PV値も従来品比約30%低減し耐摩耗特性も向上
世界有数のベアリングメーカーNTN株式会社は、耐摩耗特性の向上の為にPV値を約30%低減し、従来品と比べ軸受の計算寿命を約2.5倍とした、風力発電装置主軸用「左右列非対称自動調心ころ軸受」を開発したことを発表した。
リア列に負荷をかける「ラジアル荷重」と「アキシアル荷重」
風力発電装置に欠かせない主軸用軸受には、高負荷容量で、取付誤差に対する許容能力に優れる「自動調心ころ軸受」が多く用いられている。
その軸受には「ラジアル荷重」(軸に対しロータやブレードなどの重量が、垂直方向に作用)と同時に「アキシアル荷重」(軸に対し風荷重が水平一方向に作用)がかかる為、ブレードに近いフロント列と比較し、ブレードから遠いリア列にはより大きな荷重が発生する。
また自動調心ころ軸受には特有の、転がり滑りと潤滑不足による軌道面と“ころ”による金属接触で、軌道面の摩耗が進行。特にリア列の外輪では、はく離や割れが起こるようになる。
風力発電装置のコンパクト化と軽量化に貢献
同社が今回開発した「左右列非対称自動調心ころ軸受」では設計を見直し、軸受内部の“ころ”を左右列で非対称とすることで、これらの問題を軽減し寿命と耐摩耗特性を向上させることに成功している。
また同製品は、従来品と同じ主要寸法で設計可能なことから、従来品と同じ寿命で設計が可能な場合、従来品より内径を約10%、質量を約30%削減することが可能で、風力発電装置のコンパクト化と軽量化を実現出来るメリットを持つ。
なおNTN社では、中国北京で10月17日から19日にかけて開催される「China Wind Power 2017」への出展を予定しており、風力発電装置のメーカーや発電事業者に、同製品を提案していくとしている。
(画像はプレスリリースより)
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日経プレスリリース NTN株式会社
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