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伊勢神宮の参拝者をもてなす伊勢名物「赤福本店」

  • 2022年12月20日
  • ことりっぷ


江戸時代に創業し300年以上にわたってお伊勢まいりの人たちをもてなしてきた「赤福本店」。今では伊勢以外でも販売されている赤福餅ですが、本店ならではの趣とともに味わいたいと多くの人が立ち寄ります。また、季節の限定メニューも魅力であたたかな赤福ぜんざいは冬だけのお楽しみ。昨年には新商品も登場するなど新たな歴史を重ねる赤福本店を訪れて、本店だけのたたずまいと長く愛される伊勢名物を味わってみませんか。
伊勢神宮内宮へ向かう参道に赤福が創業したのは江戸時代、1707(宝永4)年です。その時代にブームとなった集団参拝〝おかげまいり〟の人々をはじめ、いつの時代にも多くの人々の崇敬を集める伊勢神宮への参拝者をもてなしてきました。朝5時から参拝できる伊勢神宮にあわせて、赤福の開店も同じ時間に。おまいりに訪れた人が立ち寄ってひと休みできる場所として、赤福餅とあたたかい伊勢茶を用意しています。
今では愛知や大阪にも店舗を持つ赤福ですが、こちらの本店にはぜひ味わってみたい特別な雰囲気があります。伊勢らしい切妻屋根を持つ明治時代の建物に立派な金看板、海老茶色ののれんがかかる店構えは、まるで時が止まっているかのような趣を感じるたたずまい。お茶を淹れる湯を沸かしているのは朱塗りのかまど。店内で焙じている伊勢茶の香りも漂います。
店内は畳敷きの座敷と五十鈴川を望む縁側。季節を問わず開け放たれた空間にすがすがしい空気が通い、五十鈴川のほとりや庭先から聞こえてくる鳥のさえずりにも癒されます。冬には座敷に火鉢が入り、ほんのりとしたぬくもりが。四季折々の情緒を感じながらくつろげる、居心地のよさが格別です。
店内で食べられるつくりたての赤福餅はやわらかく、餡のほどよい甘みや添えられた番茶の香りにも気持ちが安らぎます。さまざまな時代の人たちも、お伊勢まいりの喜びと名物のおいしさにきっと心を満たされたはず。赤福餅を味わいながら長い歴史に思いをはせる、心のゆとりがうれしいひとときです。
赤福本店でぜひ見ておきたいのが「餅入れ」の風景。餅を切ったり餡をのせたりする様子がガラス越しに見られます。赤福餅といえば、五十鈴川の流れをイメージした三筋の形が特徴。それを形作る繊細な指先や、職人さんの息の合った様子に思わず見入ってしまいます。午前中なら見られることが多いそうなので、早めに訪れてみるとよいですね。
季節限定のイートインメニューも、その時期ならではのお楽しみ。寒い日に恋しくなる赤福ぜんざいは、丁寧に炊き上げた大粒の大納言と焼きたてのお餅に満たされる一品。添えられた塩ふき昆布を箸休めにして、甘さとしょっぱさの取り合わせも楽しめます。
名物の赤福餅を創業以来作り続ける赤福ですが、新しい商品づくりへの取り組みも注目されています。昨年発売された「白餅黒餅」。このお餅に込められているのは、日常生活が大きく変わり、店もお客さまも苦しい日々が続く中で、少しでも明るく前向きな気持ちになってもらいたいという思いです。
創業から明治のころまで作られていた素朴な黒砂糖味の黒餅は、コクのある深い味わい。平成から令和にかけて手がけた白小豆餡の白餅は、あっさりとした甘さ。時代を超えた二つの味を一度に楽しめるうれしいひと箱となっています。
お正月を除く毎月一日だけに販売される朔日餅も楽しみにしている人が多い商品。伊勢には毎月一日に、ひと月を無事に過ごせたことを感謝し、次の月の無事を祈る朔日参りの風習があります。朔日参りのお客様を迎える商品として、毎月違った種類のお餅が用意されているのが朔日餅です。
毎月一日には朝早くから朔日餅を求める人の行列ができるほど。伊勢千代紙を使った季節感あふれる包み紙も魅力的です。
赤福餅のおいしさに加えて、参道のにぎわいを忘れられる居心地のよさやあたたかなもてなしなど、赤福本店が愛され続ける理由は尽きません。いつの時代にもお伊勢まいりとともに人々を引き付けてやまない、赤福本店へ立ち寄ってみませんか。

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