
緑に囲まれたおしゃれなウッドデッキの奥にお店を構える「BREAD IT BE(ブレッド イット ビー)」。地元では“ブレビ”の愛称で親しまれるベーカリーで、工房に設置した石臼で挽く新鮮な小麦とオーガニック小麦を組み合わせ自家製酵母で発酵させて焼くパンが評判です。
鶴岡八幡宮の参道・段葛から小径を進んだ先にお店を構える「BREAD IT BE」は、バケットなどのハード系の食事パンがメインの本格的なベーカリー。近隣のレストランから注文が入るほか、最近はこの界隈のホテルに泊まる観光客の間にもパンの美味しさが広がり、朝食をここでとるという旅のスタイルも増えています。
紺色のステンドグラスをはめた重厚な扉を開けて足を踏み入れると、風味豊かなパンの香りが漂い、店頭のカウンターにはこんがりと焼いたバケットや食パンなどが並びます。頭上の照明器具にはパンを焼く型やカヌレ型も溶接していて遊び心もいっぱい。
パンの特徴は工房にある大きな石臼で挽いた新鮮な小麦と、国産やオーガニックの小麦をブレンドした独自の生地を使うことです。それを自家製の酵母で18時間以上にわたってじっくりと発酵させて旨味を引き出して焼き、ハード系に見えても内側は驚くほどにモチモチとしています。
小麦粉のブレンドは、根っからのパン職人である店主の森田良太さんが試行錯誤を繰り返して最高の組み合わせを見つけていきます。30種類以上もある小麦粉の中から選んで配合したパンは、風味も格別ですよ。
看板商品の「BIBバケット」は、5種類の小麦粉とカンホアの塩、自家製酵母、水といったシンプルな素材だけで焼き上げます。じっくり時間をかけて発酵させた生地は水分をたくさん含み、外はカリカリとしていても内側はふわふわ。
さくっとした口当たりのクロワッサンは層にこだわっているのだそう。層が多すぎるとパンのようになってしまうため、バリバリとした食感を楽しめる工夫を随所にしています。
内側の生地にクリームを混ぜたカヌレは、やさしい食感。外の生地に仕込んだスパイスが噛めば噛むほど後から効いてきます。
購入したパンは店頭のテラスや、はなれにあるイートインスペースでカフェラテや紅茶などと楽しめます。とくに半日以上かけてゆっくり抽出した「水出しコーヒー」は、まろやかでフルーティーな味わい。端正に焼いたパンとの相性も抜群です。
季節の食材を使用したパンも登場します。取材で訪れた時は定番の「パン・オ・ノア」にカボチャやサツマイモといった秋の味覚を堪能する「秋味ブレッド」が並んでいました。
ひんやりとしたデザートが心を潤す時期には、乳製品を使わずにお店で手作りするジェラートやグラニテをラインナップ。果実感もしっかりと味わえますよ。古都にたたずむおしゃれなベーカリーで素材の美味しさをとことん楽しんでくださいね。