空の救急車としても活躍。
人を乗せて飛ぶeVTOL(電動垂直離着陸機)は、プロペラが回るドローンの巨大版みたいなイメージ。ヘリコプターと違い、多くは小型・中型のプロペラが4〜8枚あります。
でもスイーっと前進するには翼で揚力を生み、滑空したほうが効率的。プロペラ全てがずっと回っていたら電気がもったいですよね。
カナダのHorizon Aircraftが作る「Cavorite X7」は、翼とファン(プロペラやローターではなく)を持つハイブリッドなもの。翼の中に14個のファンが格納された、独自の「ファン・イン・ウィング」システムは特許を取っているのだとか。
垂直離着陸はファンで行い、滑空は翼+後ろにあるガスタービン・エンジン駆動のプロペラで行えば効率的。ハイブリッドカーがスタート時と走行時でエンジンとモーターを切り替えるのと同じ感じで、燃料の使い方もハイブリッド。効率と実用性のバランスが絶妙です。
予想ですが、ファン格納時は風の抵抗を受けないでしょうし、翼の中はファンの機構で剛性が出ると考えると一石二鳥かなと。よく考えていますね。
最高時速は450kmで、フル充電で飛ぶ距離は800kmと他社製品を大きく超えます。これから目視と航空計器で飛ぶ「計器飛行方式」と、目視で位置を判断する飛行をする「有視界飛行方式」の2種類の認証を得る予定で、それが適うとこのタイプの航空機で初の快挙になるそうな。
また乗員は、操縦士ひとりと乗客6人を運ぶ設計ですが、富裕層の移動手段だけにあらず。航続距離が長いので、医療機器の運搬や重症者の移送、被災地の救助、捜索、騒音が少ないので防衛のための偵察なども見据えて、内装を変えることができるようになります。
Image: Horizon Aircraft実際にカナダで出産時にヘリで別の病院に移送された友人がいるので、シーンが想像できます。国土が広かったり僻地でアクシデントが起こると、こういう移送手段が頼りになりまね。
ちなみに「Cavorite X7」の名は、英国H・G・ウェルズの小説『月世界最初の人間(1901年)』に登場する、重力を遮断する物質「ケイヴァーリット」から。映画化された『H・G・ウェルズの月世界探検』をご存知の方もおられるかも?
Source: YouTube, Horizon Aircraft via INTERESTING ENGINEERING
Reference: Wikipedia (1, 2, 3)