日本の四季を彩る旧暦と二十四節気ゆかりの行事には、開運・良縁などを呼び、邪気や病を祓うヒントがいっぱい。暮らしの中でできること、少しずつ始めてみませんか?
今日7月7日は「七夕(七夕の節句)」。笹竹と短冊に願いをかける星祭りです。
彦星と織姫の逢瀬を祝う年中行事ですが、かつてはお盆の前に身を清め、厄を祓う風習として重要でした。
古来、人々は松や竹のような常緑の植物を神様の依り代として大切にしてきました。七夕の笹竹もまた同じ。
生命力にあふれ、真っすぐ空に向かって伸びる笹竹に願い事を託します。
願い事を書く短冊にも秘密があります。いわゆる「五色の短冊」とは、赤・青・黄・白・黒の5色。古代中国の思想である陰陽五行説から生まれ、人が備えるべき五つの徳をあらわすともいわれています。
ほかにも短冊を明るく照らすための提灯や、裁縫や手芸の上達を願う紙衣など、それぞれの笹飾りのいわれをひも解いていくと、深い意味を知ることができます。
近ごろでは、生花店やスーパーの生花コーナーの片隅に、ほどよいサイズの笹竹が登場するようになりました。
折り紙で飾りをこしらえたり、願い事をあれこれ思案したりしていると、不思議と気持ちが華やぎます。
七夕は、天の川を隔てて暮らす彦星と織姫が年に一度の再会を果たすと伝わる日。
牛飼いの牽牛星(彦星)と機織りを生業とする織女星(織姫)にまつわる、古代中国の星伝説がもとになっています。
この話を伝え聞いた奈良時代の貴族たちは、二人にお供えをささげ、織姫のように裁縫や手芸が上達するよう願う「乞巧奠」という行事を行いました。
さらに衣を織る乙女を意味する「棚機女」がまざり合い、「七夕」の名前が生まれたと考えられています。
江戸時代になると庶民の間にも七夕行事が広まり、願い事をしたためた短冊や各種の飾りを、笹竹に吊り下げるようになりました。
その一方で七夕をお盆の準備期間ととらえ、お墓を掃除したり、水浴びをして身を清めたりする風習が残る地域もあります。
七夕の翌日に笹飾りを海や川に流す「七夕送り」も、お盆の前に災厄を祓っておくために行われていたならわしです。
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