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Vol.50 身近なコミュニティを作り上げていくうえで大切だと思うこと

  • 2010年6月17日

 

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。
 この連載も、早いもので、今回が数えて50回目となります。と、自分からネタを振ってはみましたが、特に目覚ましい展開はありません(笑)。ひき続き、ぼんやりやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 さて、「今年は何がやりたいのかということ、そして何ができるのかということをしっかり判断したい」と年頭に書きました(vol.39)が、その抱負を実現する意味でも、去年9月から3回行ったソロ・ライブでの経験は予想以上に僕にいろんなことを教えてくれました。そのいちばん大きな部分は、もちろん音楽に直接関わることです。が、同時に、この連載でも再三書いてきた身近なコミュニティ作りに関して自分が中心になってプロジェクトを進めていくことを考えるという面でも、今回の経験はやはり大きかったなあと思います。というのも、僕を中心にというか、僕から発信して人の輪を作っていく場合の、自分のスタンスみたいなものが自然と定まってきたように感じたからです。ゴスペラーズで活動していると、そういうことについてはやはりなかなか自覚的になれません。当たり前の話ですが、ソロでやるとなると、何がしたくて、それをどうやるのかということを自分で考えないといけなくなります。そのことに直面したとき、ゴスペラーズではいかに自分が考えずに楽をさせてもらっていたかということを思い知らされました。“5人のなかでオマエはこうするのがいいよ”ということを考えてもらっていたんだと再確認することができただけでもソロをやって良かったと思ったくらいです。

 そうした経験をした後だからでしょうか、先日プライベートの集まりがあったときに気づいたことがあります。僕には、“入り口”になるという役割もあるんだなというか、“北山の〜だから、だったら面白そうだから行ってみるか”というような形で使ってもらえることもあるんだなって。もちろん、どういうことをやっているのかという中味の部分で評価してもらえるようなものを用意しないと上っ面の集まりになってしまうので、その努力は怠らないようにしないといけません。でも、全部が全部そういうふうにはやりきれないところもあるので、僕が仲間のアイデアや作業に乗っかる場合もあって、それにさらに乗っかってくれる人もいるよ、みたいな形にしていけばいいのかなと。そのあたりは、まさに今はいろいろ試行錯誤しているところです。

 というところで、「北山流の、人の輪作りノウハウを」というお題がスタッフから出てきました。

 ぼんやり学会的に言えば、やはりぼんやりすることなんだろうと思います。そもそも、人を社会活動に突き動かすような、人を引っぱってでもある課題を解決したいというような人はものすごく熱意があるはずです。その熱をぼやかさないでそのまま語ってしまうと、相手が真面目であればあるほど、“この人と同じ熱量を持っていなければ、同調するのは失礼だ”というような気持ちにさせてしまいますよね。だから、“僕は熱いものを持ってるけど、キミにも同じ熱さを求めてるわけじゃなくて、僕に足りないものをちょっとでいいから分けてください”というようなことがうまく伝えられればいいのかなと思うんです。

質問  自分が熱くなることによって魅力的になれるというのはすごいカリスマ性があるということだから、そんな人はとっくにいい組織を作れているだろうし、その組織のリーダーとして活躍しているでしょう。でも、そうなっていないのだとすれば、現実としては一人でできないから、いろんな人に助けてもらうということですよね。そこで思うのは、あくまでも僕の個人的な考えですが、質問するということがすごく大事なんじゃないでしょうか。自分がわかってると思っていることでも、意見を求めてみる、と。そうすると、思いもしないような答えが返ってきて、自分の世界が変わることだってあるわけです。それも、「僕の意見をどう思うか?」ということだけじゃなく、「〜と僕は思うんだけど、こんな僕をどう思う?」みたいな話をするとか(笑)。その場にいる人全員が話に参加するきっかけを持てないとつまらないでしょうし、参加して意見を言い合って、結果として自分の言ったことが人に共感してもらえると、誰でもうれしいじゃないですか。そういう場を作るのがいちばんだと思います。僕自身、それができているかと言えば、先にも書いた通り、試行錯誤中ですが…(笑)。

 次回も身近なコミュニティを運営していくうえでの問題について書いていきます。どうぞ、お楽しみに。 


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