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このコンテンツは、地球・人間環境フォーラム発行の「グローバルネット」と提携して情報をお送りしています。

第86回 日本古来の伝統漁法で漁業資源を守り、沿岸の環境を保全する

  • 2011年3月10日

特集/海と森の共生(その1) 日本古来の伝統漁法で漁業資源を守り、沿岸の環境を保全する 川や海を守り伝統を伝える会理事長、久二野村水産株式会社代表取締役 野村 譲さん

幾何学模様が美しい定置網の航空写真
幾何学模様が美しい定置網の航空写真
 函館市臼尻町(旧南茅部町)で父祖より6代にわたり伝統漁業と海産加工を続けています。1960年から、伝統的な大謀網という定置網による漁業に取り組み、安定的漁獲を得るための改良法は、環境に負荷を与えないものを選んできました。例えば、無線遠隔操縦による魚群探知機の導入、フィッシュポンプ(網にかかった魚を真空ポンプなどで吸い上げる装置)を搭載した定置船の採用、10年以上継続設置できる定置網の改良などです。

 また、30年以上にわたり、大学への技術・研究協力の一環として、定置網に混獲されるアカウミガメ、ネズミイルカなどを提供してきました。そうでないカメは、甲羅の苔を落としてやってお神酒を飲ませ、「これからも大漁をさせてくれよ」と海に放します。イルカについては、和歌山県太地町のイルカ漁を映した米国の「ザ・コーヴ」というドキュメンタリー映画が話題になりましたが、同じ漁業者として胸がつまる思いがしました。地域によってクジラやイルカに対する考え方は違うので、一方的に批判することはできないと思うのです。

 漁業に従事するかたわら、私はNPO法人川や海を守り伝統を伝える会の理事長をしています。設立したのは2002年で、現在の会員は12名。活動目的は、海洋自然環境と共生する、伝統的な大謀定置網漁法を次世代に伝承するため、社会資本の整備と環境生態系の学習、生命の永続的循環型連鎖を実現させる新たな生活行動の創造と実践を通じて、持続可能な交流・連携社会の形成に寄与することです。そのため、地元の漁民を対象に、年に数回シンポジウムを開催しています。


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