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Vol.149 「電力の小売り自由化」というニュースが気になっています。

  • 2014年6月26日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 最近の僕は、時間があると“農作業のある生活”について考えていると前回書きましたが、それは例えば“農業愛が日増しに高まっているから”というような心温まる(笑)理由ではありません。もちろん、“農業やりたいなあ”という素朴な思いがあるのは間違いないのですが、僕の気持ちを正確に表せば“そういうことをいまからしっかり考えておかないとヤバイでしょ”という感じです。端的に言って、僕はこの国の20年後、30年後の有り様についてあまり楽観的ではないので、そういうなかでなんとか自分が納得できる暮らしを維持していくためには、いろいろな意味で自立していることが必要条件になってくるだろうと考えています。そして、そういう暮らしを僕なりに具体的にイメージしていくと、自分の土地を耕して、自分が食べる作物を自分で育てているという環境に身を置いている人がいちばん強いんじゃないかと思うわけです。「絶対この時期までにこういう状態になるぞ!」みたいな固い決意と計画が今の時点であるわけではないのですが、でもかなり真剣です。

 同じ理由で、エネルギー自給が可能な住まいを確保するということもかなり切実な目標になってきています。だから、このところしばしばニュースになっている「電力小売り自由化」の話題はかなり気になっています。

 簡単に報道の内容を整理すると、これまでの法律では契約電力が50kw未満の電力、つまり一般の家庭や小規模な工場・店舗については、地域別に電力会社10社にしか小売りが認められていなかったわけですが、2016年からはその枠組みが自由化され、様々な事業者が参入して価格とサービスの両面で競争が始まる、ということです。例えば、「様々な事業者」のなかにはソフトバンクの孫社長もすでに名乗りをあげていて、だから「ソフトバンクの携帯に契約していると電気を安く買うことができる」というようなサービスが登場するのではないかといった予想も語られています。また、日本の各地にアメリカやフランスの大資本が出資した発電所の建築が進められていたりするようです。

ソーラー こうした情報を前にしていろんなことを思うわけですが、まずいちばん緩いというか、呑気な立場から言えば、面白くなりそうだなという感じはしますよね。だって、これまでは「電気」はとにかく「電気」であって、東日本と西日本で50/60Hzの違いはあったものの、基本的には全国どこでも同じ質の電気が同じように使えていたわけですが、これからは携帯電話サービスとセットになった電気もあれば、クルマや住宅とセットになった電気も出てくるでしょう。あるいは、Aさんは日本の企業が作った電気を使っているけれど、お隣のBさんは外国の企業が作った電気、外車ならぬ「外電」を使っている、なんていう状況も普通に生まれるんじゃないかと思います。あるいは、ウチは太陽光の電気を使っているけれど、お向かいの家は風から生まれた電気を使っているし、近所のマンションではいろんな由来の電気をミックスして使っていて、食べ物の成分表示のように、そのミックスの具合がマンションのエントランスに表示されている、といったシーンに出くわすなんてこともあるかもしれません。そして、電気がそういうふうにカラフルな選択の対象になれば、当然それぞれのファンというか、「オレは太陽光の電気が好きだ!」とか「アメリカの企業が届ける電気はここが凄い!」みたいなことを主張する人も出てくるでしょう。その光景は、とりあえずにぎやかで楽しいし、現実的にも経済を活性化させるでしょうから、その意味では決して悪い話ではないように思います。

 ただし、言うまでもなく、そうした光景は他人事ではなくて、僕もあなたもみんな電気を使う当事者であるわけですから、その選択に主体的に関わっていくべきなんだろうと思います。「自分は、みんなが選んでる人気の電気でいいですよ」というのもひとつの考え方だから、それはそれでいいのかもしれないですが、とりあえず僕はよく考えて選びたいなと思うわけです。

 さて、どういうふうに選びましょうか?そこで、最初の話に戻って、エネルギー自給に向けての展望とも関わってくるわけですが、この続きはまた次回。

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