終始笑いに包まれていた。
観客は、ライブ中は歌い踊り、幕間にはお笑いライブで笑ったほか、同パーク内のアトラクションに乗って遊んだり、限定のヤバTコラボメニューをレストランで食べたりして楽しんでいた。
2019年には「並ばないから乗り放題」(待ち時間ほぼゼロ!全28機種のアトラクションを好きな時間に好きなだけ乗り回せる)と学生向けプロモーションに自虐ネタを入れたことで話題になった同パークだったが、この日は早朝からアトラクションにもレストランにも長蛇の列が伸びていた。
同パークの粕本源秀専務は「ヤバTとのコラボメニュー『すこすこスパイシーチキンオムライス』(2,000円)は800食、一度に50人分のパエリアが作れる直径1メートルの大鍋での「シーフードとチキンのパエリア」(1,200円)は計10回調理で合計500食分がそれぞれ早々に完売した。オムライスは10人に1人が召し上がったことになる。幕間にコロシアムまで本当に移動してくれるのか心配だったが、杞憂(きゆう)に終わった」と驚いていた。
ヤバTのありぼぼさんは「スペインの街並みがきれいで、そこでライブをする面白さは、ここでしか体験できない。スペイン村はスタッフのみなさんの対応が素晴らしいから愛されているのだと思う」。もりもりもとさんは「(昨年ファンから)野外なのに音がいいと言われた。ちょうど建物に囲まれているので反響がよいのだと思う。こんな立地なので音量も気にせず出せるので、音楽的なところでも楽しんでもらえているのでは。2日間は全国からファンが集まる日になった。これだけのキャパを一気に集められることはできないのでとてもありがたい」。こやまたくやさんは「スペイン村さんの柔軟さに驚き。直前に出したアイデアでもみんな叶えてくれる。出したアイデアを実現させてくれようとしてくれることがとてもありがたく、感謝しかない」と話す。
粕本専務は「昨年こやまさんがステージで来年はフェスを開きたいと言われた時にも、できるかどうかわからない中、どうやったら実現できるかだけを考えた。実は昨年はシベレスの噴水の前にステージを組んだのでキャパにも限界があった。終わってからシベレス像が外せるか確認したところ、できるとわかり、休園中に本当に可能か、一度外して確認してみた。快適で、安全に、そして満足してもらえるようにという思いで取り組ませてもらった。音楽フェス開催は初めてだったので不安や心配もあったが、事故もなくみなさんに喜んでもらえてとてもうれしい」と打ち明ける。
ステージ上からこやまさんは「フェスを開催するにあたって、三重の人から『やっとロックフェスができた』と喜んでもらえた。今年だけで終わるのはもったいなくないですか。三重県に何のゆかりもないと思うかもしれないが、俺は京都出身、柴田(ありぼぼ)は大阪出身、森本(もりもりもと)は静岡出身、その真ん中が三重県じゃ。めちゃくちゃゆかりあると思うんですけど…。俺たちが三重県にロックフェスを定着させてやる」と叫んだ。
テーマパークを貸し切って行われる音楽イベントでは、閉園後の夜に行われることは多いが、一日中貸し切って行うイベントは全国的にみても少ない。志摩スペイン村のライブのほかには、音楽フェス「ROCKS FORCHILE(ロックスフォーチル)」やベリーグッドマンによる「超好感祭」が「ひらかたパーク」(枚方市)で行われている。