「縮毛矯正の上位互換?」「“髪質改善”とバズっているけど…」大ブーム中の「酸性ストレート」、現役美容師が教える“4つの注意点”とは

  • 2025年4月5日
  • CREA WEB

最近よく聞く「酸性ストレート」ってなに?


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 SNSで「艶髪ストレートヘア」といった文言や画像、動画と共に、一気に注目度が高まっている「酸性ストレート」。

 近年のストレートスタイルのトレンドもあり、美容室でも群を抜いて需要が伸びています。また「髪質改善」などといった言葉と紐付けて宣伝されているために、興味を抱いている方も多いのではないでしょうか。

 今回は「酸性ストレート」の特徴と、お客さまが注意すべき点について、お話しします。

特徴は、とにかくダメージレスなこと

 酸性ストレートの最大の特徴は、従来の縮毛矯正よりダメージを抑えられることです。縮毛矯正に比べ考えられないほどに負担が少ないため、それを体感してリピーターになる方も増えています。その上、仕上がりが柔らかい質感のストレートヘアになり、手触りもよく、艶々になる効果もあります。つまり、様々な点でアップデートされた「縮毛矯正の上位互換」だといっても過言ではありません。

「酸性〜」という名前は、従来の薬剤が「アルカリ性」を踏まえたものです。難しい理論は割愛しますが、この薬剤は、髪のpHの領域にアプローチしてストレートを実現します。

 誤解を恐れずに言うと、薬剤を効かせる場所がカラーやパーマなどによってダメージが加わる部分とは異なるため、負担が小さくて済むのです。すでにダメージを負った髪にも使用しやすく、ブリーチ毛にも施術ができるほど低刺激です。

 従来の縮毛矯正は髪への負担が大きいため、髪が硬い手触りになりやすい、というデメリットがあります。「施術後、手触りがゴワゴワする」と感じていた方も多いはずです。硬い質感に仕上がるために、毛先がツンツンと針金のような見た目になりやすいのも特徴でした。施術する美容師にとっても、髪への負担が大きいことはセンシティブな問題ですから、従来の縮毛矯正の薬剤を使う場合は、繊細な扱いが必要でした。

 一方で、酸性ストレートの場合は薬剤の安全性も高く、大きな事故に繋がりにくいことも特徴です。

お客さまが気をつけるべき、4つのポイント


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「髪質改善」といったパワーワードと共にまるで魔法の薬であるかのように広まっていますが、いくつか留意点もあります。

 お客さまが気をつけるべきポイントは、4つです。

①酸性ストレートは、トリートメントではない

 酸性ストレートについて、「トリートメント」と表現している美容室も散見されます。ですが、これはやや誇張が過ぎるかと思います。なぜなら、トリートメントのように髪を「補修」しているわけではないからです。 「まるでダメージを負っていないかのような手触り」にはなるものの、薬剤の影響で多少の負担はかかっています。万能薬ではないことはご理解いただきたいです。

 また「ブリーチ毛にも施術ができる」とお話ししましたが、正確には「1回だけブリーチを施した程度であれば」です。ハイトーンカラーにする場合にはブリーチを2回することもありますが、このようなダメージレベルの髪には施術をしても効果が見込めません。

 美容師の判断にもよりますが、「2回以上のブリーチ毛には効かない」と考えた方が良いでしょう。

②縮毛矯正よりもクセが伸びにくい

 酸性ストレートは縮毛矯正よりもウェーブが伸びにくい傾向にあります。特にうねりが強いタイプの髪には、クセをしっかり伸ばすことができません。気になるうねりを伸ばすことを優先したい髪には、縮毛矯正の方が効果的に働きます。

 伸びを促すための薬剤を添加する方法もありますが、その分負担がかかるため、美容師と相談しながら施術を受けることをおすすめします。

③リタッチができない→時間と料金がかかる

 縮毛矯正を繰り返されている方の多くは、「前髪ストレート」や「根元のリタッチ」など、伸びてきた根元部分にポイント使いして、部分的にリタッチしているはずです。

 酸性ストレートはこのような部分的な施術はせず、髪全体に施す必要があります。これは、酸性ストレートに一時的に髪が艶々になる効果があることに起因しています。一部にだけ施術すると、施術部分のみが艶々になり、ヘアスタイル全体を見たときに不自然な印象になってしまうのです。

 それ故にほとんどの美容室では、リタッチは実施せず、「髪全体に改めて施す」という施術方法をとっています。結果として、毎回料金(多くの美容室では2万円前後)と施術時間(180分以上)がかかるため、そのことを考慮する必要があります。

④美容師によって技術の個人差がある

 お客さまからすると、縮毛矯正と酸性ストレートの工程には、ほとんど違いがないように見えると思います。ですが、美容師は酸性ストレートの場合、新たに覚えた知識と技術を駆使して施術しているのです。そして、まだ新しい薬剤のため、美容師や美容室ごとに経験値の差があり、仕上がりも異なるのが現状です。

 これから普及していく段階でもあるため、酸性ストレートをまだ導入していないお店も多くあります。

今後の技術の成熟に期待

 酸性ストレートの技術は、全国の美容師さんの試行錯誤によってこれからブラッシュアップされていく段階にあります。ネガティブな部分にも多く言及しましたが、基本的には安全性が高いのでお気軽にご利用いただける施術です。

 今回お話しした留意点も、今後解消方法が見つかり、ますます手軽に利用できる技術になっていくことと思います。今後の技術の成熟を期待して待ちましょう。

文=操作イトウ
写真=Aflo

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