「毎日家事をする生活がつらい」「お鍋を焦がすのは日常茶飯事」。これがいつものこととなると、発達障害の傾向がありそうです。
ADHDの人は、同時に2つ以上のことをこなすマルチタスクが苦手です。これはワーキングメモリー(記憶のおぼん)が小さいため、記憶の容量が少ないことが原因です。
漫画の方は、お鍋を火にかけているときに、子どもの宿題を見るという別のことをしようとしました。ところがお鍋を火にかけていたことは忘れてしまって、宿題に集中してしまい、結果、お鍋を焦がしてしまいました。
定型発達の人は「お鍋はどうかしら」と気にしながら宿題を見ることができるのですが、ADHDの人には難しいのです。
また、多動性のため、すぐに気が散って別のことを始めてしまいがち、そして、衝動性のため、思い浮かんだ新しいことをしようとしてしまいます。
目新しく興味のあること、おもしろいことに対してはアイディアも出し、ワクワクした気持ちで集中力を発揮できますが、日常の業務やルーティンな単純作業はすぐ飽きてしまいます。
「退屈」だと思うものほど、初歩的ミスが多くなり、別のことに興味が移りやすくなります。不注意になるとミスが起こり、イライラ!そんな悪循環に陥ってしまいがちです。
2つのことを同時進行すると、それだけワーキングメモリー(記憶のおぼん)に負担をかけてしまいます。「あれ」と「これ」を同時進行で覚えておかなくてはいけないのですから。
しかし、そのせいでミスが起こるとしたら、かえってタイパが悪いですね。結局はひとつひとつ終わらせたほうが早い。ということはよくあります。「あれもこれも」やりたくなるのは、そもそも目標設定が高すぎるということもあるでしょう。
厳しくいうと「欲ばりすぎ」。あせらず、小さなタスクをひとつひとつこなす。今日やることの目標を高くしすぎないことが大切です。
家事に関しては、まずは火事を出さないということが大事。最近のガス台は自動消火機能がついていますからその点は安心ですが、火を使わないIHクッキングヒーターにすればさらに安心。
道具や仕組みでムダなイライラが発生しないようにし、さらに安全を確保しましょう。
▶次の話 待ち合わせ時間に必ず遅れてくる友人。LINEで届いたメッセージに思わず絶句
部屋が片づけられない、約束の日時を間違える、集団から孤立しがち…など、あるあるな発達障害傾向と「ラクに生活するための考え方や生活のヒント」を伝授。「もしかして発達障害!?」の夫や子ども、仕事関係の人の理解にもつながる1冊です!
『もしかして発達障害?「うまくいかない」がラクになる』1,760円/主婦の友社 司馬理英子著
Amazonで詳しく見る 楽天で詳しく見る