秋が進んで涼しくなると、日焼け跡や乾燥で、肌が汚く見えることがありませんか?今回は肌ダメージを挽回する対処法を、薬剤師が紹介します。
日光の日差しを浴びた後、肌のケアをせずに放置していませんか?年齢を重ねていくと、紫外線を浴びた肌のケアを行わないことで、日焼け、シミ、シワなどの肌トラブルが増えてきます。
ここからは、紫外線を浴びた肌を放置するとどうなるのか解説します。
紫外線を浴びると、肌の奥にある「メラノサイト」が活性化して「メラニン」が生み出され、日焼けをします。これは、紫外線によって肌の細胞内のDNAにダメージを与えないための仕組みです。
子どもの場合、肌の入れ替わり(ターンオーバー)が早ければ1~2週間など比較的短期間で元の肌の状態に戻りますが、年齢を重ねるとダメージが蓄積され、シミやシワなどに繋がります。
シミは、メラニンがうまく排出できず、色素が沈着することで発生します。
通常、メラニンは、肌のターンオーバーによって排出されます。しかし、ストレスや加齢などによってターンオーバーの乱れが生じることで、メラニンの排出が追いつかず、シミに繋がるのです。
紫外線の「UVA波」は、シワや肌のたるみの原因になります。
UVA波が肌の奥深くにある真皮層まで到達すると、肌のハリやうるおいを守るコラーゲンや「エラスチン」などの組織が破壊されてしまいます。
こうしたダメージが徐々にたまることで保湿機能が低下し、シワができるという仕組みです。
日焼けによる肌ダメージの対策は、レーザー治療やビタミン剤の服用に加えて、漢方薬の服用もおすすめです。漢方薬のなかにはシミへの効果が認められているものがあり、美容皮膚科でも使われています。
ダメージを受けた肌に対しては、
・水分の循環をよくして肌にうるおいを与え、老廃物を排出する
・血流をよくして肌に栄養を届ける
・肌の新陳代謝をよくする
・肌の炎症を鎮める
などの作用がある漢方薬を選び、根本改善へとアプローチします。
肌に栄養が届けられることで、紫外線などのダメージに負けないからだを目指すことができますし、食事のついでに飲むだけでケアができるのも、漢方薬をおすすめできる理由のひとつです。
紫外線ダメージによる肌の悩みにはどのような漢方薬がおすすめなのか、悩み別に4つの漢方薬を紹介していきます。
・温清飲(うんせいいん):血流を整え、からだの熱を下げることで、肌の炎症を抑えます。
・桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん):血のめぐりをよくし、上半身にたまった熱を逃すことで、シミやニキビの改善に働きかけます。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血行をよくすることで、肌の栄養不足によるシミを改善に導きます。
・加味逍遙散(かみしょうようさん):女性ホルモンの乱れを整えるとともに、のぼせも改善します。
*紫外線ダメージに効果的な漢方薬は複数ありますが、自分の体質や症状に合う漢方薬を選ばなければ、期待する効果は得られません。また、場合によっては副作用が起きることもあります。そのため、漢方薬を服用する際は、専門家のアドバイスに従うといいでしょう。
文・監修/山形ゆかり(やまがた・ゆかり)●薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。15社以上のメニュー開発に携わり、情報発信を行う。