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時代を超えて愛される老舗カフェ「スマート珈琲店」を訪ねて京都寺町へ

  • 2023年7月13日
  • ことりっぷ


京都には、繁華街の河原町エリアを中心に古き良き時代の面影を残す喫茶店がいまも点在しています。老舗のアンティークショップや和文具店が軒を連ねる寺町の「スマート珈琲店」は、昭和初期の開業以来、時代を超えて親しまれてきた名喫茶です。落ち着いた空間で自家焙煎の珈琲や、ホットケーキ、プリン、フレンチトーストなど卵を使ったスイーツとともにくつろぎの時間が過ごせます。ランチタイムには2階で正統派洋食も楽しめますよ。
1932(昭和7)年、洋食店「スマートランチルーム」として創業。それから40年ほどの時を経て、自家焙煎珈琲を提供する喫茶店「スマート珈琲店」にリニューアルされました。木のあたたかみを感じる空間は、先代がミュンヘンオリンピックを機にヨーロッパ諸国を旅して立ち寄ったスイスの山小屋をイメージして作り上げたそうです。店名の「スマート」には、気の利いたサービスができる店でありたいという思いを込めており、現在は3代目の元木章さんが1階の喫茶を、兄の英二さんが2階の厨房を担っています。
店内はダークブラウンとホワイトを基調としていて、落ち着いた雰囲気。1階が喫茶専用のフロアとなっています。
珈琲は、コロンビア、エチオピアなど5種をブレンド。ほんの数秒で味に大きな差がでてしまうため、章さん自ら焙煎を行ない、日々豆と向き合っています。珈琲を抽出するときはネルドリップ式ですが、提供する前に5〜10分ほど寝かせておくのが店の流儀。「抽出したばかりの珈琲は、最初のひと口と最後のひと口で味が少しずつ変化していきますが、一定時間寝かせることで、最後のひと口まで均一な味わいになります」と話してくれました。
珈琲のおともには、タマゴサンドウィッチ、ヤサイサンドウィッチなど種類豊富なサンドウィッチもおすすめですが、看板娘として90歳までレジに立っていたという3代目のおばあさま直伝のレシピでつくるブリンやホットケーキ、フレンチトーストも人気です。「珈琲との相乗効果で、さらにおいしくなるように」、卵や牛乳など時代の移ろいとともに変わっていく素材の性質に合わせ、生地の配合や焼き上げる温度など作り方を試行錯誤しながら進化させているといいます。
卵の風味が際立つプリンは、かためのタイプ。グラニュー糖を焦がして仕上げるカラメルは、ほろ苦さと香ばしさが絶妙なバランスです。
ホットケーキは、昔ながらのしっかりとした食感。生地を練ってからすぐに焼くとふわっとした仕上がりになるため、冷蔵庫で寝かせたあと再び適温に戻してから焼き上げます。そうすることで最初のひと口と最後のひと口の食感を均一にできるのだそう。
20年ほど前、帰京した兄の英二さんが空いていた2階で創業当初の洋食を復活。毎週火曜日以外のランチタイムには、2階で「スマートランチ」が楽しめます。クリームコロッケ、エビフライ、ハンバーグなど王道の洋食メニュー9種から選べるメイン2品、サラダ、パンまたはライスがセットになっています。
たとえばクリームコロッケなら玉ねぎのみじん切りを1時間半かけてじっくりと炒め、バターや牛乳を加えて今度は4時間近くも煮込むといったように、ひとつひとつのメニューに手間暇をかけています。洋食の要ともいえるデミグラスソースは、他の料理とも合うよう濃厚すぎない味に仕上げているそう。
店頭では、店で使用しているのと同じカップ&ソーサーや、プレート、コーヒー豆を保存するための缶などを販売しています。また、文具&雑貨店「forme」と、六曜社珈琲店、喫茶ソワレとの共同企画により、お店の看板メニューや小物がデザインされたオリジナル文具もお目見えしました。付箋、レターセット、ブロックメモ、マスキングテープなど、全6種がそろいます。
章さんは、「お客さまに昔と変わらないと言われるのが一番の褒め言葉。初代が作り、2代目が守ってきたこの店を、3代目である私たちが筋は外さないよう磨いています。先代から受け継いだバトンを、ピカピカにして時代に渡したい」と語ってくれました。
目まぐるしく変わっていく時代のなかでも、変わらずこの場所で迎えてくれる。そんな安心感が居心地のよさにつながるのでしょう。

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