核融合実現へ向けて。米・レーザー核融合施設、生成できるエネルギー量の記録を更新

  • 2025年5月24日
  • Gizmodo Japan

核融合実現へ向けて。米・レーザー核融合施設、生成できるエネルギー量の記録を更新
Image: JHVEPhoto / Shutterstock

二酸化炭素を排出しない新しいエネルギーとして期待されている核融合エネルギー。実現に向けて日々、研究が進んでいます。

核融合がいま注目される理由

核融合とは、原子核が合体すること。2つ以上の軽い原子核同士が結合し、より重い原子核に変わります。このときに大量のエネルギーを放出することから、人類は何十年にもわたってこの反応を人工的に再現し、エネルギーを得ようと研究を進めてきました。

核融合は自然界で発生し、宇宙のエネルギー源となっている反応ですが、地球上では自然には起こりません。太陽がギラギラと輝くのはこの核融合反応によるものです。

核融合反応を促進することは容易ではないですが、世界で脱炭素の流れが加速するなかで、クリーンなエネルギー源としても注目が集まっています。

レーザー核融合実験で点火に成功

そんななか、アメリカのローレンス・リバモア国立研究所は、国立点火施設(NIF)を使ってレーザー核融合実験を行ない、投入したエネルギー量を2倍も上回る出力が得られる「核融合点火」に成功しました。

NIFは2009年から運用されている実験施設です。核融合そのものは目新しいものではありませんが、2022年、NIFが核融合を発生させるため、燃料に投入したエネルギーよりも多くのエネルギーを世界で初めて生成することに成功。この出来事は、核融合における大きなブレイクスルーとなりました。

TechCrunchによると、NIFは最近の実験で核融合による出力を5.2メガジュール(1メガジュール=238.889キロカロリー)、さらには8.6メガジュールにまで高め、2022年の歴史的な成果を大きく上回るエネルギー放出を達成したといいます。

核融合炉のしくみ

核融合炉を実現する方法はいくつかあります。フランスの国際プロジェクト「ITER」では、磁力を利用して核融合を発生させる方法を採用しています。一方、NIFで行なわれているのは「慣性閉じ込め核融合」と呼ばれる手法で、高出力のレーザーを利用するものです。

NIFでは、凍らせた核融合の燃料が詰まった数ミリサイズのカプセルに対して、周囲に設置した192本の強力レーザー光線を照射。試料が詰まっているカプセル内が超高温・高圧になることで、燃料が内側に一気に圧縮され「星のような爆発」が起こり、核融合反応を引き起こします。

専門家たちは慣性閉じ込め方式が実用的なエネルギー源となるには依然として大きな課題があると見ています。そのため、磁場でプラズマを閉じ込める「磁気閉じ込め方式」によるアプローチを追求している研究チームもいます。

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