ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、宇宙にあるものをなんでも映し出す鏡みたいな存在ですね。
遠く離れた宇宙で発見されたとてつもなく大きい銀河が、現在もどんどん成長しているかもしれない、ということが明らかになりました。
「車輪銀河(Big Wheel)」と名付けられたこの銀河は、オレンジ色に輝くディスク状の銀河で、宇宙が誕生してから20億年以内に生まれたものとされています。
宇宙が誕生してから140億年であることを考えると、この「車輪銀河」はかなりの古株かもしれません。
2025年3月17日、Nature Astronomy誌に掲載された研究結果によれば、今回発見された「車輪銀河」が同時代に存在が確認されたどの円盤銀河よりも大きく、しかも大きさや質量においては、現在の宇宙で見られる最大級の円盤銀河と近いサイズであるとのこと。
また、この「車輪銀河」がある環境について、このように伝えられています。
多波長分析によって、この銀河が銀河の密集した環境に存在していることがわかっています。
周囲には宇宙の平均の10倍以上もの銀河がひしめき合っているため、銀河同士の衝突が頻繁に起きている環境でもあります。
この環境に存在していることによって、銀河同士が合体し、銀河自体の成長に影響を与えている可能性があるようです。
現在の宇宙で最大級のサイズにもかかわらず、今回この「車輪銀河」を見つけられたのはたまたまだった様子。
豪・スワンバン大学のJWSTオーストラリアデータセンターで研究主幹を務めるThemiya Nanayakkara氏は、「現在の銀河形成モデルでは、我々の調査でこの銀河を発見できる確率は2%未満でした」と語っています。
実際この「車輪銀河」がどれくらい大きいかというと、直径で約30キロパーセク、9万8000光年近い大きさだと言われています。
地球から見える天の川が直径約10万光年なので、ほぼ同じサイズ。この「車輪銀河」が地球に近ければ、肉眼で確認できたかもしれません。
また今回の研究結果では、この銀河が存在している環境自体が原始銀河団(大きな銀河団に成長する前段階の銀河団)である可能性も示されています。
つまり、今回発見された「車輪銀河」がある銀河団自体が、まだまだ成長の途上にある銀河団である可能性もあるということです。
将来的に、現在の宇宙に存在する最大級の銀河団のひとつになるかもしれません。
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