ジッパーがロボットみたい。
ジャケットやズボンの「社会の窓」を開閉するジッパー、チャックやファスナーなどとも呼ばれますが、とても身近な存在ですよね。
業務用のテントや工事現場などで大きな防水布をくっつけるのにも使われるようで、見えないところでも役立っています。ただ、人の手が届かない場所でジッパーを上げ下げするのは大変ですし、安全ではない状況もありえます。
YKKと太陽工業株式会社が開発中の「自走式ファスナー」は、有線式のコントローラーで操作するファスナー。作業員はその場から動かず、巨大な布地を繋いだり離したりが可能です。
こちらのデモでは、高さ5mの布地なら約40秒で接合できます。
アーチ状のエアーテント2張りをくっつけるのも、奥行き4mの外面をグルっと回って約50秒で作業完了です。
左右の凸と凸の間をネジ状の金具が回転することで進退するんですね。現状はまだ試作品ですが、いつかスマホで操作したり、太陽光発電で給電要らずになったりするかと思うと、伸び代が感じられます。
産業資材向けなので、個人レベルでは巨大なテントを設置することはないでしょう。おそらく万博レベルの屋外イベントや、球場や競技場の天井、避難所といった施設で使われるかと思います。
Image: TAIYO KOGYO CORPORATION普段なら指で摘んで上げ下げするジッパー、目の前で勝手に開閉したら不思議な気分になりそうです。
誰もがふと疑問に思うであろう、「ファスナー」と「チャック」と「ジッパー」の違い。YKKの説明いわく、1891年に米国で考案されたのがファスナーの起源とのこと。1921年に米国のメーカーが閉める時の「シューッ」という擬音の「Zip」からジッパーと名付けました。日本では1927年に尾道で巾着(きんちゃく)からの着想でファスナーを「チャック印」にしたから「チャック」になったそうな。実は呼び名が違うだけで、どれも同じなんですって。
また中国では「ラーリェン」、フランスは「フェルメチュール・ア・グリシェール」、中米諸国は稲妻という意味の「シェレス・レランパゴス」とのこと。憶えていたら、いつか旅先で使うかもしれません。
Source: YouTube, YKK (1, 2) , TAIYO KOGYO CORPORATION via HACKADAY, The Verge
書籍(Kindle版もあります)