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京都よりみちこみち 大徳寺通&今宮通【後編】

  • 2022年11月7日
  • ことりっぷ


今回は、禅宗きっての名刹・大徳寺と、京都でも屈指の古社・今宮神社に接し、その名を関した通りをご案内する記事の後編です。銀杏並木が黄金に輝き、朱に染まる紅葉が彩りを添える秋の京都へ出かけてみませんか?
平安の昔、洛北の紫野は天皇の狩猟場となる野原であったといいますが、現在では閑静な住宅街が広がっています。その姿は大きく変わりましたが、この地では禅宗きっての名刹・大徳寺と、京都でも屈指の古社・今宮神社が長い歴史を刻んできました。これらふたつの寺社に接しているのが、今回ご案内する大徳寺通と今宮通です。
寺社参拝のあと、さらなる福徳や厄除けを願って門前名物をいただきましょう。地元民からも愛される昔ながらの菓子を商うお店や、京文化を受け継ぐ加工食品や和小物のお店をのぞき、平安から続く歴史に思いを馳せてみませんか。
「一休こんぶ 松田老舗」は、大徳寺門前で約100年もの歴史を紡いできた昆布屋。もともとは、大徳寺の僧侶のために出汁昆布を納めていたのが、のちに佃煮も作るようになったのだそう。
大人気の「一休こんぶ」(80g 540円)は、昆布を炊いて練り上げ、小豆大に切った塩吹き。ごはんのお供はもちろんのこと、ワインのおつまみから料理まで幅広く使える商品が種類も豊富にそろいます。
応仁の乱の後、大徳寺を復興した“とんちの一休さん”こと一休禅師が考案したという「大徳寺納豆」は、炊いた大豆に麹などを加えて発酵させながら、天日で干し上げ、約1~2年熟成させた伝統食品。
禅僧の貴重なタンパク源であったこの「大徳寺納豆」ももちろん自家製。味噌のような風味が特徴で「チーズにのせるとおいしいよ」と、気さくなお店の方との会話も楽しめます。
僧侶が托鉢の際に使う鉢に料理を盛りつけた鉄鉢(てっぱつ)料理で知られている精進料理の老舗「泉仙」。大徳寺境内にも大慈院店がありますが、紫野店限定で味わえるのが、一品ずつ出される懐石形式の「ゆば懐石」です。
「ゆば懐石」は、魚や肉、卵を使わず旬の京野菜など季節の素材を中心に、自家製の生ゆばをふんだんに使った精進料理。豆乳を使用した茶碗蒸しやプリン、薬味や調味のアクセントとして使われている大徳寺納豆などの色どりが目も楽しませてくれるうえ、体がほっとする満足感の高いメニューです。
お参りのあとのランチに立ち寄れば、心も体も整えることができそうです。
江戸時代創業という老舗の和菓子店「松屋藤兵衛」の代表銘菓は、「紫野松風」(むらさきのまつかぜ)。松風とは、卵やバターを使わず、白味噌の力だけで発酵させるカステラに似た和菓子のことで、こちらのものには自家製の大徳寺納豆が入っているのが特徴です。
西陣織の糸巻をイメージしたというやさしい色合いの「珠玉織姫」(たまおりひめ)は、砂糖をすり蜜状にし、米粉を混ぜて作る小粒の干菓子。ゴマ、梅、生姜、柚子、肉桂(にっき)で味付けされながらも甘さは控えめで、ほどよく柔らかな食感。風味豊かな味わいです。
店内には、季節を代表する花などが象られた干菓子も並びます。訪れた季節のモチーフを、自宅でのお茶の時間に楽しむのも良いですね。
かつて西陣の糸屋として創業した「おはりばこ」。店舗の2階の工房で職人がその繊細な伝統技術でひとつひとつ手作りした、髪飾りや和小物類が1階に並びます。
はんなりとしたがま口に使われている古布は、90年前のものもあるそう。その質の高さから現代でも美しく感じられます。手作りのため、すべて柄がポイントになった1点ものです。
お店の離れでは、羽二重生地を使ってつまみ細工の体験も実施しているので、自分だけの和小物作りに挑戦してみても。クリップ・かんざし・チャームから作るものを決め、選んだパーツを組み合わせていきます。所要時間は1時間半ほどで、職人の手ほどきを受けながら作るので初めてでも安心ですよ。

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