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Vol.25 音力発電の未来的発想に注目!!

  • 2009年6月18日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 今回も見学の話です。先日、母校(SFC)にある音力発電(その概要は、http://www.soundpower.co.jp/whats/whats1.htmlで確認してください)の設備を見学してきました。実際に振動発電のパネルを踏んで、LEDを点けるということもやってきました(笑)。50センチ×50センチくらいの大きさのパネルなんですが、軽くポンと踏むだけで200個くらいのLEDをパッと点くんです。けっこう衝撃的でした。

 僕が話を聞いた研究グループの試算によると、現状でそのパネルを首都高全部に敷くと東京23区の家庭の40%の電力をまかなえるということです。首都高を車が走るというのは人間の人間による活動で、しかも人間が何かエネルギーを生み出そうと意識してやっているわけではありません。こういうことをエネルギー化するという発想は、プリウス等の回生ブレーキと同じですが、“それって、すごく文化的だな”と、僕は思ったんです。文明だなって。しかも、これまでの文明の限界を乗り越えることができるな、と。
いままでの大きな文明は、基本的にはどれも自然破壊の歴史だったと思います。自然エネルギーによる発電方法と言っても、例えば風力発電で、すごく風が吹いている谷や海岸に風力発電設備を並べるという一般的なケースではその風をすごく効率良く受け止めてしまうと、発電設備の後ろ側には風が吹かなくなって、つまりは自然環境が変わってしまうことになります。水力発電の場合には、ダムを造ることによる自然環境への悪影響がかねてから指摘されています。そういうなかで、この音力発電は初めて洗練された形が考え出されたと言えるんじゃないでしょうか。もちろん、充電する容量の問題とか性能の問題、そのユニット自体の耐久性などなど、改良しなければいけない点はたくさんあると思います。それでも、この音力発電が他の発電方法と一線を画しているのは、化石燃料やその他自然の恵みだけでなく人間の日常生活がその源になり得る、ということです。人間が意識しないで放出しているエネルギーが日常生活のなかにたくさんあって、それを回収して利用しようということですから、そういう音力発電的な考え方がもうちょっと普及してもいいのかなと、僕は思います。

 その研究グループがもうすぐ実用化できそうだとしているもののなかで、僕がいちばんいいなと思っているのは電池のいらないリモコンです。ボタンを押すというエネルギーを、赤外線を飛ばすというエネルギーとして使う、という仕組みです。こういう仕組みが広がっていくと、エネルギーの使い方もどんどん変わっていくだろうと思うんです。いままではいっぱい貯めた電力をドバーッと流して使うという形だったわけですが、このリモコンみたいにどこにも電力が貯まっていないけれど、ずっと使えるということに変わっていく。つまり、貯まったエネルギーで何をするかという発想ではなくて、その時々で生み出したエネルギーで何ができるかという考え方に変わっていくということです。すごく未来的ですよね。人間の基本的なライフ・スタイルすら変えてしまうくらいの圧倒的な変革です。

 テクノロジーの進化に従って生活が変わっていく現代においては、電気エネルギーを基本にしていろいろなことが考えられますから、そのエネルギー・ソースをどうするのかというのは重要な命題ですよね。充電の技術や発電の技術というのはこれからますます注目されていくでしょう。で、その最高に進化した形というのは、人間が生きているということがエネルギー源になる、という状態だと僕は思ってるんです。実際、人間の体の中の電位差みたいなものを利用して、燃料電池的な構造を造ることができる酵素みたいなものがあるそうで、そういうものを使えば、例えばペースメーカーなどの電源はその人自身になって、その人が生きている限りペースメーカーも作動し続ける、というような形が可能になっていくわけです。「あいつ、いっぱい電気出すよな」みたいに言われる人が出てくることにもなるんじゃないでしょうか(笑)。

 最後は、やっぱり得意の妄想的色合いの濃い話になりましたが、次回はみなさんから寄せられた質問に答えていきます。どうぞ、お楽しみに。

【音力発電関連リンク】
J-POWER エコ×エネ・カフェ第2回

 

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