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京都・祇園発、おばあちゃんが作る愛されおはぎを受け継いだ新生「小多福」 

  • 2022年3月15日
  • ことりっぷ


小さな福がたくさん訪れますように。そんな想いを込めて70歳のときに祇園でおはぎ屋さんを開いた川崎加津子さん。目にも麗しく上品な甘さのおはぎは祇園の名物となり、女将さんのチャーミングな人柄とともに愛されてきました。女将さんに会いたくておはぎを買いに来る人もいるほどでしたが、ご高齢のため惜しまれつつ閉店。バトンを受け継いだ京都のお豆腐屋さんによって、閉店から8か月後の2022年1月に再スタートしました。
市バスを利用するなら東山安井の停留所からすぐ。花街祇園という場所柄、舞妓さんもお参りに訪れる安井金比羅宮の南隣です。女将さんが営んでいたお店からは歩いて2分のご近所さん。テイクアウト専門のシンプルなお店で、平日は8種、土日と祝日には12種のおはぎが木箱に並びます。
御年80を過ぎて体力に限界を感じていた女将さんから、信頼できる後継者はいないかと相談を受けた京味食品の社長、石井さん。女将さん御用達の地元のお豆腐屋さんというご縁で、以前から交流があったそうです。「おはぎとお豆腐は、どちらも京都で昔から親しまれてきた伝統食。絶やすわけにはいかない、自分たちで継ごう!」と一大奮起されたのです。
朝6時からスタッフの土屋さんとともに女将さんのお店に通い詰め、あんこを均一にまるめることから修業をスタート。あんこやもち米の炊き方などひとつひとつ習ったそう。土屋さん曰く「おはぎづくりが夢にでてくるまで(笑)」毎日のように試行錯誤を繰り返し修業を重ねた末、女将さんの暖簾を譲り受ける日を迎えたのです。
女将さんから、粒あん、こしあん、きなこや古代米、磯が香る「青のり」、風味豊かなごまがぷちっと弾ける「黒ごま」といった定番おはぎを習得。ふっくら&もっちり、幸せの二重奏を奏でるおはぎの要となるあんこには、北海道産大納言小豆を使用し、砂糖は数種類をブレンドして甘さとコクのバランスを整えています。お米はうるち米は使わず湖国近江のもち米100%。材料は女将さんが厳選した仕入れ先をそのまま引き継いでいるそう。
再スタートにあたり、女将さん直伝のおはぎをベースにしつつ新しく開発したオリジナルのおはぎも。西京味噌やほうじ茶、ベリーやスパイス、ハーブなど和・洋の素材を生かして新しい味を創り出しています。たとえばベリーなら、甘酸っぱいベリーソースをのせたごはんを、クランベリーの実を混ぜ込んだ白いんげん豆のあんでくるんでいます。素材はほうじ茶やコーヒーなど、女将さんが日々の暮らしのなかで好むものがヒントになったそうです。
おはぎはひとつからでも購入可能。すぐに食べたいときは、2つ以上購入すると可愛いおたふく舟にのせてもらえます。お店の横に備えたベンチのほか、東大路通を渡ってゆるやかな坂をのぼると、ねねの道東側の小高い場所に公園がありますよ。
お豆腐屋さんの真骨頂であるおぼろ豆腐も販売。ミシュランの三つ星に輝いた料理人や一流ホテルのシェフたちもひいきにする逸品で、定番の白のほか、抹茶、柚子の3種がそろいます。ひとくち食べると一瞬「豆腐スイーツ?!」 と驚くほど甘くて濃厚。大豆本来の香りが広がります。そのままでも、塩をほんの少しのせてさらに甘さを引き出す味わい方もおすすめです。
観光客や町内のご婦人、訪問先への手土産を買い求めるスーツ姿の紳士など、代わるがわるやって来ては、ほほえみを浮かべてお店を後にします。
女将さんが願った小さな福が、きっと毎日この場所に訪れているのかもしれませんね。

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