石製品の製造・加工・販売を行う「大阪石材工業」(東大阪市水走3)が大阪・関西万博会場で会期中、ハート型の石を磨くワークショップ「Love Stone Project EXPO 2025」を開催している。(東大阪経済新聞)
大阪・万博会場での石磨きワークショップの様子
1977(昭和52)年創業で墓石の設計から施工までを一貫して行う同社は、墓石業界に親しみを持ってもらおうと、女性社員で構成する「お墓女子」アカウントでの情報発信や、オープンファクトリーで工場ガイドツアーやワークショップを開催するなど、「世界一面白い石材店」を目指している。3年ほど前からは、ハート型の石を人々と磨くプロジェクト「Love Stone Project」をライフワークとする彫刻家の冨長敦也さんと地域のイベントなどで石磨きワークショップを行っている。
大阪・万博会場での石磨きワークショップは、大阪関西国際芸術祭実行委員会が出展するパブリックアート作品の一つとして行う。アメリカ産御影石(高さ35センチ、幅39センチ、奥行き55センチ)など、アメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・アジア・オセアニアの五大陸から採取した石を冨長さんがハート型に彫刻し、万博会場西ゲート近く、EXPOアリーナ手前に5つの石を設置した。大阪石材工業は、石の選定、搬入、設置をサポートし、冨長さんや同実行委員会メンバーとともにワークショップを開催している。
7段階のやすりを用意し、4月~10月の会期中に粗い目から順に細かい目のやすりに変えて来場者とともに石を磨く。大阪石材工業営業部の安達裕樹さんは「世界中から訪れた人と半年かけて一緒に磨き、1つのものをみんなで作る。国籍や世代、文化の違いを超えて、愛と平和を表現する作品。最先端のテクノロジーが集まる万博会場で、ただ石を磨くだけのアナログなワークショップ」と話す。
万博会場での石磨きワークショップはこれまで、4月に2日間、5月に4日間開催。アイルランドやアメリカ、タイなど、15カ国の来場者合計1590人が参加した。「並ばず無料ででき、1日3回来る子どもや、やすりの目の粗さが変わる度に磨きに来てくれる人、10月の最終に磨きに来ると言ってくれる人もいて、没頭する時間を楽しんでもらえている。一つの石を一緒に磨くことでコミュニケーションが生まれ、日本人と外国人の子どもが会話する様子も見られた」と安達さん。
「最後は空が映るくらいピカピカに仕上げたい。万博終了後は、作品としてどこかに寄贈できればと思っているので、いつかどこかで自分が子どものころに磨いた石に出合えるかもしれない。後世に残る可能性があるので、万博の思い出にひと磨きしてもらえたら」と笑顔を見せる。
今後の開催日は、6月7日・8日、9月6日・7日・20日・21日、10月4日・5日。開催時間は10時~15時。参加無料(入場には大阪・関西万博のチケットが必要)。雨天中止。