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2025/05/29 05:01 ウェザーニュース
5月下旬は不安定な空模様が多くなっていますが、この後は散歩や外遊びによい過ごしやすい天気も期待できそうです。
5月は様々な植物が見頃を迎える時季でもあります。公園や野原で一面に広がる緑の中で、可愛い白い花をつけるのがクローバーです。幸運のしるしとされる四つ葉のクローバー探しを楽しんだ人も多いのではないでしょうか。
「兵庫県立 人と自然の博物館(兵庫県三田市)」系統分類研究グループ研究員の李忠建さんに、三つ葉のクローバーが多い中で四つ葉が存在する理由、見つけ方のコツや間違えやすい植物など教えていただきます。
クローバーはマメ科の植物で、日本では一般的にシロツメクサ(白詰草)をさします。原産地はアジアからヨーロッパとされ、日本へ渡来したのは江戸時代、その名の通り輸入船の荷造り用の緩衝材=詰め物として使われていたといいます。
クローバーは基本的に1本の茎に三枚の葉がついていて、学名も「三つの葉(Trifolium)」でです。しかし、まれに四つ葉が混じっていることがあります。
四つ葉のクローバーは珍しく、四つ葉の形が十字架に似ていることから、幸せのしるしとされています。
なぜ、四つ葉のクローバーがあるのでしょうか。
「クローバーが茎の先端で三つ葉を作り始める時、物理的な刺激で傷ついたりすると、四つ葉になることがあるようです。また、栄養が多すぎても四つ葉になることがあるようです。
ただ、四つ葉になりやすいかどうかには遺伝的な理由も関係しているようで、四つ葉のクローバーの栽培セットも売られています」(李さん)
自然の四つ葉のクローバーをうまく見つけるにはどうしたらよいのでしょうか。
「物理的な刺激で四つ葉になることがあるので、人によく踏まれていそうな、人通りのあるところで見つかりやすいという話があります。
また、四つ葉になりやすい株というのもあるようで、そういう株の増えているところでは四つ葉を見つけやすいはずです。なので、一ヵ所をこだわって探すより、いろいろなところを探す方がいいようです」(李さん)
ちなみに、クローバーと間違えやすい植物もあるといいます。
「身の回りの自然には、カタバミ(酢漿草)というそっくりさんもいて、こちらも四つ葉になることがあります。同じくらいラッキーだと思いますが、クローバーにこだわって探す場合は気をつけましょう。
また、水辺にもそっくりさんのデンジソウ(田字草)がいます。こちらは四つ葉が基本なので、あまりラッキーに感じられないかもしれませんが、多くの都道府県で絶滅危惧となっているので、実はもっとラッキーといえるかもしれません」(李さん)
四つ葉のクローバーを探しているうちに、どんどん素敵なものが見つけられるかもしれません。
「ぜひ、目線を近づけてみてください。土の中を這っている本当の茎や、しぼんで乾いた花を剥(む)くと見つかる豆の部分など、意外な形をしているのもギャップがあって好きです」(李さん)
「また、どれも外来種ですが、ムラサキツメクサ(紫詰草)、コメツブツメクサ(米粒詰草)など、身近なところでいろいろな近縁種が見られるのも楽しいですね。
木や草を見かけたら、どんな花をつけるのか、どんな実を結ぶのかなど、時々『そういえば』と観察すると、意外な事実を目撃できるかもしれません。植物は1年を通して、同じ場所で姿を変え続けていますから」(李さん)
目をこらしていると四つ葉のクローバーのという“まれ”が発見できるかもしれません。身近な自然をじっくり観察してみてはいかがでしょうか。
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)