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Vol.27 みなさんの質問に答える その2

  • 2009年7月16日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。
 今回も、寄せられた質問のなかからいくつか取り上げてお答えしていきます。

「ぼんやり学会」Vol.10 北山の食生活2 に関して
北山さんこんにちは。いつも楽しく拝見しております。私は栄養の勉強をしていましたが、栄養学では、「バランス良く食べる」という基本概念がありました(何らかの病気を患っている場合などは別ですが)。北山さんは、のどの為に食事制限をされていて、体調もよいとありましたが、始めた頃は、体に何か支障と言いますか…悪い変化(と言っていいのかわからないのですが)などは一切なかったのでしょうか? また、なぜ、豚肉や牛肉がのどによくないのかを詳しく教えてください。宜しくお願いします。
20代・女性


 まずは質問に答えると、悪い変化はありました。意図的に自分の食生活のバランスを崩したわけですからね。風邪をひきやすくなったりしました。「どうしてノドに良くないか?」ということについては人によります。ただ、一般的な説明としては、筋肉に乳酸をためにくくするには哺乳類は良くない、ということを最初に言われました。あと、一説には人間より体温の高いものの脂を摂るのは良くないっていう話もあるみたいです。

 ただ、そういうこと以前によくわかってほしいのは、僕は日本中の人をひとまとめにして「豚肉や牛肉を食べるのがノドに良くない」と言っているわけではないということです。体内にどういう酵素があるか、どういう菌と共生しているかというのは人によって全然違うわけですから。食事制限をする生活を勧められて実践してみたら、僕のノドにはいい効果があったということなんです。

 それから、「バランス良く食べるのが大切」というのはまさにその通りだと僕も思いますが、そこでさらにもう一歩踏み込んでその「バランス良く」という場合に、どの範囲でバランスをとるのか?あるいはそもそもバランスって何?全体って何?ということを、それぞれがそれぞれの生活のなかでみつけることが大切だと思うんです。

 僕も最初は、言われたことをその通りにストイックに3ヶ月間続けて、その後さらに自分なりに微調整していきました。そこで大変だったのは、自分が何のために続けているのかということを周りに理解してもらうことでした。我慢してるんじゃないんだ、と。例えば、このスイッチを押すとすごく明るくなるのがいいからこのスイッチを押すんであって、そのスイッチを押すにはすごく労力が必要かもしれないけど明るいのが好きだからやってるんだということを理解してもらうことが大変だったということです。もうひとつは、最初に言われた通りにやって効果が出た後に、そのルールを変えないなかで自分なりにカスタマイズしていくことが大事なんです。そのなかで自分の体と対話できるようになったことが大きかったですね。“よく噛む”とか“食べた後すぐに寝ない”ということで人間って変わるんだなあっていう。偏食してると性格が変わるような感じがあるんですよね。いつも我慢できるようなことが我慢できなかったりして。逆に、ちゃんと食事をしてるとそれまで耐えられなかったことが我慢できたりするし。

 だから最近思うのは、僕のやり方というのは、結果的には、子どもの頃からの食生活のなかで出来上がっていたバランスを1回すっかり崩してしまうことによって“オレのバランスって?”ということを問い直すことになったということです。それで、キビキビ動けるようになったけれども、故障も多いから、禁止事項はそのままにして、禁止されていないものの内容を変えていったらどうなるか?ということをずっとやってるんです。それでマクロビオティックに出会ったりしたわけですが。それから、まずは興味を持つことが大切ですが、それで人に言われてやっても続かないですよね。自分で“これなんだ!”と思わないと。そこで出た結果と向き合っていくということを繰り返していくっていうことが、いちばん自分にいい影響を与えてくれると思います。

「ぼんやり学会」Vol.7 食について に関して
北山さん、こんにちは。『ぼんやり学会』という素敵なネーミングに惹かれてこの連載を読み始めました。早速ですが、私は近頃耳にすることが多い「エコ」と「ヘルシー」の関係について興味があります。この2つのテーマの関係がもっと明確になれば、双方の原動力が良い意味で2倍になってより良い成果につながるのではと思っています。最も単純な例は、農薬を使わない野菜を育てることは地球に優しく、その野菜を食べることが「ヘルシー」につながっていくというようなことです。女性としても興味がある「ヘルシー」が環境問題にアクセスする近道になったらと思うのですが、いざ考えてみるとあまりイメージが浮かんできません。その両方に精通する北山さんのご意見をぜひお聞きしてみたいです。
20代・女性

 「エコ」と「ヘルシー」というのは、同じものを別の場所から見てるだけだと思うんです。この質問を寄せてくれた方が「イメージが浮かばない」というのもわかりますが、それは「エコ」にしても「ヘルシー」にしてもすごく大きなことだからで、むしろ「近道にしよう」とか「つなげよう」といったことは考えないで、“私にとってヘルシーってどういうことだろう?”とか“私にとってのエコとは?”ということをそれぞれに突き詰めていけば、じつはそれは同じ山の中腹で場所が違うだけだというふうに見えてくると思います。
「ヘルシー」は個々に関することで「エコ」はネットワークに関すること、というふうにも言い換えることもできると思うんですが、あるネットワークに属する人がどんどんヘルシーになっていくとそのネットワーク全体がいわゆるエコになっていくというようなことなんじゃないでしょうか。

 エコって何なのかと考えれば、究極的には人類がなるべく我慢しないでこれまでのように発展していくにはどうすればいいか考えるということだと思うんです。そういうことを考えずにこのまま突っ走ると地球がそれを受け止められなくなって人類が破滅するしかないということがわかってきたんで、みんな焦ってるわけですよね。そういう意味では、一人ひとりがヘルシーな方向に向かうことが人類が持続的に繁栄していくことにつながっていく流れが生まれることにもなりますよね。具体的にはやり方はいろいろあると思います。食べるものに気をつけて、“誰が作ってるのかわかってるものを食べよう”あるいは“自分で作ろう”とか。結局、「ヘルシー」ということを考えると農業に向かわざるを得ない。んじゃないでしょうか。うん、とても楽しい思考の方角ですね

 次回も、さらに質問に答えていきます。どうぞ、お楽しみに。


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