オーストリアを代表するアーティストの一人として知られるエルヴィン・ヴルムさんの個展「エルヴィン・ヴルム 人のかたち」が現在、十和田市現代美術館(十和田市西二番町)で開かれている。(八戸経済新聞)
展示室の壁面にセーターを着せた作品「精神」
石こうや金属を使った彫刻作品や、写真、衣服、絵画などさまざまな技法で制作したアート作品を発表しているヴルムさん。同館前の広場には、家や車が風船のように膨らんだユーモラスな外観の作品「ファット・ハウス」「ファット・カー」が常設されている。
国内初の個展となる同展は、19作品を紹介。昨年制作した大型のインスタレーション作品「学校」は、細長くゆがめられた学校の教室の内部に、過去に使われていた「時代遅れ」の教材を設置。「学校」という制度が持つ「権力」「正しさ」をあいまいに表現したという。このほか、人体の形状の一部分をアルミと鋼鉄でかたどった「皮膚」シリーズ、展示室にピンクのセーターを着せたという作品「精神」などが並ぶ。
「1分間の彫刻」シリーズは、鑑賞者が作品の指示に従って1分間ポーズを取ることになる作品群。同館から徒歩圏内の3施設に設置している。
4月12日に開催されたレセプションには、桜田百合子十和田市長、オーストリア文化フォーラム東京所長のアルノ・ミッタードルファーさん、アート関係者や市民が集い、開幕を祝った。
キュレーションを担当する同館の中川千恵子さんは「彫刻や絵画、写真、洋服や建物を使ったさまざまな作品を展示している。一見ユーモラスで面白おかしい作品に見えるが、その奥には社会批評的な部分も見られる」と話す。
11月16日まで。
同美術館の開館時間は9時~17時。観覧料は、一般=1,800円、高校生以下無料。月曜休館だが、5月6日、8月4日・12日は開館する。