【新生活に必読!】フォロワー数126万人超の料理芸人・ロバート馬場裕之が教えてくれた「自炊」の楽しみ

  • 2025年4月4日
  • CREA WEB

馬場裕之さん。

 料理芸人として活躍するロバートの馬場ちゃんこと馬場裕之さん。YouTubeチャンネル「ばばっと!馬場ごはん」は、開設から約5年でフォロワー数は126万人を突破(2025年3月現在)、待望のレシピ本『ロバート馬場のばばっと作れて一生うまい! 馬場ごはんベストレシピ』(Gakken)も好評だ。最高990万回(同)の再生数を叩き出したレシピの魅力や人気の秘密をご本人のインタビューから探った。


最小限の手間で最大限のおいしさが叶うレシピ


「おいしく食べるための工夫は惜しまない」。

――今回のレシピ本の第一章では、特に再生数の多いレシピ10品が紹介されていますが、卵チャーハン、キャベツ焼き、焼きもやし、えのきのカリカリ焼き……と、ものすごくシンプルですね。

 YouTubeを始めて改めて思ったのは、忙しい日々の暮らしを支える料理って、料理の上手・下手に関わらず「最低限の食材・調味料でばばっと作れるおいしいもの」なんだということです。おいしいと言ってもレストランのような凝った味ではなく、どこか懐かしい味や親しみやすい味。繰り返し食べても飽きない味なんですよね。

――再生数No.1の「卵チャーハン」を作ってみましたが、まさに懐かしい、家庭ならではのおいしさでした。

 でしょう? 素材は卵とごはん、調味料は、塩、酒、白こしょうだけ。僕が10歳のときから作っている料理なので特別なテクニックはいらないし、鍋を振れなくてもパラッとした香ばしいチャーハンができる。そのシンプルさが評価されているのかなと思います。

――コメント欄にも「いままで作ったチャーハンのなかでいちばんおいしい」という声が多かったですね。卵は溶きほぐさず、まず目玉焼きを作って崩していくというやり方で、調理道具がフライパンと木べらだけというのも最高です。

 このチャーハンに限らず、食材、工程、調理道具も“なくてもおいしさが成立する”ものは、なるべく省くようにしています。それだけで料理のハードルがぐっと下がるし、余白のある料理だからこそ、「この調味料を足してみよう」とか「別の食材で試してみよう」みたいなアレンジもしやすくなると思うので。僕がそうしてきたように、自分の料理を見つける楽しさをぜひ体験して欲しいです。


失敗知らずのチャーハンをお試しあれ。

――キャベツの千切りなど、初心者がつまづきがちなポイントもフォローされているのがうれしかったです。

 各レシピにはYouTubeの動画にリンクするQRコードをつけているのですが、本だけでも分かるようにしています。調理の流れがわかりやすいのは動画ですが、じっくり自分のペースで読めるのが紙の本の良さですよね。

自分が食べたいものはまず自分で作ってみる


食べたいものは作る!

――小学生のときから料理をしていたということですが、最初から料理が好きだったのですか?

 料理は作るのも食べるのも好きでした。理科の実験のような感覚で「もっとおいしくできないかな?」と、いろいろ試すのが楽しかったし、親も自由にやらせてくれました。ピーマンをトースターで丸ごと焼いて、ヘタを取ったところから自家製のタバスコを入れて食べたり。

――自家製のタバスコ!?

 市販のタバスコのラベルを見たら「酢、唐辛子、塩」と書いてあったので、それを適当に混ぜただけの液体。そういうのが楽しかったんですよ。インスタント・ラーメンでも、片栗粉でスープにとろみをつけてカサ増ししたり、溶き卵を加えてあんかけ風、酢を加えてスーラータンメン風、レモンを絞ってタイ風、みたいにアレンジして。食事に対するスタンスは、あのころから変わりません。「自分が食べたいものは自分で作る」。

――探究心がすごい。そうしたアイデアは外食から?

 外食の場合もありましたが、さっきの例で言うと、ちょっと高いカップ麺の味を「サッポロ一番」などの袋麺と、台所にある材料を使って再現したものですね。子どもだったし特別グルメな家庭というわけでもなかったので、わざわざ珍しい素材を買うということはなくて。

 いわゆる“おふくろの味”を自分で作るようになったのは、大人になってから。実家のぬか漬けは山椒が入っているのが特徴でとてもおいしかったんですが、母はもう作らないというので作り方を教えてもらいました。そのぬかみそで青魚を煮る郷土料理「ぬか炊き」も懐かしい味です。


出張が多く、ぬか床は冷凍庫でお休み中。

――今も仕事以外で料理をする機会は多いんですか。

 やってますよ。自炊がいちばんストレスがないし、満足度も高いので。僕、好きなものは大量に食べたいタイプなんですが、お店だと「コイツ、砂肝ばっか食ってるな」とか思われるじゃないですか(笑)。自宅なら気兼ねなく好きなだけ、好きな味付けで食べられて、冷めてもまた温め直せる。お酒は飲んでもいいし、飲まなくてもいい。友だちがいてもいなくてもいい。

“正しさ”にこだわらず自由に料理を楽しむ


話を聞いているだけでおなかがすく。

――レシピを考えるうえで、ほかの料理系YouTubeや、料理本を見たりは?

 全然。そもそも動画を見たり本を読む習慣がないです。せいぜいTikTokみたいな短いのとか、リールをちらっと見るくらい。でもそれを参考にすることはほとんどないですね。

――では、料理のアイデアはどこから?

 外食や旅先で食べたものをヒントに作ることもありますが、YouTubeのレシピは、チームでアイデアを出し合いながら、ときには視聴者さんのコメントを取り入れながら決めています。定番の料理については、食材や味、食感の組み合わせってわりと決まっているので、それをどうアレンジするかじゃないですか。

――というと?

 例えばタルタルソースなら、普通はゆで卵を使うけど、結局つぶすんだから目玉焼きを使えばずっと簡単。ピクルスがなければたくあんでもいい。麻婆豆腐は、豆腐を厚揚げに、とろみは片栗粉でなく、なめこで代用すれば初心者でも失敗なくできる。

 ナムルは素材を塩とごま油で和えればそれっぽくなるから、豆腐でやってみたらどうだろう?――みたいな感じで考えていく。自分で食べるんだから、“正しさ”にこだわらなくていいんですよ。

 野菜の皮をむいたり、種を取ったり、加熱したりというのも、必須じゃないですよね。玉ねぎは根っこを落とさずに調理すればバラバラにならないし、ほうれん草も根本がおいしい。いやだったら食べるときに避ければいいしね。

 わざわざ手間をかけて取り除く必要がないものって、けっこうあると思います。結果的にフードロスの削減にもつながりますし、何よりおいしい。そんなことも、YouTubeでは伝えています。


飲食店のプロデュースも行っている。

――馬場さんくらいになると、料理で失敗することはないのでしょうか?

 ありますよ。千切りのさつまいもを麺に見立ててみようと思って揚げたら、ブワーッと鍋からあふれて大惨事になったり。自然薯の鍋を作ろうと、すりおろしを一度に全量入れたら、とろみが強力すぎて鍋全体がもったりしてしまったことも。Youtube動画はぶっつけ本番なので、失敗して取り直すこともあります。チャレンジに失敗はつきものだから、あまり気にしていませんけど。

――もしかして、味見もしないタイプでは……?

 まさに(笑)。盛り付ける直前にするかどうか、というくらいですね。ちなみに調味料はすべて目分量で、動画収録の際にはあとからスタッフの方に計量してもらっています。

 そういえば昨日、自分の店のイベントで、お客さんに僕がよく作るサラダを作って食べてもらったんですが、作って盛り付けて「どうぞ」って言ったあとで味見しましたから。大丈夫だと思ったけど、お客さんの手前、一応(笑)。

――まるで馬場さんのお家に遊びにいったような感じですね。

 普段の料理も、それくらいのユルさでやっています。絶対に失敗したくないなら計量、味見はやっぱり大事だと思いますが、失敗から学ぶのもありだし、料理の正解はひとつじゃない。僕のYouTubeやレシピ本が、もっと自由に料理を楽しむきっかけになれたら、本当にうれしいです。

馬場裕之(ばば・ひろゆき)

1979年生まれ。福岡県出身。1998年NSC東京校4期生。同年、ロバート結成。自他ともに認める料理好き芸人として知られ、さまざまなメディアで料理の腕前を披露している。2020年にYouTubeチャンネル「ばばっと!馬場ごはん」を開設し、週1でレシピを投稿。チャンネル登録者数は126万人超、総再生回数は1億1千万回超(2025年3月時点)と、料理芸人ではNo.1 の人気を誇る。
YouTube 馬場ごはん〈ロバート〉Baba's Kitchen

文=伊藤由起
写真=佐藤 亘

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