内に秘めたポテンシャルを解き放つ力、集中力。
集中することにより、仕事やスポーツでいつも以上の力が発揮できた経験のある方も多いと思います。欲しい。集中力が欲しい!
同じように考えているのがギズモード編集部員のマエノ。彼の最近の悩みは集中力が落ちていること。
「やらなきゃいけないことはたくさんあるんだけど、なんか集中できなくて一歩目が踏み出せないんだよなぁ。いったん動き出せばサクサクやれるんだけど」
そんなことを考えていたある日、マエノのもとに「集中力を高めるための良い方法がある」という情報が舞い込みます。その名も『Shu-Chew Beats(シュウチュウビーツ)』。
『Shu-Chew Beats』のWebサイトと公式YouTubeにはテンポの異なる「ガム専用BGM」とムービーが用意されていて、それを視聴しながらBGMのテンポに合わせてガムを噛むことで「脳の準備運動」を行ない、集中力が高められるとのこと。
「これはまさに僕が求めていたものじゃないか」。早速ガムを口に入れ試してみるマエノ。
「ガム専用BGM」は3種類用意されていて、ユーザーが求める状態に応じて選べるようになっています。
※BPM=Beats Per Minute。1分間のビートの数。
BPM140 / Extreme
エレクトロニックミュージックを手がけるDTMユニット、パソコン音楽クラブによる、ちょっと早めのテクノという感じのトラック。「処理速度向上。スピードを上げてサクサクと作業を進めたいときの集中にオススメ」とのこと。
うん、確かに。いつの間にか作業モードに入って、どんどん作業をこなせそう
BPM120 / Hyper
日本を代表するDJ/プロデューサー、大沢伸一氏によるディープなハウストラック。「作業効率向上。作業のパフォーマンスを高めたいときの集中にオススメ」とのこと。
なるほどなるほど、このミニマルな感じに乗せられて黙々と作業ができそうだ
BPM66 / Chill
クラシック/現代音楽をベースに、音楽とアートを横断する活動を展開している網守将平氏によるチルなトラック。「正確性向上。複雑な作業をじっくり正確にこなしたいときの集中にオススメ」とのこと。
本当にそんな感じ。資料を読み込む前とかに聴きたい
『Shu-Chew Beats』を一通り体験して効果を感じたマエノ。
「今までなんとなくガムを噛みながら仕事をしたり、音楽を聴きながら仕事をしたりしていたことはあったけど、その2つを同時に行なうことで、よりいい感じで集中状態に入っていける気がするな」
「ガム」と「音楽」、そして「集中」。これらには相乗効果を生み出す関係がありそう。がぜん興味が沸いたマエノは、『Shu-Chew Beats』を監修した立命館大学の枝川義邦教授にインタビューしてみることにしました。
枝川義邦教授。学生時代から脳を研究し、現在は「人を中心とした経営システム」と題し、脳の働きと経営に関するヒューマンリソース、マーケティング、起業などの研究を行なっている。── まず『Shu-Chew Beats』のプロジェクトに参加されることになったいきさつから教えていただけますか?
枝川義邦教授(以下、枝川):最近は、研究テーマとして「労働生産性」を取り上げることが多く、働いているときのパフォーマンスと集中との関連については興味があります。加えて、私はもともと医療系の研究室にいたこともあり、顎の動きと脳の活性化についての興味も持っていました。そこへ今回のお話をいただき、ガムを噛むことと集中の関係、さらにそこへ音楽も掛け算されたらどんな効果が生まれるのだろうと興味を引かれ参加させていただきました。論文をベースとした研究では何かと何かの掛け算という進め方がなかなか難しいので、こういった企画だからこそ見えてくる相乗効果があるといいなと考えています。
── 「ガム」「音楽」「集中」にはどんな関係があると考えられますか?
枝川:ガムを噛むこと、あるいは音楽を聴くときの楽曲がもつテンポのいくつかのものには、それぞれ集中を高める効果があることが研究により知られています。相乗効果については、まさにこれから皆さんが体験することによって分かってくるのだと思いますが、どちらか一方では、集中が途切れることもあり、そのタイミングを補う効果は期待できるので、より集中が維持しやすいのだと考えられます。
Image: Shutterstock── 脳の中ではどんなことが起こるのでしょうか?
枝川:ガムを噛むことで顎の物理的な動きが脳に伝えられます。同時に味を感じる。音楽が耳から入ってくる。映像が目から入ってくる。五感の違う入り口から入ってきた刺激が互いに影響し合うことはあると思います。脳の中では共感覚というものが生まれることがあります。例えば、音楽を聴いたときに色が見えるような感覚になるとか、ビールの映像を見たときにシュワシュワという泡の音が聞こえるような気がするといったものなのですが、これは脳の中で五感の情報が組み合わさっている感覚なのです。そう考えると、まだこれは仮説レベルですが、違う入り口から入ってきた刺激が相乗効果を生み出す可能性はあるかもしれません。
── なるほど、これは相乗効果の存在に期待大です。ところで『Shu-Chew Beats』ではテンポの違う3つのBGMが用意されているのですが、それぞれのテンポが脳にどう影響を与えるのかを教えていただけますか?
枝川:それぞれ研究結果があります。
・BPM140は、集中力を要する認知課題において反応時間の短縮が見られました。また、パソコン入力におけるタイプミスが最小となることが示されています。つまり情報処理の速度が高まるテンポと言えます。
・BPM120は、記憶パフォーマンスの向上が見られます。また時間を推定する精度を向上させることも知られています。これらから、脳を集中しやすい状態にして、パフォーマンスを高めることが期待されるテンポで言えます。
・BPM66では、言語処理における正確性が向上していますので、じっくりと正確に作業をこなすときに活用できるテンポだと考えられます。
── ありがとうございます。最後に、枝川先生なら『Shu-Chew Beats』を、どんなシーンで使いますか?
枝川:こうしたエビデンスもありますし、自分の体験としてもビートやメロディが集中に影響を与えることは実感していますので、場面に応じて積極的に活用したいですね。作業を始める前にBPM140でモチベーションを上げて、いいスタートを切れたところで、じっくりと考えながらの作業に移るときにはBPM66に切り替えるとか。BGMを聴いていないときに疲れを感じたら気分転換に聴くことでリフレッシュもできそうです。高い集中が得られたという成功体験があると、そのときのBGMを聴いただけで気分が高まり、モチベーションも高まる効果が期待できます。私たちは、何かの作業を始めるときが一番苦労するものなので、作業を始める前に聴くことでスムーズに仕事や勉強を始めることができるのではないでしょうか。
枝川先生の話を聞き、科学的見地から「ガム」と「音楽」と「集中」の関係が理解できたマエノ。『Shu-Chew Beats』という強い味方を得て、溜まりまくったタスクを片っ端から片付ける準備は整いました。
いま集中力不足に悩んでいる人はガムを用意してぜひ体験を。特に、作業の一歩目がなかなか出ない人! いい感じで脳の準備運動になるかもしれません。
Source: Shu-Chew Beats