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JSTが共同発表 オークションで太陽光発電を有効活用

  • 2019年7月29日
  • エネクトニュース
太陽光発電有効活用のための電気自動車充電管理手法
2019年7月24日、早稲田大学、東京大学、科学技術振興機構(JST)は、「太陽光発電有効活用のための電気自動車充電管理手法を開発~保有者にとって公平で無理のない充電時間シフトをオークションで実現~」という電気自動車を用いたエネルギーマネジメント手法の開発について共同発表を行った。

同研究は米国電気電子学会誌「IEEE Transactions on Sustainable Energy」オンライン版に掲載された。

タイトルは“Electric Vehicle Charging Management Using Auction Mechanism for Reducing PV Curtailment in Distribution Systems”、著者は喜久里浩之氏、藤本悠氏、花田真一氏、五十川大也氏、芳澤信哉氏、大橋弘氏、林泰弘氏の7名だ。

懸念される電力逆潮流
同研究は太陽光発電が大量に接続されている配電系統を前提にした研究で、電力の供給を受けて使用する需要家のエネルギー資源を活用するエネルギーマネジメント手法を深く検討したものだ。

想定された電力と逆向きの電力の流れを指す「電力逆潮流」による電圧等の電力品質低下が懸念されている現在、電気自動車充電時間帯を誘導することで、配電系統に大量接続された太陽光発電の出力抑制を限界まで回避することを目的としている。

太陽光発電設備の急増
太陽光発電は、電力自由化の際、固定価格買取制度によって家庭用太陽光発電設備の導入が急増した経緯がある。さらに、東日本大震災を経験したことで、非常用電源としての需要も増えた。

2019年から固定価格買取制度が順次満了を迎えることで、余剰電力の売却価格が大幅に下がる。そのため、電力の自家消費が増加するとみられており、蓄電池や電気自動車への関心も高まる傾向にある。

その一方で、今後もさらなる普及が予想されている電気自動車の半数以上が、昼間は使用されることなく住宅に駐車されている。

セカンドプライス・シールドビッド・オークション方式
同研究グループは、太陽光発電の出力制御量の削減を目指し、需要家の電気自動車充電機会をオークション形式でマネジメントする新手法を開発した。

同手法では、需要家の利益を守り、各需要家が自主的に意思決定し、エネルギーマネジメントの貢献度相応分が配分されるという3つの条件を満たした上で、需要家の太陽光発電出力抑制量と電力コストの低減が叶う。

各入札者が売り手にのみ入札額を提示する「セカンドプライス・シールドビッド・オークション方式」を用い、指定される時間帯に電気自動車の充電を行うことを約束した上で、自宅の太陽光発電出力抑制量削減の価値を検討、入札額を決定し落札する仕組みだ。

報酬はアグリゲータが配分
落札した需要家は、対象時間に電気自動車を充電することで、アグリゲータ(複数の需要家の電力需要管理者)を介して分配された報酬を受け取ることになる。

同研究は、様々なエネルギー機器の運用への応用も期待されており、包括的なエネルギーマネジメントの開発を今後も進めていく予定だ。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

科学技術振興機構
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20190724/index.html

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