憎らしいほどコンパクト。スタイリッシュで高音質。
近頃じわじわ注目を集めるフランス発の音楽ガジェットブランド「OTO Machines」。エフェクターの名機「BISCUIT」「BOUM」など、プロから高評価を得ている老舗の一番新しい機種が、このキュートでハイエンドな6chのステレオ・アナログ・ミキサー「Bébé Chérie(ベベ・シェリ)」です。
SNSでも「音がいい」と話題で、実際に触ってみたら期待以上の憎らしさでした。
まずは見た目のインパクト。鮮やかなピンクのミキサーは、重厚な機材が多い業界ではほぼ皆無。
ステージでも映えるし、ライブ動画をSNSにアップすれば必ず「それ何?」と突っ込まれる存在感です。フランスらしい独特なデザインが持ち運ぶだけでテンションを上げてくれます。
もちろん、このミキサーは見た目だけではありません。音質面は“さすがOTO Machines”と言うしかない本格派です。
Bébé Chérie最大の特徴は、入力・出力をすべて3.5mmミニジャック(ピンジャック)で統一したこと。
ステレオ→モノ入力の切り替えが可能。印字が上からのぞくことを考えて上下逆になっているのもユニーク。 3.5mmステレオミニジャック、モノジャックの両方に対応。アダプターをつければ、6.3mmやRCA端子にも対応可能。ギターや大型シンセでは6.3mmジャックが一般的ですが、小型シンセやスマートフォンなど、最近増えたガジェット系楽器を直感的に繋ぐための潔い割り切り設計です。変換アダプターを使えば汎用性も十分で、小型楽器を直差しできる手軽さが魅力ですね。
実際使ってみると、インスタやTikTokのライブ配信や動画でのプレゼンテーションにぴったり。
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4チャンネル+2チャンネルの計6チャンネル構成は、小型ガジェットだけでセッションするには十分。OTO Machines独自のエフェクト技術が随所に生かされており、高品質なパーツ(オペアンプ、VCA、フィルムコンデンサ)を採用しているため、コンパクトな外観に反して音はクリアかつパワフル。
小型機への先入観をいい意味で裏切ります。
筆者が試しにカセットテープDJイベントで使ったところ、予想以上に音が太く、低音もパワフルで好評でした。
サンプラー(CHOMPI Sampler)や大江戸テクニカくんお手製のカセットテープDJプレイヤーとも相性抜群。アンブレラカンパニーさん( @gizmomusicjapan )のご厚意でOTO MachinesのBébé Chérie(ピンク色のミキサー)をレンタル導入させて頂きました。クラブで音出ししてもめっちゃぶっとい音で良かったっす。フランス産らしい、合理的な設計思想と、高品質な部品に反したお値段!… https://t.co/oLqZh0WuE8
— ギズモード・ジャパン(公式)@ 新刊『ギズモード・ジャパンのテック教室』2/4発売 (@gizmodojapan) February 26, 2025 ワンノブコンプレッサーマスターには3:1比率のコンプレッサーを搭載。アタックが早くDJ用途にも違和感なし。ひとつのノブで手軽に調整可能。
Blissエンハンサー高周波を補正し、強めのコンプレッション後でも空気感とパンチを回復。メイン出力の音質調整に便利。
キューイング(ヘッドホンモニター)の工夫一般的なキュー機能はありませんが、「チャンネルをミュートすると代替出力(Alt Out)に信号が流れる」機能を応用すれば実質的にヘッドホンモニターが可能。多少の慣れは必要ですが、“フランス的”な遊び心が感じられます。
国内実勢価格は139,000円(税込・2025年3月現在)。コンパクト系ミキサーとしては確かに高額ですが、高級ロータリーミキサーと比較すると手頃で、このサイズで“プロ機並み”の音質を実現している点が衝撃的。音質を妥協することが多い小型機材の中、ここまで突き詰めてくれたのはありがたい限りです。
スペックを見ると各チャンネルの仕様が微妙に異なり、一見複雑に感じます。実際は「4チャンネルが可変ゲイン+ティルトEQ、後の2チャンネルが2バンドEQ+切替ゲイン」など、細かな設計に気づくはず。このフランス的な遊び心が、使い込むほどに魅力になります。
さらにピークメーターがよくあるLED表示とはまったく違います(こちらは実際に触ってみてのお楽しみとします)。これは、自分が普段使いしているフランス車のクセのある操作系に似ていて、「なぜここは簡素で、ここにはこだわる?」みたいな疑問を抱きつつも、慣れると手放せなくなるような使い勝手がどこか共通しています。「ずばり、Bébé Chérieの狙いはそこ(癖になる)にあるんじゃないか?」と疑いたくなるようなガジェットとしての「深み」と「楽しさ」が確実にあります。
ガジェット感覚で使える本格ミキサー。レトロかつパンチのある音を得意とするOTO Machinesのこだわりを、ぜひその耳で体感してください。ピンクのボディにハマったら、もう抜け出せません。
source : Bébé Chérie OTO Machines | 製品情報 , Bébé Chérie by OTO Machines
書籍(Kindle版もあります)